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「ロマンスドール」 [映画]

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〔2019年/日本〕


美大卒業後、フリーターをしていた北村哲雄(高橋一生)は、
先輩の紹介で、就職の面接を受けに行った先の会社が、
ラブドールを製作する工場だと知る。


採用された哲雄は、
社長の久保田(ピエール瀧)や、
ベテラン社員の相川(きたろう)に仕事を教わり、
次第にラブドール作りの楽しさに目覚めてゆく。


そんな中、哲雄は、
あるきっかけで知り合った小沢園子(蒼井優)に、
自分がラブドールを作っていると
どうしても言い出す事ができないまま、
交際し、結婚に至る。


幸せな結婚生活を送っていた2人だが、
ある日、
園子が3日間ほど無断外泊をし、
戻ってきて、理由を聞く哲雄に、
ある秘密を打ち明ける・・・。





ラブドールを作る工場で働く青年・哲雄と、
哲雄は医療関係の会社で働いていると
信じ切っている妻・園子の物語。


ただ、哲雄の本当の仕事を知った園子が、
怒ったりとか、
そのような事はない。
彼女はそんな器量の小さい女ではない。
この映画の問題はそこではない。


2人が、秘密を打ち明け合う場面で、
少し笑ってしまった。
2人には、各人2つずつ秘密がある。
そのうちの1つが、同じ秘密だったのが、
何だか可笑しくて。
今どきのカップルらしい。
お互いがその事で、特に怒ったりもしない。


一番重要なのは、
園子の、もう一つの秘密。
それをきっかけに、
何となく倦怠期だった二人の絆が強くなる。
物語としては、
それほど突出した秘密ではなく、
驚く事もなかったけど、
そこから、哲雄のラブドール製作という仕事が、
重大な意味を持つようになる。


それから、
物語の本筋とはちょっと違うけど、
私は、哲雄が、
ラブドールを作るという仕事を、
次第に好きになり、
懸命になる姿勢がとてもいいなと思った。


彼は、最初からラブドール作りが好きだったわけじゃない。
何も知らないまま、工場に来て、
仕事を教わっていくうちに、
仕事にのめり込んでゆく。


仕事って、案外そんなものなんじゃないかって気がする。
誰も彼もが、自分の好きな事や、
したかった事を職業にできるわけではないだろう。
たまたま採用されて、
一生懸命やっていくうちに、
それが天職のようになってゆく。
それはとても素敵な事だと思う。


ラブドール作りを見られたのも楽しかった。
ラブドールを作っているからと、
工場は別に卑猥な空気などはなく、
普通の物作りの会社と一緒。
まぁ、一々反応していたら、
仕事にならないしね(笑)。


私は数年前に、
ラブドールのメーカーである、
オリエント工業のショップに、
友人と行った事がある。


特に理由はない。
100%興味本位(笑)。
ラブドールの実物がどんなものなのか、
見て、触ってみたかった。
してみたい事があると、
居ても立っても居られなくなる性分で(笑)。


本物のラブドールは、
とても可愛く、
そして柔らかかった。
肌の質感は、人間そのもの、というと大げさになってしまうけど、
それに近いものがあった。
楽しい体験だった。


一般的な女の子より、
小柄な子が多かったと記憶しているけれど、
映画を観て、その理由が分かった。
ラブドールに使われるシリコンは、
水より比重が重く、
あまり大きいと、
持ち運ぶのが大変なのだそうだ。


エンドロールで、
「協力 オリエント工業」との名前が見えた時、
なんだか知り合いに会ったようで、嬉しかった(笑)。


評価 ★★★☆☆

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