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「傷ついた野獣」 [映画]

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〔1960年/日本〕


真木幸平(片山明彦)は、
スラム街で小さな医院を営む医師。
近所に住む娘・由紀(三木裕子)は、
幸平の助手として働いている。


ある日、医院に、
拳銃で片腕を撃たれたヤクザ・春日井(根上淳)が、
助けを求めてやってきた。
春日井を見た幸平は、
戦時中、自分の命を助けてくれた男だと気付いた。


そんな恩があり、
幸平は春日井を、
警察に突き出す事ができず、
傷の治療をして、自分の部屋に寝かせた。


由紀の弟で12歳の鉄夫は、
拳銃を持って潜伏している春日井に、
憧れの気持ちを抱き、
自分もヤクザになりたいという、
思ようになり・・・。





ヤクザ同士の抗争で、
怪我を負い、
小さな医院にやって来た、
春日井という男。
まさしく、「傷ついた野獣」。


それだけなら、
傷が癒えたら、
とっとと出ていってもらえば済む事だけれど、


病院の助手をしている女性の弟・鉄夫が、
彼に、心底入れ込んでしまったから、
話が思わぬ方向へ。


鉄夫は、元々、
ワルに憧れる傾向があり、
春日井に出会う前から、
決して、品行方正とはいえない少年。


それが、本物の、
しかも、見てくれのいいヤクザに出会ってしまったものだから、
「弟分にしてくれ」と頼み、
春日井の使いで、
春日井の情婦のいるバーに、
伝言を届けたり、
手先に使われてしまう。


こういう物語を観ていると、
考えてしまう。
子供は純粋無垢だと言うけれど、
持って生まれた「気質」のようなものは、
どうしようもないのではないか、と。
教育や、環境は、
もちろんとても大事だけれど、
どうも、鉄夫には、
なにか、持って生まれた、
ワルの方へ惹かれてしまう、
止められない「何か」があるように感じられてしまう。


医者の幸平は、
春日井に、懇願する。
「お前はいずれ捕まる。
 どうか、鉄夫に、
 お前の一番みっともない姿を晒して、
 鉄夫を失望させてくれ」と。


その言葉に「けっ」と、
小馬鹿にした感じでいた春日井だけど、
ラスト、
幸平の願いを聞き入れる。


鉄夫は、春日井の様子にガッカリし、
ヤクザへの憧れの気持ちは失せるのだけれど、
現実はどうだろう。
あんなに上手くいくのだろうか。


評価 ★★★★☆

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