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「血筋」 [映画]

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〔2019年/日本〕


試写会で観た。


中国朝鮮族自治州で生まれた、
現在22歳の青年が、
生き別れた父親と再会し、
交流する様子を描いたドキュメンタリー。


まず、青年の中国朝鮮族というルーツが、
とても特殊。
北朝鮮と中国の国境で生まれ、
朝鮮人でもなく、中国人でもない彼らは、
多少経済的に豊かな韓国に
出稼ぎに行くのが一般的なようだ。


とはいえ、青年は、母親の再婚により、
10歳の時、日本に移住し、
日本の大学を出ている。
生まれ故郷で暮らすよりは、
はるかに幸せなのではないか。


そんな青年が、
3歳で生き別れになった父親が気になり、
探す事を決意する。


しかし、中国にいる親戚に
父の事を尋ねても、
誰も消息を知らないどころか、
父の事を話すのも嫌そうだ。


それでもなんとか再会した父親は、
韓国で不法滞在しながら、
日雇いで働き、
借金に追われていた。


それでも、再会した息子に見栄を張り、
説教する様子に、
青年は辟易するし、
観ているこちらも、げんなりする。


この父親を、
ポスターには、
「無様」と書いてあるし、
ある映画監督は「醜い」と表現している。
(そこがいい、といった感じで、
フォローはされているが)


まぁ、でも、仕方あるまい。
どんな国や地域で生まれようが、
それは運命だし、
全ての人が裕福に暮らせるわけではない。
それに、
久し振りに会った息子に
自分を大きく見せようとしてしまうのは、
誰もそうなのかもしれないし。


父は、
日本の大学を卒業した息子を、
誇りに思っているフシがある。


ただ、学部を言うと、
〇〇学部より、
〇〇学部の方が良かったなど、
お前が言うかってくらい、
面倒くさい。


さらに、息子に借金の肩代わりをしろだ?
なんというか、
親戚たちから、
関わり合いになるのを避けられるのも
分かる気がする。


「血筋」と言ったって、
私には、そんなの、
あまり重要ではないかな。
親がダメなら、
そのような人間にならぬよう、
努力すればいいだけ。


評価 ★★★☆☆

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