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「クリスタル殺人事件」 [映画]

crystalsatsujinjiken.jpg
〔1980年/イギリス〕


ロンドン郊外のある街で、
映画の撮影が行われる事になり、
往年の大スター、
マリーナ・クレッグ(エリザベス・テイラー)と
夫のジェースン(ロック・ハドソン)が
やって来る。


その事で街は浮かれ、
マリーナたちの歓迎パーティが開かれる。


すると、パーティに来ていた、
街の住人の一人・ヘザーが、
供された酒を飲んだ途端、
死ぬ。
酒に毒が入っていたらしい。


街に住む、推理好きの老婦人・ミス・マープル(アンジェラ・ランズベリー)は、
犯人を推理し・・・。





昨日に続き、
アガサ・クリスティー原作の推理もの。


とはいえ、
こちらの探偵は、
ポアロではなく、
ミス・マープル。


このマープルさん、
ポアロのような職業探偵ではなく、
推理好きの一般人と
考えていいのよね、
たぶん。


「オリエント急行」や「ナイル」のような、
豪華な金持ち話でなく、
こちらは、
小さな街で、
一般庶民が殺されるという、
他人事ではないようなお話。


でも、それはそれで、
取っ付きやすくて面白い。
街に映画スターや、
撮影隊がやって来て、
皆が浮かれる、なんて、
ミーハーな私にピッタリの題材ではないか(笑)。


なぜ、こんな人のよさそうな女性が殺されたのか。
もしかして、人違い殺人?
など、色々思うわけだけど。


犯人や動機はもちろん書かないけど、
この殺されたヘザーという女性、
ちょっと、それってどうなのよ、
と思う事実が、のちに分かって。


殺されるほど酷い事をしたとは思わないけど、
ちょっと犯人の気持ちも分かる・・・なんて・・・。


まぁ、私も、自分を常識のある人間なんて、
これっぽちも思っていないし、
知らないうちに、
とんでもない事をしでかしている場合もあると思うので、
人様の事をエラソーには言えないのだけれど。


そんなこんなして、
自分の非にも気付かないまま、
人生終わっちゃうんだろうなぁ。


評価 ★★★☆☆

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「ナイル殺人事件」 [映画]

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〔1978年/アメリカ〕


最近、莫大な遺産を相続したリネット(ロイス・チャイルズ)は、
親友・ジャクリーン(ミア・ファロー)から、
ジャクリーンの恋人・サイモン(サイモン・マッコーキンデール)の
仕事の世話をしてほしいと頼まれる。


数か月後、
リネットとサイモンが電撃結婚をする。
そう、サイモンはジャクリーンを捨て、
美しいリネットを選んだのだ。


ところが、
夫妻が新婚旅行に出掛けたエジプトの
行く先々にジャクリーンが現れては、
汚い言葉で、二人を罵る。


ナイル川下りの船に乗った夫妻だが、
そこにも、ジャクリーンは乗船。
さらに、船には、
リネットに恨みを持つ者が
多数乗り合わせていた。


ついにリネットが銃殺された。
船には、名探偵ポアロが乗っており、
事件解決に乗り出すが・・・。





今年の初めに、「オリエント急行殺人事件」を観て、
感想を書いたばかりだけれど、

http://aomikamica.blog.so-net.ne.jp/2018-01-02
映画の最後に、
次は「ナイル殺人事件」が映画化されるような事が
仄めかされていたので、
これはもう、
1978年版を先に観ておこうと思い、
借りてきた。


うん、
こちらもなかなか面白い。


狭い、限られた空間での殺人事件、
そこにいる人間の全員が、
被害者に何らかの恨みを持っている、などの点が、
「オリエント~」に似ていなくもないけれど、


当然の事だけど、
犯人も、動機も、
全然違う。


何と言っても、
面白いのはジャクリーンを演じるミア・ファロー。


リネットとサイモンが、
新婚旅行先のエジプトのピラミッドの頂上で、
熱烈なキスをしていると、
なんと、ジャクリーンが、
鬼のような形相で、
そこに登ってくる。


それはもう、
「出たーーーーー!」としか言いようのない
登場の仕方で、
恋人に捨てられた挙句、
親友と結婚されてしまった女の、
憎悪と哀しみに満ちた、
凄い表情を浮かべている。
その場面だけでも、観る価値あり。


自分を捨てた男の新婚旅行先を
付いて回るって、
どんだけ執念深いの。
当時は、おそらくまだ、
「ストーカー」という言葉も概念もなかったのだろう。
劇中、彼女がそう呼ばれる事はなかったけど、
今だったら、
その場で通報されても、
おかしくないレベル。


