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「わかれ」 [映画]

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〔1959年/日本〕


貴美子(鰐淵晴子)は、
箱根の旅館・仙楽荘の一人娘。
母・くに子(山田五十鈴)は、
夫亡きあと、
女手一つで、旅館の経営をしながら、
貴美子を育ててきた。


貴美子は、たまに東京から旅館に泊まりにくる、
仏文学者・波多野敬一(菅佐原英一)に、
密かな恋心を抱いていた。


そして、そんな貴美子を、
旅館で働く遠縁の息子・泰治(安井昌二)は、
切ない気持ちで見ていることを、
貴美子は気付いていなかった。


敬一が貴美子にプロポーズし、
貴美子は天にも昇る気持ちだったが、
実は、敬一の母は、
2人の結婚に猛反対で・・・。





やめなやめな、
貴美子ちゃん、そんな結婚、やめた方がいいよ、
・・・と、モニターを見ながら、
言いたくなるような酷さ。


何がそんなに酷いかって、
貴美子の母が、
2人の結婚を認めてやってほしいと、
東京の波多野の家に赴いた時の、
波多野の母親の態度、物言い。
観ているこちらが悲しくなるような、
そして、
悔しさに地団駄踏みたくなるような、嫌ったらしさ。


しかも、波多野は、
100%そんな母親の言いなり。
彼にとって母親は、
絶対服従の存在だと言う。
本人が言うのだから間違いない。


別に私は、
母親と息子が仲が良い事が、
悪いなんて1ミリも思っちゃいない。
むしろ、
このブログでも、何度も書いているように、
母と息子の間には、
切っても切れない絆があると思うし、
男はみんなマザコンだとも思う。


ただ、それを差し引いても、
あの親子の嫌な感じったらない。
あんな男と一緒になったって、
幸せになんかなれない。


鰐淵晴子さん演じる貴美子が、
とっても清らかで、可愛いので、
物語は、ずっとそのトーンで進んでいくと思ったのだけれど、


旅館の女中さんが、客からセクハラされたり、
番頭さんと女中さんが結婚前に子供作っちゃったり、
芸者が、別の旅館の若旦那の愛人だったりと、
結構ドロドロしている。


貴美子はおぼこなようだけれど、
幼い頃から、
そういったものを見ているのだろうから、
案外、慣れているんだろうとも思う。


だから、
彼女が旅館を継げば、
きっといい女将さんになるだろうし、
結婚相手だって、
もっと男らしい男がきっといる。


映画だというのに、
絶対に幸せになってねと
声を掛けたくなった。


評価 ★★★★☆

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