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「イロイロ ぬくもりの記憶」 [映画]

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〔2014年/シンガポール〕


1997年。
シンガポールで暮らす小学生・ジャールーは、
家でも学校でも、問題ばかり起こし、
両親は手を焼いていた。


母は仕事が忙しい上に、
妊娠しており、
学校から呼び出しがあっても、
すぐに駆け付ける事ができない。


思いあぐねた末、
フィリピン人のメイド・テレサを雇い、
彼女に、ジャールーの世話や、
家事一切をさせる事を決める。


最初はテレサに反抗していたジャールーだが、
彼女の優しさに触れ、
次第に心を開いてゆき・・・。





一人シンガポール映画祭、第2弾。


先日観た、「フォーエバー・フィーバー」が、
 ↓
https://aomikamica.blog.ss-blog.jp/2023-07-15
能天気なダンスコメディだったのに対して、
こちらは、シリアスで、重い。


最初から最後まで、
ずっとピリピリした空気感で、
何か、取り返しのつかない事が起こるのではないかという
不安が、
常に映画全体を覆っている。


実際、登場人物たちは、
誰も彼もが、
様々な理由で身動きの取れない人たちばかり。


メイドとして雇われた主人公のテレサは、
故国フィリピンに、
娘を置いてきたらしく、
金が必要なため、
やっと得たこの仕事を絶対に手離すことはできない。


しかし、雇われた家の息子・ジャールーが問題児なため、
彼が、何かしでかして、
それをテレサのせいにされるのではないかと、
ヒヤヒヤしながら観る。


ジャールーの父は、
実は仕事をクビになっているのだが、
それを妻に言い出せず、
困っているし、


母は母で、
多忙な職場や、
クソガキ(あえてそう言う)の息子、
そして、妊娠のストレスから、
霊感商法のセミナーに出掛けてしまい、
まんまと騙されてしまう。


本筋とは外れるけど、
ちょっと驚く。
シンガポールって、
法律がめっちゃ厳しくて、
道端にゴミも捨てられないんじゃないの?
人を1人殺したら、理由の如何を問わず、
死刑だと聞いているくらいなのに、
霊感商法なんてあるの? って。


この教祖、逮捕されるのだけれど、
一体、どんな罪になるのか、
興味深いところだ。


で、この母親、
ジャールーが、自分より、
テレサに懐いてくると、
嫉妬のような感情を抱くようになるのだから、
始末が悪い。


シンガポール、
とても好きになった国だけど、
そこで暮らしている人々にだって、
当たり前だけど、
悩みがあるのね。


タイトルの「イロイロ」というのを、
私は、
「ま、色々あるさ」の
「イロイロ」かと思っていたら、
テレサの出身地・フィリピンの都市の地名で、
「ILOILO」というスペルなのだそうだ。


評価 ★★★☆☆

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