その後、リネットが殺され、
当然、一番最初にジャクリーンが疑われるわけだけど、
彼女にアリバイがあるのは、
観ているこちらが、一番良く知ってる。
じゃあ、誰が犯人?って流れで。


ポアロは、犯人候補の乗客一人一人に、
「あなたなら、こんな方法で殺せたはずだ」と
説明し、
その仮定の映像が流れるので、
とても分かりやすい。


気になるのは、
リメイク版の「ナイル殺人事件」が
一体いつ頃公開されるんだろうって事。


できれば、この感動を忘れないうちに、
早く観せてほしいなぁ。←ワガママ~(笑)。


評価 ★★★★☆

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「夜はいじわる」 [映画]

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〔1961年/日本〕


日本橋の鰹節問屋・土佐久は、
女傑の会長・てつ(北林谷栄)が実権の握っており、
誰も逆らえない。


しかし、婿養子の梅二郎(中村鴈治郎)が
ついに反旗を翻し、
出て行ってしまい、
そんなこんなで、てつも体調を崩し、
別荘に静養に。


残された梅二郎の長女・桂子(山本富士子)が
社長代理として店を切り盛りすることになるが、
融資を受けた会社から、
経営状況を見るという名目で、
大熊修吉(船越英二)が送り込まれてくる。


桂子は、大熊の口出しに反発し、
2人はどうにも、
ソリが合わない。


そんな2人を、
店の番頭・山中芳一(川崎敬三)が
気にかけ・・・。





山本富士子さんが、
老舗の鰹節問屋の経営を任され、
女だてらに奮闘する物語。


山本さん演じる桂子は、
老舗の長女としての自負があり、
なので、
いきなり派遣されてきた、
大熊という男と、
反目し合う。


元々、おっとり系の山本さんなので、
丁々発止というほどではないけれど、
大熊が提案する、
経営の見直しに、
「あなたに何が分かるの!」と、
絶対従おうとしない。
なんか笑える。


それでも、大熊のおかげで、
店に大きな注文が入り、
次第に彼の力量を認めてゆく山本さん。


ただ、私は、
船越英二さんより、川崎敬三さんが好きなので、
山本さんは川崎さんと結ばれてくれないかなーと
勝手に思っていた(笑)。
私がそんな事願ったって、
仕方ないけど。


それから、1961年当時の、
古い結婚観が分かるのも興味深い。


山本さんには、
水谷良重さん演じる妹がいて、
この妹は、
明日にでも恋人と結婚したいと望んでいる。


でも、
「姉より先に結婚するなど、とんでもない」と、
祖母は大反対。
周囲が、今どきそんなのは古いと言っても、
全然聞く耳を持たない。


山本富士子さんの祖母というのだから、
明治生まれであろうか。
当時はまだ、
こんなものだったのね。


どっちが先でも、
好きにさせてやりなよ、と、
スクリーンに向かって言いたくなった場面(笑)。


評価 ★★★☆☆

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「今夜、ロマンス劇場で」 [映画]

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〔2018年/日本〕


映画監督を夢見て、
映画スタジオで働く純情青年・健司(坂口健太郎)は、
ある日、映画館「ロマンス劇場」のロッカーで、
古い映画のフィルムを見つけ出す。


そこに写っていたのは、
まだ映画が白黒だった時代の作品で、
美しいお姫様の物語。
健司は劇場の閉館時間後、
そのフィルムを何度も何度も観る。


すると、どうした事か、
ある時、スクリーンから、
主人公の姫・美雪(綾瀬はるか)が
出てきたではないか!


白黒映画の中で生きていた美雪は、
色付きのこちら側の世界が珍しく、
また、高飛車なお姫様の性格のままで、
健司を振り回す。


それでも、次第に惹かれ合ってゆく二人。
健司は美雪と、
永遠に一緒にいたいと願うようになるが・・・。





試写会で観た。


映画館のスクリーンから、
主人公が出てくるって、
ウディ・アレンの映画、
「カイロの紫のバラ」かよ!と、
観る前はそう期待もしていなかったのだけれど、
思っていたより、いい映画だった。


