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「モダン道中 その恋待ったなし」 [映画]

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〔1958年/日本〕


平凡で、退屈な人生を送る
銀行員の鶴川松夫(佐田啓二)は、
懸賞で3万円が当選し、
東北と北海道周遊の旅に出る。


途中、自動車修理工の亀野竹彦(高橋貞二)と出会い、
一緒に旅することに。
2人とも恋人がいない事から、
この旅で、素敵な花嫁を見つけようと
意気込む。


松島の遊覧船で、
松夫は、美しいお嬢さん・海老原ゆり(岡田茉莉子)と出会い、
心惹かれる。
しかし、ゆりはどう見ても金持ちの令嬢で、
自分には不釣り合いだと、
積極的はなれない。


また、竹彦は、
弘前で、馭者をする鈴子(桑野みゆき)に
恋をするも、
鈴子は、もうすぐ親の決めた相手と
結婚せねばならないと言う・・・。





恋人のいない男二人が、
東北から北海道を旅する中で、
自分の理想の女性に出会うという、
コメディ。


各地の名所を紹介しながらの旅なので、
今でいうところの、
2時間ドラマのご当地巡りもの、という
感じがしないでもないけど、
確かにタイトル通り、
全体的にモダンな印象。


それはひとえに、
岡田茉莉子さんの、
美しさ、雰囲気、
そして、そのファッションのおかげかと思う。


彼女は、金持ちの令嬢らしく、
着ているお洋服がとってもオシャレ。
旅の先々で、
素敵な服をとっかえひっかえするものだから、
画面がとっても華やかなのだ。


女性たちのファッションに対して、
主演男性2人の服装が、
また面白い。
2人とも、ずっとスーツにネクタイ姿。
窮屈じゃないかって思うくらい。
きっと1950年代当時、
庶民にとって、旅行に行くって事自体が、
それはもう、大変なイベントだったんだろうなぁ、と思う。
佐田啓二さんだって、
懸賞で現金が当たらなかったら、
旅行なんて思いもつかなかったって感じだし。


この映画、
O・ヘンリーの短編小説、
「桃源郷の短期滞在客」のパクリじゃない?
と思わなくもない(笑)。


いや、別に、パクった事に対して、
怒ったり、責めたりしているわけではない。
「桃源郷~」はしみじみとした、
素晴らしい物語で、
大好きだ。
あの小説の舞台を日本にして、
話を膨らませて、
コメディにしたら、こうなるんだ、と思うと、
むしろ嬉しくなる。


桂小金治さんが、
佐田さんたちの行く先々で、
スリとして現れるのが可笑しい。


本来なら、
憎むべき犯罪者なんだろうけど、
愛嬌いっぱいで、
コントの泥棒みたいで(笑)。


評価 ★★★☆☆

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