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「人情馬鹿」 [映画]

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〔1956年/日本〕


バイクのセールスマン・津川(菅原謙二)は、
キャバレーの歌手・ユリ(角梨枝子)に
本気で惚れており、
母親にも、
彼女との結婚を考えていると伝える。


ある日、津川の会社で、
「金を納めたのに、バイクが届かない」
という苦情の電話が何本も入る。


なんと、津川は、
キャバレーに通う金欲しさに、
バイクの売掛金を横領していたのだ。


津川の母親が、
ユリのマンションにやって来たが、
ユリには責任のない事。
母親が肩を落として帰ってゆく後ろ姿を見た
ユリは・・・。





キャバレーの歌手・ユリに惚れ込み、
毎日のように通ってくる男・津川。


津川は、ユリにプロポーズするが、
ユリにとって津川は、
単なる客の一人に過ぎない。
彼女には、
他にも、言い寄ってくる男が沢山おり、
でも、
誰のものになる気もないらしい。


津川が、
自分の為に、会社の金に手を付け、
逮捕されたと知ったユリは、
決して、自分が悪いわけではないけれど、
彼の母親の意気消沈した姿に、胸が締め付けられる。


そして、ユリは、
思わぬ行動に出る。


裁判所に出向き、
どうしたら、彼を救えるのかと、
検事に尋ねたのだ。


検事は、
「受け取った金を、
 預り金でなく、借りた金だと書き換えてもらえれば、
 無罪になる。
 しかし、何軒もある全部を書き換えてもらうのは難しい」と。


そこからユリの奮闘が始まる。
被害者のところに、一軒一軒回り、
土下座も厭わない勢いで、
お願いしたのだ。


彼女はなぜ、そこまでするのか。
津川には、
「あなたのためじゃない。
 あなたのお母さんのためだ」
と言うけれど、
それだけなのか。


ユリは津川が好きだったのかもしれない。
自分で気付いているかどうかは分からないけど、
他の酔客とは違った、
本気で自分との結婚を考えてくれている津川を。


でも、その反面、
彼女は水商売しかできない自分を知っている。
平凡なサラリーマンの妻として、
専業主婦になるとは、想像できない。
津川にだって、
迷惑をかけるかもしれない。
そんな気持ちなのかなぁ、と。


淋しいラストだった。


評価 ★★★☆☆

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