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「パーフェクト・レボリューション」 [映画]

perfectrevolution.jpg
〔2017年/日本〕


幼い頃患った脳性マヒにより、
車椅子生活をする
熊篠(リリー・フランキー)は、
障害者の性について講演する事で
生きている。


ある日、講演会に来た
ピンク色の髪をした若い女・ミツ(清野菜名)が、
「私、クマピーの事、好きになりました」と言い、
彼と交際したいと言い出す。


最初は、
テキトーにあしらっていたクマピーだが、
ミツの情熱にいつしかほだされ、
2人は恋人同士に。


ミツは、人格障害という心の病を抱えた、
精神の不安定な女で、
介助士の恵理(小池栄子)は、
内心、心配している。


そんな中、
クマピーとミツに
テレビ出演の依頼が来るのだが・・・。





試写会で観た。

perfectrevolution2.jpg
※ムービーウォーカーさんより


まずは、主演のリリー・フランキーさん、
清野菜名さん、
小池栄子さん、
松本准平監督、
そして、
この映画のモデルとなった熊篠慶彦さんの舞台挨拶。


さらに、途中から、
特別ゲストとして、
峯田和伸が登場するに至っては、
おぉ~!と嬉しくて、
身を乗り出してしまった(笑)。


峯田の曲、「BABY BABY」を、
リリーさんが彼に直接、
「使わせてほしい」とお願いしたそうで、
さらには、ナレーションまで務める事になったそうだ。


リリーさんは、
「障害者が主人公だからと、重い映画でないといけない」
みたいなのはおかしい。
笑って楽しんでほしい、
といった趣旨の事をお話された。


それから、リリーさん、清野さん、小池さんの
共通の思い出として、
雪が降りそうな真冬に、
3人に海に入った場面は、
めっちゃ大変でした、と。


何時間も続く撮影の中、
服の中にお湯入れて温めた、と清野さんが話すと、
「それって、冬場の死因になる行動だよね」と
リリーさんが言って、大笑い。


主人公のモデルである熊篠慶彦さんは、
車椅子に乗っているという事以外は、
全く普通のかたで、
普段から障害者の性の問題に取り組んでいるというだけあって、
明るく、お話も面白く、
リリーさんとは、ずいぶん前からのお友達なのだそうだ。


リリーさんが、
「脳性マヒって言葉が、誤解されやすいよね。
 手足が動かないだけなのに」と。
熊篠さんと初めて会われた方は、
皆さん、彼の普通な感じに驚かれるのだそうだ。
確かに、分からなくもない。
もし熊篠さんにいきなり会ったら、
私だって、同じ事を思うと思う。


映画は、
脳性マヒの男と、
人格障害の女が恋に落ちるわけだけど、
障害がなくても、
「こういうカップルいるよな」と思わされるような、
2人。


私はむしろ、
クマピーの脳性マヒより、
ミツの人格障害の方が、
人から誤解を受けやすいと感じる。


エキセントリックで、
パニックになると、
周囲が見えなくなってしまうミツは、
時に、命にも関わるような、
トンデモ行動に出てしまう。
でも、見た目が普通のため、
誰も彼女が障害を抱えているとは分からない。
人は他人を、そこまで慮ってはくれない。


彼女は、幼少期、
大変に辛い環境で生きてこざるを得なかった。
そして、現在はソープランドで働いている。


職業に貴賤はないとはいえ、
「私はソープ嬢です」と聞かされて、
全く何も感じない人間はいないだろう。
そういった部分からも、
誤解を受けやすい。


テレビの取材や、
クマピーの親戚の人たちの様子からも、
障害者の方への本音が垣間見える。


普通ってなんだろう、と考えさせられる。


評価 ★★★☆☆

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「ダンケルク」 [映画]

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〔2017年/イギリス〕


1940年。
第二次世界大戦が激化したころ。


フランスの港町・ダンケルクでは、
ドイツ軍に追い詰められた、
40万人の英仏連合軍兵士たちが、
絶体絶命の状況に瀕していた。


まだ若い兵士、
トミー(フィン・ホワイトヘッド)と
アレックス(ハリー・スタイルズ)も、
その中にいた。
2人は何とかして生き延びようと模索する。


そんな中、
ドーバー海峡を挟んだ対岸のイギリスでは、
兵士たちを助けるべく、
軍艦も民間船も関係なく、
ダンケルクへ向かっていた。


空軍パイロット・ファリア(トム・ハーディ)も、
出撃。
形勢不利な状況の中、
兵士たちは助かるのか・・・。





試写会で観た。


何ともありがたい事に、
IMAXでの上映。
物凄く贅沢な気分になる。


ケチな私は、
IMAXや3Dで映画を観た方が、
迫力満点だと分かってはいても、
その数百円が惜しくて、
普段は2Dでしか、映画を観ないので。


やっぱりIMAXの臨場感は凄いなぁ。
天井から床までがスクリーン。
音も、体への響きが全然違う。
爆撃されるたびに、
本当に自分がその渦中にいるような迫力を感じる。


