「北朝鮮をロックした日 ライバッハ・デイ」 [映画]
〔2016年/ノルウェー〕
試写会で観た。
ドキュメンタリー映画。
2015年。
北朝鮮で、
日本の植民地支配から解放された70年記念を祝う、
「祖国解放記念日」に、
北朝鮮史上、初めて、
海外から、ロックバンドを招へいする事になった。
一体、どのバンドが選ばれるのか。
U2か?
ストーンズか?
世界中の音楽ファンが、
注目していたが、
選ばれたのは、
スロベニア(旧ユーゴスラビア)のバンド・ライバッハ。
ナチスを思わせる衣装で物議を醸すなど、
過激なパフォーマンスで知られる
ライバッハが、
北朝鮮の地を踏み、
ライブを成功させるための準備に入るのだけれど、
これが、もう、
最初から、予想通りの困難続き。
初日から、ライブ用のデータを没収されたり、
こちらのスタッフと、あちらのスタッフの意見が
まるで噛み合わない。
まぁ、一筋縄でいかない事は、
観る前から想像できてはいたけれど、
その理由の一つが、
私の心に強く残った。
北朝鮮側からの要求や制約が多いのは当たり前として、
逆に、ライバッハ側から、
何かお願い事をしたとしても、
北朝鮮の人は、
決断力が無いとでもいうのか、
何一つ、物事を自分の意志で決める事ができないのだ。
それはもう、
かの国に生まれ育ったことによって、
形成された性格なのだろうけど、
なにか、
自分の意志や意見を持ってはいけない、みたいな、
そんな感じ。
いや、もしかしたら、
それは生きるための無意識の知恵なのかもしれないけど。
で、もし、私が、
ライバッハのメンバーやスタッフだったら、と
考えると、
正直、たぶん、途中でやる気を無くすな。
だって、面倒くさい。
制約ばかりが多くて、
文句だけは人一倍。
それに、何を以てして、
ライブの「成功」、「失敗」というのか、
よく分からない。
目の肥えた観客なら、
それなりのパフォーマンスを見せなければならないだろうけど、
北朝鮮の国民にとって、
初めての西洋のバンド。
他のバンドと比べられる事もないし、
手を抜いたからって、それが何だというんだ。
・・・なんて、考えてしまう私は、
駄目な人間なんだろう。
何事にも全力投球しなくちゃ・・・
・・・って、無理だな。
時と場合による。
評価 ★★★☆☆