SSブログ

「電話は夕方に鳴る」 [映画]

IMG_6290.JPG
〔1959年/日本〕


瀬戸内海のある平和な街の
市長・立花卓造(千田是也)の家に、
脅迫状が届き、
50万円を要求される。


犯人は、卓造の娘・咲子(二木多鶴子)に50万円を持たせて、
喫茶店「家路」に寄こせと言う。
しかし、多数の私服刑事がいる事を見破られ、
計画は中止になってしまう。


その後も脅迫は続き、
警察署長、僧侶、極道の親分など、
街の有力者を巻き込んで、
大騒ぎとなるも、
犯人の尻尾は全くつかめない・・・。





のどかで牧歌的な、小さな街で起こった、
市長への脅迫事件。


犯人は皆目見当がつかず、
街の有力者たちは
右往左往。


それどころか、
犯人の捜査をしていくうちに、
有力者たちの様々な秘密が明らかになる。
愛人がいたり、
息子が政治活動していたり、
美術館に飾ってあったゴッホの絵が贋作だったり、
学生たちが秘密結社を作っていたり。


この映画、
川崎敬三さんが出ているので観にいったのだけれど、
ポスターに一番最初に名前が載っているにも関わらず、
川崎さんは中々出てこない。


やっと出てきたのは、
始まって45分くらい経ってから。
咲子の兄の役で、
さして重要な役ではなかった(笑)。


タイトルはシリアスなミステリーっぽく、
でも、内容はコメディっぽく、
でもでも、
犯人が分かると、
とても哀しく、切ないような気持ちになる。


その犯人を、
登場人物の一人が突き止めるんだけど、
犯行理由が哀しくて、
誰にもその事を話さず、
だから、
事件は迷宮入りで終わる。


観ている者は、
そこにホッとする。
私は、どちらかというと、
白黒ハッキリした物語が好きだけれど、
この映画に限っては、このラストでいい。


それから、この映画、
映像としても、とても貴重。


この映画、
廣岡市という架空の街で起こった事件として
描かれているけれど、
撮影は倉敷市で行われたそうで、
1950年代当時の倉敷市の街が、
これでもかと映し出される。


倉敷市に住んでいる方、
倉敷市が故郷の方、
倉敷市がお好きな方は、
見入ってしまうんじゃないだろうか。


評価 ★★★☆☆

nice!(118)  コメント(6) 
共通テーマ:映画