帰ってから調べたところによると、
元々、この映画は、
IMAXにかける事を前提に撮られた映画なのだそうだ。
なるほど。
迫力満点なはずだわ。
ただ、逆にいうと、
2Dのスクリーンだと、
IMAXで観られる画像の40%が観られないとか。
それはちょっとどうなのよ、と思わなくもないけど、
まぁ、いいや(笑)。
とにかくIMAXで観られたわけだし。


映画は、特にストーリーというものはなく、
最初から最後まで、
ドイツ軍に攻撃される、
英仏の兵隊たちが描かれる。


クリストファー・ノーラン監督は、
若い兵士の役は、
無名の俳優を使う事に決めていたのだそうだ。
確かにその方が、
兵士を駒としか考えない戦争というものの、
臨場感が伝わってくる。


ただ、
これは、私の問題なのだけれど、
この、ダンケルクという港町で起こった、
兵士救出劇の歴史を全く知らないので、
ただ、映像を観て、
「すごーい」と思うに留まってしまっているのが、
本当に残念だ。


もし歴史に詳しかったら、
もっともっと面白く観られただろうに。


この辺を、
どう考えるかで、
この映画をどう受け止めるかが変わってくるけど、
まぁ、
そんな事、
深く考える事ではないのかな。


評価 ★★★☆☆

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「スパイダーマン ホーム・カミング」 [映画]

spidermanhomecoming.jpg
〔2017年/アメリカ〕


ニューヨークの高校生・ピーター・パーカー(トム・ホランド)は、
スパイダーマンとして、
ヒーロー気取りで活躍する日々。


そんな彼の能力に目を付け、
声を掛けてきたのが、
アイアンマンことトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr.)。


スタークから、
ハイテクスパイダースーツをもらったピーターは、
大喜びで、
さらなる活躍を誓う。


そんなある日、
巨大な翼で飛ぶ怪物が現れ、
ニューヨークが危機に晒される。


あいつを倒さねば!と燃えるピーターは、
「アベンジャーズに任せておけ」というスタークの言葉を
振り切り、
闘いに挑むが・・・。





前シリーズの、
アンドリュー・ガーフィールド版スパイダーマンが
好きすぎて、
今回はどうかなーと、
中々劇場に足が向かず、
出遅れた感がある本作だけど、
それなりに面白かった。


同じスパイダーマンとはいえ、
細部が少し違う。


アンドリュー版では、
恋人・グエンの父は警察官だったけれど、
今回は・・・。
いや、ここには書かないけど。


恋人といえば、
今回のヒロインは、
恋人というより、
ピーターの片思いといった方が近い。
ただ、学校一の美女だと解説に書いてあるけど、
それほど?(笑)


いや、私は、
アンドリュー版で恋人役だった
エマ・ストーンがとても好きだから、
余計にそう思うのかも。


今回の悪役がマイケル・キートンだったのが、
個人的に受けた。


だって、彼は昔、
バットマンじゃん(笑)。
バットマンが、今回はスパイダーマンをいじめる、
陰湿なおっさんかよ、と思うと可笑しくて。
・・・って、
マイケル・キートンがバットマンを演じたのは28年も前。
そんな古い事、思い出すなよって(笑)。


スパイダーマンシリーズで、
いつも割と重要な位置にいるのが、
彼の伯母さんなわけだけど、


今回、その伯母さんを演じるのが、
マリサ・トメイでビックリ。
彼女はまだ53歳よ。
スパイダーマンの伯母さんというと、
もう少しお婆さんのイメージが強かったから。


いや、マリサ・トメイも良かったけど。
今までと違う、
若くてチャーミングな伯母さんって事で。


評価 ★★★☆☆

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「オン・ザ・ミルキー・ロード」 [映画]

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〔2016年/セルビア〕


隣国と戦争をしているある国の、
ある村で、
ミルクの配達を生業としているコスタ(エミール・クストリッツァ)は、
今日も、兵士のために、
銃弾が飛び交う前線に、
ロバで出掛けてゆく。


村一番の美人・ミレナは、
コスタに惚れていて、
コスタにその気はないのに、
戦地に赴いている兄・ジャガが帰ってきたら、
彼との結婚を許してもらおうと夢想している。


ジャガの花嫁候補・モニカ・ベルッチが、
難民キャンプからやって来た。
ミレナは、
ミレナ&コスタ
モニカ&ジャガ
の2組で、
合同結婚式をしたいと考えるが、
しかし、コスタとモニカが、
一目会った瞬間から激しく惹かれ合ってしまう。