私が古い邦画が大好きなせいもあるんだろうけど、
まず、坂口健太郎演じる健司が、
ロッカーから古いフィルムを発見する場面からして、
胸のときめきが止まらない。


その映画は、
人々から忘れ去られ、
残っているフィルムは、
日本でそれ1本だという。


ひゃ~、
そんな貴重な映画、
忘れ去ったりしないよ、
私も観るよ、
お願い観せて観せて!と、
頼み込みたい気持ちになる。


そして、古い邦画のスクリーンから、
主人公が出てくるって、
私でいえば、
川口浩さまが出てくるって事じゃないか。
返す返すも、「ひゃ~」だよ(笑)。
「カイロの紫のバラ」では、
スクリーンからジェフ・ダニエルズが出てきても、
それほど感情移入できなかったけど、
やっぱり、日本人は日本人同士、
こちらは観ていてウキウキする。


で、その後、
健司と姫が恋に落ちるのは、
まぁ、当然の展開だけど、


「この世のものでない」姫は、
ある事をすると、
この世から消えてしまうという条件がある。


その辺りをどうクリアするのかが、
この映画の見どころでもあり、
「そうきたか」というラストには、
涙が出た。


ファンタジーらしく、
とにかく悪人が出てこない。


「もしかして、嫌な奴?」と思われた、
北村一輝演じる
自信過剰、自意識過剰な大スターも、
結構いい奴だったし、


本田翼演じる、
映画会社の社長令嬢で、
健司に片思いする女の子も、
恋のライバルである綾瀬はるかに、
嫌がらせしても不思議はないのに、
一歩身を引く様子が、
むしろいじらしくて、
好きな人に恋人がいたら辛いだろうなぁと、
可哀想に思ったくらい。


それから、この映画の、
本当の主人公は、
加藤剛さんだと思う。


評価 ★★★☆☆

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「パディントン2」 [映画]

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〔2017年/イギリス〕


ペルーからやって来た、
クマのパディントンも、
今ではすっかりロンドンでの生活に慣れ、
ブラウン家の家族として、
充実した日々を送っている。


パディントンは、
ペルーのルーシーおばさんの誕生日に贈る
プレゼントを買おうと、
骨董品のお店に行く。
すると、おばさんにピッタリの品、
ロンドンの街が描かれた飛び出す絵本を見つける。


けれど、その絵本はとても高価。
パディントンはアルバイトをしてお金を貯め、
絵本を買おうと意気込む。


ところが、骨董店に、
何者かが泥棒に入り、
絵本が盗まれ、
さらに、泥棒を捕まえようとしたパディントンが、
犯人に間違われ、逮捕されてしまう。


ブラウン家のみんなは、
パディントンの無実を晴らすため、
奔走するが・・・。





良かった、本当に良かった。
まさか、これほどとは、
想像もしていなかった面白さ。


冒頭、
弾むようなテンポで描かれる、
パディントンの、
ロンドンでの日常。
彼が、日々をいかに楽しくすごし、
そして、街のみんなから愛され、
役に立っているかが分かる。


観ているこちらまで、
心浮き立つ出だし。
掴みはOK!


その後、色々あって、
泥棒に間違えられ、
警察に逮捕されてしまうパディントン。


その手には、
手錠をかけられるという、
何ともリアルで、ショックな展開。
今の日本での、
どんな凶悪犯が連行されるニュースでも、
なぜか手錠にはボカシがかけられるという、
不思議な現実を鑑みると、
これ、子供に見せちゃいけないんじゃなかろうかと
思えるような、絵面。


この先のパディントンのムショ生活はどうなるの?と、
気になるけれど、
そこはファンタジー。
パディントンの人柄(熊柄?)のおかげで、
最初は殺伐としていたムショの雰囲気に
変化が表れ、
どんどんハッピーに(笑)。


小ネタも笑える。
靴下を洗濯しちゃった場面とか、
ブラウン家のみんなが面会に来た時の
様子とか。


映画の「2」が、
「1」より良かったというのは、
あまりない気がするけど、
このパディントンは、
もう絶対、「2」の方が面白い。
それは「1」が駄目というわけではなく、
よりパワーアップしたという感じで。
 ↓
http://aomikamica.blog.so-net.ne.jp/2016-11-05


「1」の敵役は、ニコール・キッドマンだったけど、
本作はヒュー・グラント。


ヒュー様は、
「ドッグフードのCMに出るような」落ちぶれた俳優という役を
見事に演じておった。


で、で、
映画の本筋とは関係ないけど、
ヒュー様の家の中には、
過去の栄光にすがるかのように、
若かった頃の写真が
無数に飾ってあるのだけれど、
これがファンには必見。


昔の、
あの美しく、イケメンだった頃の
ヒュー様のお写真だらけで、
私ったら、一瞬だけ
パディントンの事を忘れて、
それらのお写真にウットリしてしまった(笑)。


評価 ★★★★☆

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