「今夜、ロマンス劇場で」 [映画]
〔2018年/日本〕
映画監督を夢見て、
映画スタジオで働く純情青年・健司(坂口健太郎)は、
ある日、映画館「ロマンス劇場」のロッカーで、
古い映画のフィルムを見つけ出す。
そこに写っていたのは、
まだ映画が白黒だった時代の作品で、
美しいお姫様の物語。
健司は劇場の閉館時間後、
そのフィルムを何度も何度も観る。
すると、どうした事か、
ある時、スクリーンから、
主人公の姫・美雪(綾瀬はるか)が
出てきたではないか!
白黒映画の中で生きていた美雪は、
色付きのこちら側の世界が珍しく、
また、高飛車なお姫様の性格のままで、
健司を振り回す。
それでも、次第に惹かれ合ってゆく二人。
健司は美雪と、
永遠に一緒にいたいと願うようになるが・・・。
試写会で観た。
映画館のスクリーンから、
主人公が出てくるって、
ウディ・アレンの映画、
「カイロの紫のバラ」かよ!と、
観る前はそう期待もしていなかったのだけれど、
思っていたより、いい映画だった。
私が古い邦画が大好きなせいもあるんだろうけど、
まず、坂口健太郎演じる健司が、
ロッカーから古いフィルムを発見する場面からして、
胸のときめきが止まらない。
その映画は、
人々から忘れ去られ、
残っているフィルムは、
日本でそれ1本だという。
ひゃ~、
そんな貴重な映画、
忘れ去ったりしないよ、
私も観るよ、
お願い観せて観せて!と、
頼み込みたい気持ちになる。
そして、古い邦画のスクリーンから、
主人公が出てくるって、
私でいえば、
川口浩さまが出てくるって事じゃないか。
返す返すも、「ひゃ~」だよ(笑)。
「カイロの紫のバラ」では、
スクリーンからジェフ・ダニエルズが出てきても、
それほど感情移入できなかったけど、
やっぱり、日本人は日本人同士、
こちらは観ていてウキウキする。
で、その後、
健司と姫が恋に落ちるのは、
まぁ、当然の展開だけど、
「この世のものでない」姫は、
ある事をすると、
この世から消えてしまうという条件がある。
その辺りをどうクリアするのかが、
この映画の見どころでもあり、
「そうきたか」というラストには、
涙が出た。
ファンタジーらしく、
とにかく悪人が出てこない。
「もしかして、嫌な奴?」と思われた、
北村一輝演じる
自信過剰、自意識過剰な大スターも、
結構いい奴だったし、
本田翼演じる、
映画会社の社長令嬢で、
健司に片思いする女の子も、
恋のライバルである綾瀬はるかに、
嫌がらせしても不思議はないのに、
一歩身を引く様子が、
むしろいじらしくて、
好きな人に恋人がいたら辛いだろうなぁと、
可哀想に思ったくらい。
それから、この映画の、
本当の主人公は、
加藤剛さんだと思う。
評価 ★★★☆☆