「ラッキーさん」 [映画]
〔1952年/日本〕
サラリーマンの若原俊平(小林桂樹)は、
庶務課から、社長秘書に抜擢された運の良さから、
皆から「ラッキーさん」と呼ばれるようになる。
もう一人の社長秘書・泰子(島崎雪子)は、
若林に密かな恋心を抱く。
そんな中、
会社の元社長の令嬢・由紀子(杉葉子)の
婿候補を探すため、
運動会が開催され、
由紀子は若林を気に入った様子を見せる。
由紀子に片思いしていた社員・近藤勇三(小泉博)は
ガッカリし、
泰子にとっても、
それは辛い出来事で・・・。
あー、やだやだやだやだ。
と、つい観ながら独り言を言ってしまう。
なぜかって、
彼に片思いしている泰子が
可哀想で可哀想で、
観ているのが辛い。
自分の好きな相手が、
別の女性とどんどん親しくなってゆくのを
目の前で見ていなくてはならないって、
どんな気持ちなんだろう。
泣きたい気持ちをこらえて、
仕事をしなくてはならないって、
どんなに悲しいだろう。
コメディなんだから、
もっと気楽に観ていればいいんだろうけど、
なんだか、そこだけ笑えない。
でも、途中までは、
きっとラストは、若林と泰子は結ばれるのだろうと
思いながら観ていた。
ところがだ。
若林は、あろうことか、
自分の仕事が上手くいかなかった事にイライラした時、
泰子に当たり散らし、
「僕は、君のお父さんみたいに一生うだつが上がらないなんて嫌だ」
などと、最悪の言葉をぶつける。
(泰子の父は、同じ会社で働いている)
なんて嫌な男なんだ。
もういいよ、
泰子さん、そんな男やめなよ、
もっといい男がいるよ、
そんな男を好きでいるなんて、
人生の時間の無駄だよ、と、
私が泰子の友達だったら、言いたくなったくらい。
涙をこらえていた泰子は、
ついに泣き出し、
部屋を出る。
そこで、彼女を慰め、
若林に抗議してくれたのが、小泉博演じる近藤。
そうだ、付き合うなら、近藤の方が断然いいぞ!(笑)
何がラッキーさんだ。
私は若林が大嫌いだ。
このまま泰子と若林に何事も起こらず、
映画が終わればいいな思い始め、
時間ばっかり見ていた。
すると、その後、
展開はコメディらしからぬ方向へ。
ちょっと溜飲が下がるというか、
淋しい終わり。
二人以外の場面は面白い。
社長が愛人を
熱海のホテルで待っていると、
手違いで、奥さんが来ちゃったり、
運動会のマラソンで、
自分が一番だと思っていた人が、
実は道を間違えただけだったりって。
評価 ★★★☆☆