◆エゴイスト◆ [本]
大学を出て、
出版社で働いている浩輔も30代半ばとなり、
体形が気なり始めたため、
8歳年下のパーソナルトレーナー・龍太を紹介してもらう。
2人はすぐに、互いに惹かれ合い、
恋に落ちる。
龍太は、癌に冒された母を養っており、
14歳の時、同じ病で母を亡くした浩輔は、
彼らに手を差し伸べる。
それがこの先、
思わぬ結果を招くとは、
その時は思いもせずに・・・。
編集者でエッセイストの高山真さんが書かれた、
自伝的小説。
タイトルは「エゴイスト」。
エゴイスト?
あれはエゴなのか。
そう言うなら、
この世の愛は、
全てエゴだ。
浩輔と龍太が、
心の底から愛し合い、
龍太の母親まで巻き込んで、
笑い合った日々は、
どのような結末を迎えようと、
人生を彩った、
かけがえのない時間だったはず。
テーマとは関係ないけど、
一つ。
浩輔を、
「オカマ」だと囃し、
自殺を考えるようになるまで、
壮絶ないじめを繰り返し、
浩輔の母の死をも、
小馬鹿にして笑った、
小中学校の同級生ども。
浩輔が、
難関大学を卒業後、
大手出版社に入社し、
高給を得、
ブランド物の服とバッグで身を固め、
颯爽と帰省した際、
偶然出会った、
いじめの主犯格・Aは、
声もかけられず、
目も合わせられず、
こちらを盗み見るだけで、
逃げるように立ち去った場面には、
心底、溜飲が下がる。