そんな中、モニカを一方的に愛する将校が、
彼女を探すため、
兵隊3人を村に派遣、
村は焼き払われ、
モニカとコスタ以外は全員死ぬ。


モニカとコスタの逃亡が始まった。
2人は追手から逃れる事ができるのか・・・。





試写会で観た。


エミール・クストリッツァ監督自らが
主演を務めた、
深く、不思議な味わいのドラマ。


前半は、監督演じる主人公・コスタを中心に、
村の様子が描かれる。
牛がいて、豚がいて、アヒルがいて、
何とも牧歌的な空気。
ヨーロッパのどこかの国の、
山あいの村という雰囲気が、凄くいい。


ただ、戦争さえなければ、だけど。


こんな平和そうな村だけど、
銃弾が飛び交い、
人々は、死と隣り合わせで生きている。
そこが、この映画の不思議な雰囲気を
醸し出すのに成功している。


「呑気」と「戦争」。
この、まるで対極の位置にある2つが、
融合している。
すごく面白い。


私はてっきり、
モニカ・ベルッチを巡って、
コスタとジャガが対立するのかと思っていたら、
そうではなかった。


後半は、
逃亡するモニカとコスタと、
彼らをどこまでもどこまでも追跡する
3人の兵士が描かれる。


「お願いだから、もう2人の事は諦めて。逃がしてあげてほしい」。
と言いたくなるくらい、
兵士たちは、それはもうしつこい。


そんな緊迫した状況なんだけど、
モニカとコスタが、
深く愛し合う気持ちが、
観ているこちらに伝わってきて、
感動するんだな。


とくに、コスタの、
「何があっても、モニカは俺が絶対に守る」って気持ちが、
すんごくいい。
羨ましいくらい(笑)。


私の文章力では、
この映画の独特の雰囲気は、
上手く表現できないけれど、
とにかく、とてもいい映画だったというのは言える。
ラスト、2人がどうなるのか、
それは書かないけれども。


評価 ★★★★☆

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「ザ・ゴキブリ」 [映画]

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〔1973年/日本〕


ゴキブリ刑事こと、鳴神涼(渡哲也)は、
過剰防衛でムショに入っていた、
元刑事・山岡(峰岸徹)の出所にあたり、
出迎えに行くが、
そこで何者かの襲撃にあう。


犯人は、暴力団・黒田組の者に違いない。
黒田組は、
公害問題のデータを改ざんしている大企業と手を組み、
その甘い汁を吸っているのだ。


怪我をした山岡を、
知り合いの漁師に預けた鳴神は、
捜査を開始するが、
公害のデータを持った研究員が殺されてしまう。


黒田組は、
必死になってデータを探すが、
見つからない。
実は鳴神が、
先にそれを見つけていたのだ・・・。





昨日書いた、
「ゴキブリ刑事」の続編的作品だけど、
「ゴキブリ刑事」を観たのは、
すべて、この、「ザ・ゴキブリ」を観たいがため。


なぜかって、それは、
沖雅也さんが出てるから。
沖雅也ブームが始まってから、
すでに1年以上が経過しているけれど、
まだまだ続きそうだよ(笑)。
彼の出演作は、
観られるだけ観ておかないと。


この映画での沖さんは、
渡哲也の次に名前がクレジットされていて、
どんなに重要な役なんだろうと期待していたけれど、
まぁ、立場としては、
渡さん演じる刑事の部下で、
それほどの活躍はなかった。


この映画で、
とっても印象に残ったのは、
犯人を目撃したと言う女の証言を元に、
モンタージュ写真を作る場面。


女の言う通りに、
目や、鼻や、口を付け替えていくと、
なんと、
出来上がった写真は、
峰岸徹にソックリ(笑)。


いや、笑っちゃいけない。
昔は、それしか方法が無かったんだろうけど、
モンタージュ写真というのも、
微妙なものだわね。
だって、一度見ただけの犯人の顔の、
鼻はどんなだったか、なんて聞かれても、
私はきっと答えられない。


しかも、この女、
実は暴力団組長の愛人で、
モンタージュ写真が峰岸さんになるように、
わざと合成させている。


そうか、冤罪を仕立て上げるために、
そういう使い方もあるのか、と、
悪い事ってのは、
どんな状況においても考え出す輩がいるのだなぁと、
変なところに感心。


それから、物語の大筋とは関係ないけど、
考えさせられた場面。
それは、峰岸徹の恋人が、
彼に会いたいと切望しながら、
我慢するシーン。


ところが、次の彼に会った時、
彼は骨壺の中。


やっぱりね、
人生、明日には何があるか分からない。
会いたいと思う人がいたら、
我慢しないで会わないと、
どんなに後悔するか分からないと、
いつも思っている事を、さらに強く思った私。


ところで、
唐突にタンバリンが登場してビックリした。
1分間にも満たないくらいのゲスト出演。
すごく贅沢な使われ方。


評価 ★★★☆☆

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