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「都会の牙」 [映画]

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〔1959年/日本〕


新宿を根城にしている旭光組のチンピラたちは、
女を拉致して凌辱を繰り返すという、
最低の集団。
ある日、金持ちの令嬢が被害に遭い、
彼女はそれを苦に、鉄道自殺をする。


主犯格の三田(杉田康)が
警察に目を付けられると、
旭光組の組長・吉岡(高松英郎)は組を解散し、
今後の商売は、ナイトクラブの経営と、
麻薬の取引だけと決める。


刑事の内堀(北原義郎)は、
自分を頼ってきた、
家出娘の由利(叶順子)と待ち合わせをするが、
彼女は現れなかった。
由利は、三田の毒牙にかかったのだ。


三田の弟分に・鉄(根上淳)という男がいた。
彼はチンピラというには
やけに落ち着いた風情。
実は彼の正体は・・・。





杉田康という俳優さん、
大映の映画を観ていると、
毎回、顔を見ると言っていいくらい、
殆どの作品に出ているイメージ。


大抵は、ワル役で、
たまに、気のいい兄さん役を演じる事もある、
大映には欠かせない
脇役俳優さんの一人。


そんな杉田さんが、
この映画でも、
やってくれる。


杉田さん演じる三田というチンピラは、
人間の心も持っていなさそうな、
最悪の人間で、
新宿の通りを歩く若い女性に目を付けると、
拉致し、
薬物を投与し、
言いなりにさせる。


こんな役、
演じたくないだろうなぁ、なんて思うけど、
いや、案外、
悪役の方が
演じ甲斐があるのかもしれないけど。


そんな三田の弟分を演じるのが根上淳さん。


彼は、チンピラ仲間の中では、
一人、毛色が違っていて、
堂々としていて、
男気に溢れている。


杉田さんと並ぶと、
根上さんの方が兄貴分みたい(笑)。


と思ったら、
彼の正体は、
(こんな映画、誰も観ないでしょうし、書いちゃいますが)


麻薬Gメン。


そりゃあ、叶順子さんにも手を出さないはずだ。


根上さんは、
三田を殺せと、
組長に命じられる。


麻薬Gメンが殺人などできるはずはなく、
こういう場合、どうするの?
と気を揉む。
きっと警察には、
そういった事も想定した、
マニュアルがあるとは思うのだけれど。


評価 ★★★☆☆

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「猫は知っていた」 [映画]

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〔1958年/日本〕


音大生の仁木悦子(仁木多鶴子)は、
兄・雄太郎(石井竜一)と共に、
箱崎医院の二階に引っ越してきた。
箱崎家の院長の末娘・幸子にピアノを教えるためだ。


数日後、
箱崎家の庭に、
防空壕がある事に気付いた悦子は、
幸子と共に中に入ってみると、
なんと、奥の方に、
院長の母親の他殺死体があった。


同じ頃、
入院患者の平坂が姿を消しており、
犯人は、平坂ではないか、
というのが大方の見方であった。


けれど、
ミステリー小説マニアの悦子は、
平坂犯人説に違和感を感じ、
独自で推理を始め・・・。





これはもう、
ツッコミどころ満載で、
かえって面白い(笑)。


仁木多鶴子さん演じる主人公・悦子が、
兄と共に、箱崎医院に引っ越してきた途端、
殺人事件が起こるというのもすごいけど、


そもそも、なぜ、彼ら兄妹が、
病院に住み込むのかが、謎。
いくら、娘の幸子にピアノを教えるとはいっても、
彼らの部屋は、病室の一室。
そんなところに、入院患者を入れずに、
なぜ、下宿人を住まわせるのか。
患者を入院させるより、金になるのか?
いや、違うな。
部屋代は格安だというし。


しかも悦子は、猫連れ。
普通に診察室や手術室に入れる建物で、
動物は問題なのでは。
当時は今ほど気にしなかったのか?


箱崎家の院長が、
警察の霊安室に赴く場面があるのだけれど、


なぜか、それに悦子が付いていくってのも、
変じゃない?(笑)
彼女は、血縁者でもない、
ただの下宿人よ。
しかも、まだ若い女子大生。
いくらミステリー小説が好きだからって、
そんな事は、理由にならないだろうて。


そう、
悦子はミステリー小説が大好きという設定なのだけれど、
彼女は、事件をずっと頭の中で考える。
そして、考えた結果の推理が、
ほぼ、当たっている(笑)。
凄い能力だ。
ラスト、真犯人まで突き止める。


原作は、
作家・仁木悦子さんの、
同名小説。


第3回江戸川乱歩賞を受賞した作品だそうで、
その応募は、
江戸川乱歩さんの勧めがあったと、
ウィキペディアにある。


それが事実としたら、
当時としては、
凄い小説だったのかも、
と思ったりする(権威に弱い(笑))。


もしかしたら、
映画は相当端折ってあって、
原作は面白いのかも。


評価 ★★★☆☆

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