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「貴族の階段」 [映画]

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〔1959年/日本〕


西の丸氷見子(金田一敦子)は、
貴族院議員の議長をする父・秀彦(森雅之)、
母、兄と暮らすお嬢様。


西の丸家には、
いつも陸軍大臣などが出入りし、
秀彦と密談している。
氷見子は父からの言い付けで、
隣室で客人に気付かれないように、
会話の全てを書き留めている。


氷見子の親友・節子(叶順子)と、
氷見子の兄・義人(本郷功次郎)は、
互いに仄かな恋心を抱き合っている。


ある日、西の丸家の別荘へ、
節子ら学友が遊びに行った夜、
秀彦が節子に襲い掛かり、
思いを遂げる。


その日から、
ふさぎ込み、
義人を避けるようになった節子を、
氷見子は訝しく思うが・・・。





二・二六事件を背景にした、
政治色が盛り込まれた映画なのだけれど、
西の丸氷見子目線で描かれているので、
なんとなく、
乙女チックな風合い。


森雅之演じる西の丸秀彦のいやらしさ、
気持ち悪さったらない。
娘の学友、
しかも、いずれ息子の嫁になるかもしれない女を
手籠めにするって、
一体どういう事だろう。


彼は自信に溢れ、
この世で手に入らないものは、
何一つ無いと思っているみたいだ。
そして、きっと、
自分が世界一偉いのだろう。


女なんか、
力でねじ伏せて、
その後、どうなろうが、
知ったこっちゃない、ってか。
彼は、女中にも手を付けていて、
その女中に、
「節子を寝室に呼びなさい」と命令する。
今なら、
全員で結束して、録画録音でもして、
「Me Too」と訴えるのに。


結局、節子は自殺し、
秀彦は総理大臣に。


おそらく、秀彦は、
その先の生涯、節子の事を思い出す事もないだろう。
世界で自分が一番偉い彼は、
自分のせいで死んでいった女なんて、
どうでもいい事だから。


どんな事をしてたって、
出世する奴は、出世する。
バチなんてものは、
実際にはありはしない。


評価 ★★★☆☆

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