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「世界で一番美しい少年」 [映画]

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〔2021年/スウェーデン〕


『今まで観た映画の中で、何が一番好き?』


と尋ねられる事が、たまにある。
ベストワンを決めるのは、
難しいけれど、
常にベストテンに入っている作品が、
「ベニスに死す」。
 ↓
https://aomikamica.blog.ss-blog.jp/2012-12-07


ゲイを公言している、巨匠・ルキノ・ヴィスコンティ監督に
見出された、
ビョルン・アンドルセンは、
監督の映画「ベニスに死す」で、
主人公の作曲家から、
狂おしいまでの熱情で見つめられるタジオ役を演じた少年。


そんなビョルンの人生を描いた、
ドキュメンタリー映画。


映画は、
ビョルンが初めて、
ヴィスコンティ監督の前に現れた、
オーディションの場面からあり、


ビョルンが名前を呼ばれて、
部屋に入る瞬間を、
私は、恐ろしいような気持ちで観ていた。
「その扉を開けると、モンスターがいる」と。


いや、もちろん、「モンスター」という言葉は、
ビョルンには相応しくない。
でも、圧倒的な美に対して、
あえて、この言葉を使います。
人智を超えた、想像を絶するものを表すのに、
他に言葉が見つからない。


ヴィスコンティ監督は、
ビョルンの美に衝撃を受け、
その場で、
「服を脱いで」と。
この瞬間から、
ビョルンの運命は、大きく変わってゆく。





フィルムを見ると、
素のビョルンは、
健康的で、普通の少年に見えるけれど、
世界的なスターになった彼は、
ヴィスコンティ監督からは性的搾取を、
祖母からは、金銭搾取をされ、
その明るさを失った事は、
知られた話だ。


映画では、
彼の母親の人生にも触れている。
大人になってからの、
家族の事も。
貴重なフィルムだと思う。





このブログを書くにあたって、
片手落ち(この言葉は差別用語だと聞く。
 でも、これ以上にしっくりくる言葉はないので、使う)
なのは、
私が、
ビョルンが2019年に出演した映画、
「ミッドサマー」を観ていない事。


この映画では、
「ミッドサマー」の撮影風景などもあり、
近いうちに観なければ、と思う。
楽しみだ。


評価 ★★★☆☆

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