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「オン・ザ・ミルキー・ロード」 [映画]

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〔2016年/セルビア〕


隣国と戦争をしているある国の、
ある村で、
ミルクの配達を生業としているコスタ(エミール・クストリッツァ)は、
今日も、兵士のために、
銃弾が飛び交う前線に、
ロバで出掛けてゆく。


村一番の美人・ミレナは、
コスタに惚れていて、
コスタにその気はないのに、
戦地に赴いている兄・ジャガが帰ってきたら、
彼との結婚を許してもらおうと夢想している。


ジャガの花嫁候補・モニカ・ベルッチが、
難民キャンプからやって来た。
ミレナは、
ミレナ&コスタ
モニカ&ジャガ
の2組で、
合同結婚式をしたいと考えるが、
しかし、コスタとモニカが、
一目会った瞬間から激しく惹かれ合ってしまう。


そんな中、モニカを一方的に愛する将校が、
彼女を探すため、
兵隊3人を村に派遣、
村は焼き払われ、
モニカとコスタ以外は全員死ぬ。


モニカとコスタの逃亡が始まった。
2人は追手から逃れる事ができるのか・・・。





試写会で観た。


エミール・クストリッツァ監督自らが
主演を務めた、
深く、不思議な味わいのドラマ。


前半は、監督演じる主人公・コスタを中心に、
村の様子が描かれる。
牛がいて、豚がいて、アヒルがいて、
何とも牧歌的な空気。
ヨーロッパのどこかの国の、
山あいの村という雰囲気が、凄くいい。


ただ、戦争さえなければ、だけど。


こんな平和そうな村だけど、
銃弾が飛び交い、
人々は、死と隣り合わせで生きている。
そこが、この映画の不思議な雰囲気を
醸し出すのに成功している。


「呑気」と「戦争」。
この、まるで対極の位置にある2つが、
融合している。
すごく面白い。


私はてっきり、
モニカ・ベルッチを巡って、
コスタとジャガが対立するのかと思っていたら、
そうではなかった。


後半は、
逃亡するモニカとコスタと、
彼らをどこまでもどこまでも追跡する
3人の兵士が描かれる。


「お願いだから、もう2人の事は諦めて。逃がしてあげてほしい」。
と言いたくなるくらい、
兵士たちは、それはもうしつこい。


そんな緊迫した状況なんだけど、
モニカとコスタが、
深く愛し合う気持ちが、
観ているこちらに伝わってきて、
感動するんだな。


とくに、コスタの、
「何があっても、モニカは俺が絶対に守る」って気持ちが、
すんごくいい。
羨ましいくらい(笑)。


私の文章力では、
この映画の独特の雰囲気は、
上手く表現できないけれど、
とにかく、とてもいい映画だったというのは言える。
ラスト、2人がどうなるのか、
それは書かないけれども。


評価 ★★★★☆

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