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「再会の奈良」 [映画]

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〔2020年/日本・中国〕


2005年。
奈良県在住の、
日本と中国のハーフ・清水初美(イン・ズー)は、
中国に住む父親から、
「親しくしている老婆・陳慧明(ウー・イエンシュー)が日本に行くから、
 よろしく頼む」との連絡を受け、
空港に迎えに行く・・・。


1945年。
日本は戦争に負け、
中国に住んでいた、大勢の日本人たちは、
命からがら、中国から引き揚げた。
その時、引き揚げの邪魔(語弊はあるが)になる乳児は、
中国に置いていかれ、
中国人に育てられた。


慧明も、日本人の女の子を預けられた一人。
彼女は、その子に麗華と名付け、
慈しんで育てた。
大人になった麗華は、
「中国残留孤児帰国政策」として、
1994年に、日本に帰った。


慧明と麗華は、手紙をやり取りをしていたが、
ある時から、連絡が途絶え、
心配になった慧明が、
麗華が住むという奈良にやって来たのだ。


かくして、
慧明、初美、
そして元刑事の吉澤一雄(國村隼)の3人で、
麗華探しが始まるが・・・。





日本と中国の合作映画。
中国残留孤児の問題が描かれる。


「中国残留孤児なんて、いつの話?」
「まして、戦争なんて」と、
10代、20代のかたは思うのかもしれないけれど、
戦争の恐ろしさは、
終戦を迎えたから、それで終わり、という事ではない所だと思う。


戦争の傷跡は、
80年近く経った今でも残っているし、
中国残留孤児に限っただけでも、
今では、二世三世の問題が出てきていると聞く。
戦争の犠牲になるのは、
必ず、弱い者たちだ。
戦争は、今後も永遠に、
起こしてはいけないと強く思う。


この映画は、
奈良県御所市が後援という事で、
奈良県でのオールロケ。
美しい景色や街並みが、
堪能できる。


ご当地映画と言っていいんだろうけど、
人探しというテーマは、
ご当地映画と相性がいいのだな、
と、あらためて思う。
登場人物たちが、
人を探して、各地を歩き回れば、
自然に、その土地の景色が写り込む。


テーマは、とても重く感じるけど、
それだけでなく、
笑えるシーンも、沢山ある。
特に、ウー・イエンシューさんの、
可愛いお婆ちゃんっぷりには、
クスクス笑ってしまう。


上映後、
國村隼さん、永瀬正敏さん、秋山真太郎さんによる、
舞台挨拶があった。

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お三人は、
日中合作映画に出られた事を、
とても嬉しく思ったと話され、
「映画は、言葉や文化を超える」と。
あぁ、本当にそう思う。
政治的な意図なしで、
映画やスポーツで、
あらゆる国同士が交流できたらいいのになぁ。


評価 ★★★★☆

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