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「リチャード・ジュエル」 [映画]

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〔2019年/アメリカ〕


心優しき巨漢の警備員、
リチャード・ジュエル(ポール・ウォルター・ハウザー)は、
アトランタオリンピックを間近に控えた
1996年の夏、
ライブ会場の公園で、不審なリュックを発見する。


その中身は爆弾。
人々を避難させ、
死者は出たものの、
被害を最小限に食い止めたリチャードは、
一躍、全米のヒーローに。


ところが、地元のマスコミが、
第一発見者という理由だけで、
リチャードが容疑者であるように
報道し始め、
国民もそれを信じるようになる。


FBIの捜査まで入り、
このままでは、リチャードは、
死刑になってしまう。
そこに、彼の無実を信じる
弁護士・ワトソン(サム・ロックウェル)が立ち上がり・・・。





試写会で観た。


実際に起こった、テロ冤罪事件を、
クリント・イーストウッド監督が映画化。
見ごたえのある1本。


この作品、
色々な意味で、
他人事とは言っていられない。


まず、
オリンピックを控え、
国中が浮足立った空気の中、
起こった事件。


それはまるで、
今から、夏までの日本の状況そのもの。


テロは、
何も、オリンピック本番の時にだけ
起こるわけではない。


オリンピック前のイベントを狙われたら、
ひとたまりもない。
もちろん、警備は通常以上に
強化はされるだろうけれど、
その気になれば、
事件を起こす事など簡単だろう。


それから、
冤罪への恐怖。


日本でも、
何の関係もない一般の方が、
犯人だと疑われ、
大変な思いをされたという出来事が何度もある。


特に、ネットがある今は、
噂の広まり方も、
大変な速さで、
何か事件が起こったとき、
特定の人物が、
犯人でもないのに、
あたかも犯人であるかのような書き込みが
されているのを、しょっちゅう見かける。


誹謗中傷は、
一番悲しんでいるはずの遺族に向けられることもあり、
本当に気の毒でならない。


マスコミが、
面白おかしく書き立てる場合もある、
この映画の場合も、
ある女性記者が、
重要な役割を果たす。


リチャードには、
頼もしい弁護士の知り合いがいたから、
嫌疑は晴れたけれど、
誰にも、そんなラッキーな事が起こるわけではないし、
やる気のない弁護士に当たってしまったら、
一体どうなっていたかと思うと、空恐ろしい。


リチャードの母親役の
キャシー・ベイツが、
とても良かった。
愛する息子の為に、
必死になる様子が伝わって来て、
涙が出た。


しっかし、
リチャードが、
「太っている」とか、「母親と暮らしている」とか、
そんな事を理由に、
「だから怪しい」と言われてしまうのも恐ろしい。


もし私が、
何かの事件で嫌疑をかけられたら、
怪しい条件だらけじゃないか。


評価 ★★★★☆

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