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「ディア・エヴァン・ハンセン」 [映画]

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〔2021年/アメリカ〕


社交不安障害を抱える、
高校生のエヴァン・ハンセン(ペン・プラット)は、
友達もおらず、
片思いをしているゾーイに話しかけることもできない、
孤独な生活。


ある日、エヴァンは、
セラピストの勧めで、
自分に宛てた、
「ディア・エヴァン・ハンセン」の書き出しで始まる手紙を書きあげ、
学校のプリンターで印刷する。


すると、ゾーイの兄で、
乱暴者のコナーにそれを取り上げられ、
さらに、コナーは、
骨折しているエヴァンの腕のギプスに、
マジックで自分の名前を書き込み、立ち去る。


数日後、校長室に呼び出されたエヴァンは、
コナーが自殺した事を知らされる。
コナーの両親は、
コナーのポケットにあった、
「ディア・エヴァン・ハンセン」の手紙、
そして、エヴァンのギプスにある、
コナーのサインを見て、
エヴァンとコナーが親友同士だった思い込み・・・。





自殺した少年・コナーと親友だったと勘違いされた、
主人公・エヴァンの、
その後の顛末と、人生を描いた物語。


エヴァンが、
コナーの両親に話した事、
それは確かに嘘なんだろうけど、
あの場合、
それって、それほどの罪なんだろうか。


コナーの両親は、
自分の息子が乱暴者で、
学友から嫌われているのを知っている。
気付かないフリをしているような母親だって、
実はめちゃくちゃ悩んでいたと思う。


そんなコナーに、
実は親友がいて、
あんなに優しい手紙を書いていたと知ったら、
嬉しくなるのは当然で、
それで、両親の心が救われるなら、
それはもう、そのままでいいように思うのだけれど。
自ら、「僕は親友でした」と名乗り出たわけでなし。


ただ、やりすぎてはいけない。
エヴァンは、その後、
スピーチをしたり、
それがSNSで拡散されたり、
それで、事が大きくなってしまうのよね。


もし、私だったら、と考える。
私なら、
「僕たちは最近、意気投合し、
 これから友情を深めていこうという段階でした」
と言うかなぁ。
それなら、そこまで嘘というほどではないし。


内気なエヴァンと、
乱暴者のコナー、
タイプは全く違うけれど、
抱えている孤独は同じ。
どちらも、人と上手く付き合えず、
苦しんでいる。


この2人は、その傾向が顕著だけれど、
でも、この世に、
孤独でない人なんているんだろうか、といつも思う。
どんなに家族と仲が良くても、
恋人と上手くいっていても、
親友と呼べる相手がいても、
おそらく、心に抱えている孤独は、
みんな同じなんじゃないだろうかって。


それに、エヴァンには友達がいないというけれど、
いるじゃん。
名前は失念したけど、
インド系の同級生の男の子。
エヴァンは、この子に、
手紙の真相を打ち明ける。
たった一人でも、
そんな事を話せる相手がいるって、
すごいと思う。
あの子は友達じゃないのかなぁ。
友達の定義ってなんだろう。


評価 ★★★☆☆

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