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「丘の上の本屋さん」 [映画]

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〔2021年/イタリア〕


イタリアの美しい村にある、
小さな古本屋さん。
店主のリベロは、
やって来るお客さんたちを
ゆったりと応対している。


ある日、
店の外で本を眺める
移民の少年・エシエンに気付いたリベロが、
声を掛けると、
少年は、本は好きだけれど、
お金を持っていないと言う。


リベロは、
本は返してくれればいい、と、
エシエンにコミックを手渡した。


それ以来、
エシエンは、毎日のようにやって来ては、
リベロが薦める小説を読むようになった。
リベロは、
エシエンから感想を聞く事が、
日課になってゆき・・・。





イタリアの美しい村の古本屋さんで、
繰り広げられる、
店主・リベロと、
移民の子・エシエンの友情、
そして、
近所の常連客や、
いちげんさんの物語。


正直、
あのような商売で、
儲けが出ますの?
という感じだが(笑)、
まぁ、そこは映画。
余計な事は言いますまい。


リベロが最初にエシエンに貸したのは、
「ミッキーマウス」のコミック。


そして次が、
「ピノキオ」。
これは、コミックではなく、
小説の方で、
返却に来たエシエンが、
登場人物の悪者の方に肩入れしたような
感想を言うと、
リベロが、優しくそれを諭す。


もちろん、どんな感想を持とうと、
それは自由だけど、
難民として暮らしている少年に、
正しい道を示しているのかと、
勝手に想像。


その後は、
「星の王子様」、
「白鯨」
「アンクル・トムの部屋」
などなど、
エシエンは、次々読んでは、
感想をリベロに話す。


いいなぁ。
私も、子供の頃から、
ずっとインドアな子で、
本を読むのが好きだった。
こんな本屋さんがあったら、
読み甲斐があっただろうな、なんて思ったり。


ラストは、
ユニセフが関わっているらしい終わり方。


評価 ★★★☆☆

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「川のある下町の話」 [映画]

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〔1955年/日本〕


ある大学病院のインターン・義三(根上淳)は、
川に落ちた幼い子供・和男を助け、
それがきっかけで、
和男の姉・ふさ子(有馬稲子)と知り合う。


ふさ子は両親を亡くし、
和男を育てながら懸命に生きる、
健気な娘で、
義三は、そんなふさ子に強く惹かれる。


義三の伯父は、
街に病院を建て、
義三をそこの院長にし、
ゆくゆくは、娘・桃子(川上康子)と
義三を結婚させようと思っており、
桃子も、その気になっていた。


そんな中、和男が肺炎に罹り、
看病の甲斐なく、死んでしまう。
天涯孤独になったふさ子は、
義三のアパートに泊まるが、
それを桃子に咎められ、
アパートを飛び出し・・・。





このタイトルから、
川のある下町で暮らす、
市井の人々の、
のんきな暮らしを描いた話かと思っていたけれど、


川端康成さん原作の話が、
そう一筋縄でいくわけもなく、
大変に重く、暗い。


これでもかと言わんばかりに、
主人公のふさ子に降りかかる不幸な運命。


たった一人の肉親である、弟を亡くし、
住んでいるバラックは、
病院建設の為に追われ、
パチンコ屋の二階に住み込めば、
店員の男に凌辱されそうになり、
必死で逃げだせば、
アメリカ兵たちが乗る車に連れ込まれそうになり、
そして、
義三のアパートに置いておいた、
立ち退き料の現金は、
同じ下宿の男に盗まれ・・・と、
もう散々だ。


あまりに悲しい事の連続に、
とにかく、ラスト、
ふさ子が幸せになれるかどうか、
先に知っておきたい衝動に駆られ、
DVDを早送りしたい気持ちを、必死に抑えた。


ところで、この映画、
山本富士子さんが出ているので、
てっきり主役かと思ったら、
彼女は、
根上淳さんに片想いをする、
同じインターン仲間の役。


根上さんは、
同僚としての気安さから、
山本さんに、自分の恋愛を相談するのだけれど、
山本さんにしたら、それはあまりにショックな事で、
「残酷ですわ」と。
多分、根上さんは、
なぜ、そんな事を言われるのか、
分からないようだけど。


ただ、私から見ると、
山本さんは医者の卵で、
これから、いくらでも活躍できそうだ。
「あなたは、他の場所・他の人で、
 幸せになれそうなのだから、
 根上さんは、ふさ子に譲ってあげてほしい」と
思う気持ちが止められない。


根上さんは、
山本さん、有馬さん、川上康子さんの3人から
惚れられ、モテモテである(笑)。


暗い話だけれど、
希望の持てるラストで、本当に良かった。


評価 ★★★★☆

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