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「散歩する霊柩車」 [映画]

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〔1964年/日本〕


タクシー運転手・麻見(西村晃)の
妻・すぎ江(春川ますみ)は、
バーに勤める、大変にグラマーな女で、
複数の男と関係を持っている。


麻見は激しい嫉妬心を燃やすが、
ここは怒るより、
金を儲けた方が得だ、と、
すぎ江と共謀し、ある犯罪を思い付く。


それは、すぎ江が自殺したと見せかけ、
2通の遺書の宛名をそれぞれ、
彼女の浮気相手の会社社長・北村と
医者の山越にし、
ゆすって、金を出させようという算段だ。


計画が実行される。
すぎ江は棺桶の中に横たわり、
麻見は、霊柩車で、
北村と山越の所を回り、
その死に顔を見せ、
金を要求する。


ところが、霊柩車の運転手(渥美清)が、
そんな麻見の行動を不審に思い・・・。





何とも不気味なタイトルのサスペンス。


1人の男では満足できず、
何人もの男と同時進行で付き合わずにはいられない、
淫蕩な女を妻に持つ西村晃さん演じる主人公・麻見。


その妻を演じる春川ますみさんの、
グラマーな事ったらない。
まぁ、今の時代にあの体型は、
グラマーというより、
太っている、といった方がいいのかもしれないけど、
でも、むしろリアリティがあって、いい。


ちょっとだらしない女を演出しているせいか、
昭和な白いスリップ姿や、
バスタオルを体に巻いただけの姿で
部屋をウロウロする春川さん。
悪女の貫禄たっぷりだ。


大柄で、ドーンとしている春川さんと一緒にいると、
小柄な西村さんがますます小さく見える。
解説を見ると、
それは狙っての事らしい。


西村さんの嫉妬心に、ちょっと笑ってしまう。
彼は、タクシードライバーだというのに、
商売道具のタクシーで、
春川さんの後を付けては、
男たちとの逢い引きを確認して、
嫉妬心を燃やしている。


そんな事より、仕事しろよって(笑)。


で、その嫉妬心から、
犯罪を思い付くわけだけど、
これがもう、
どんでん返しに次ぐ、どんでん返し。
最後まで目が離せない。


渥美清さんが、
霊柩車の運転手というのも、凄い。
彼は西村さんの計画に、
直接関わってはいないけれど、
あの細い目が、
「すべてお見通し」と言っているようで、怖い。


評価 ★★★☆☆

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