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「君を想い、バスに乗る」 [映画]

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〔2021年/イギリス〕


90歳のトム(ティモシー・スポール)は、
最愛の妻・メアリーを亡くし、
失意のどん底にいる。


トムは、高齢者用のフリーパスを使い、
路線バスを乗り継いで、
旅に出る事を決意する。


行先は、
メアリーとの恋が始まった場所、
「ランズエンド」。
自宅からは1,350キロも離れている。


かくして、トムは出発したが、
道中、
様々な出来事に遭遇し・・・。





90歳の老人・トムが、
妻との思い出の場所に向かって、
1,350キロの道のりを旅する物語なのだけれど、
地図で計測してみたら、
日本なら、直線距離で、
青森から鹿児島までという、大変な長さ。
90歳が、路線バスだけでそれを実行するとは、
いかに大変か、想像できる。


あぁ、面白いな、
と思ったのは、
このトムさん、
スマホというものを持っておらず、
っていうか、
その存在さえ知らないような感じで、
俗世間の喧騒とはかけ離れた、
我が道を行くという様子なところ。


途中、
良い事、悪い事、
それはもう、様々な事があり、
それでも、
なんとか乗り越えて、
目的地まで、
少しずつ、
歩を進めるのだけれど、


実は、そんな彼の事が、
ネットで拡散され、
みんなが彼を見守っている。


しかし、
トムさん自身は、
そんな事は露知らず、
目的地「ランズエンド」で大勢の人が詰めかけているのを見て、
きょとんとしているのが面白い。


映画の演出は、
動画拡散の場面は、
最小限に抑えられているので、
「ランズエンド」の場面では、
観客も、驚けるようになっている。


トムさんは、旅の途中で、
度々、メアリーとの愛の日々を思い出す。


楽しかった事、
辛かった事・・・


人には人の数だけ物語があり、
その人の人生においては、誰もが主人公・・・
私が90歳になったら、
どんな風に人生を振り返るのだろうと思ったり。


バスの中で、
最悪の酔っ払いが、
女性に絡み始め、
トムさんが、それを注意したら、
その酔っ払い、
今度はトムさんに矛先を向ける、という場面があった。


最初は、事の成り行きを黙って見ていた、
他の乗客たちだけど、
トムさんの勇気に触発され、
最後は、一致団結して、
「バスから降りろ!」
「そうだそうだ!」の大合唱。
酔っ払いは、降りるしかなかった。
(その動画は、全世界に拡散された(笑))


紳士の国、イギリスにも、
ああいう輩がいるんだなぁと思ったし、
トムさんや女性に怪我がなくて良かった。
みんなが嫌な思いをせずに暮らせたらいいのに。


評価 ★★★★☆

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