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「ある男」 [映画]

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〔2022年/日本〕


離婚して、幼い息子と一緒に、
故郷宮崎に戻った里枝(安藤サクラ)は、
町にフラリとやって来て、
林業を手伝うようになった男・大祐(窪田正孝)と出会い、
再婚する。


娘も生まれ、幸せな日々が続いたが、
大祐が、倒れた木の下敷きとなり、死亡。
里枝は、一周忌に、
疎遠だった大祐の兄を自宅に招くが、
大祐の写真を見た兄から、
これは弟ではないと言われ、驚く。


では、大祐は一体何者なのか。
里枝は、
離婚の時に世話になった
弁護士・城戸(妻夫木聡)に、
大祐の身元調査を依頼。


城戸の懸命の調査により、
絡まった糸がほぐれるように、
少しずつ、大祐の正体が分かってくる・・・。





身元ってなんだろう、
その人が、その人である証明ってなんだろうと、
考えさせられる。


戸籍があれば安心なのか。
誰から生まれて、
どこで育って、
現在どこに住んでいて、
肩書は何で・・・
そんなものは、
案外、脆いものなのかもしれない。
簡単に書き換えられるのかもしれない、
と思わされる。


まぁ、私くらいいい年になれば、
友達になるだけなら、
その人の身元が何だろうと、
あまり関係なくなるけど、
この映画の主人公・里枝は、
子供まで成した夫が、
実は、何者か分からない、となれば、
それは、真剣にもなろうと思う。


調査依頼をされた城戸弁護士役の、
妻夫木くんが本当にいい。
私が元々、妻夫木くんのファンというのを
差し引いても、
その演技に見入ってしまう。
もうおじさんの域に入った彼だけど、
いいおじさんになっている。
ずっと彼を見てきて良かった。


身元といえば、
城戸も、
自分の、ある出自に、
常にコンプレックスを抱えていて、
それでも、懸命の努力で、
今の地位を勝ち取ったような様子が
垣間見える。


そのおかげで、
金持ちの娘を嫁にできたようだけれど、
それでも、
嫁の両親に頭が上がらず、
また、様々な方面から、
日々、傷つけられる事も多いようだ。


そうか、そういう立場の人たちは、
日々を、そういう思いで暮らしているのか、と、
あらためて知ったような思い。


オールキャストで、
真木よう子や、仲野大賀が、
短い出演時間で、出ているのも凄いし、
個人的に、
清野菜名って、
めちゃめちゃいいな、と思った。


評価 ★★★★☆

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