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「裸の大将」 [映画]

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〔1958年/日本〕


他の子供より、
多少頭のゆっくりな山下清(小林桂樹)は、
現在20歳。
学校を脱走し、
一人で旅をしている。


彼は旅先で、
人々から食事をもらい、
なんとか飢えを凌いでいたが、
通りすがりの親切なおばさんの紹介で、
弁当屋で働く事になった。


しかし要領の悪い彼は、
何をしても失敗して、
叱られてばかり。


次に割烹で働き出した清だが、
母(三益愛子)に居どころが見つかり連れ戻され、
そのまま徴兵検査を受けるも、
結果は不合格。


また旅に出た清は、
誤って駅で全裸になってしまい、
警察に連行され、
精神病院に入れられてしまう・・・。





「裸の大将」は、
映画よりテレビドラマの方が、
絶対的に知られているだろうと思う。


とはいえ、私はドラマは一度も観た事がないので、
これが山下清初体験。


山下清が浅草の出身だと知って、
ちょっと驚いた。
彼のイメージといえば、
テレビの予告などで、
田舎道をのんびり歩いている姿しか見た事がなかったから。


彼は頭が多少ゆっくりだったと言われているけれど、
この映画を観る限り、
本当はすんごく頭のいい人ではないかと思ってしまう。


というのも、
20歳の彼は、
21歳になると徴兵検査を受けなければならず、
勤めていた弁当屋に、
警官が身元確認に来た時、
「これはマズイ」とすたこら逃げ出す。
そして、次の勤め先では、
平然と22歳と自己紹介。
「徴兵検査は去年落ちた」と話すのよ。
もちろん、そんな事で国が誤魔化されるわけはないけど、
なんだか色々考えるなぁ、って(笑)。


精神病院から脱走する時だって、
空襲をうまく利用したりして、
抜かりがない。
凄い人に思えてくるよ(笑)。


他にも、
「男が全裸になると逮捕されるのに、
 女は裸になると金を儲けられるのはなぜ?」など、
普通の人なら「当たり前」と思う事を、
疑問に思って質問する。


実はそれって、とても大事な事なんじゃないのかなぁ。
「当たり前」な事がなぜ当たり前なのかを考える。
自分もそんな心をずっと持っていたいと思う。


絵が売れて、有名になっても、
他人からチヤホヤされる事など決して望まず、
一人で田舎道や海岸を歩く方がよっぽど好きな彼は、
旅を続ける。
牧歌的でよいラストだ。


評価 ★★★☆☆

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