◆幻色江戸ごよみ◆ [本]
宮部みゆきさんが描く、
江戸・下町の、
人情と恐怖。
12の短編が収められていて、
どれも面白い中、
私が一番好きだと思ったのは、
第四話の、
「器量のぞみ」。
「醜女」で「大女」、そして「愛想なし」。
深川で父親と暮らすお信は、
花も恥じらう18歳だというのに、
長屋の皆からそう言われているし、
自分でも、重々承知している。
気風が良くても、
器量ばかりは、どうする事もできないと
諦めている。
ところが、そんなお信を、
この界隈でも有名な美男子・繁太郎が
嫁にほしいと言ってきた。
「冗談はよしとくれ」と、
最初は怒ったお信だが、
どうやら繁太郎は本気らしい。
彼は、お信に一目惚れしたと言う。
噂は瞬く間に広がり、
それを聞いた誰もが、
「ひえー」と声を上げる中、
お信は、繁太郎の元に嫁いだ。
繁太郎が優しくて、真面目で、働き者。
さらに、
舅姑、そして2人の妹たちも、
それはもう、お信に親切に接してくれて、
お信は、幸せながらも、
何か、恐ろしいような気持ちを拭えない・・・。
読み進めながら、
あぁ、どうか、
お信が不幸になりませんように、
この物語がハッピーエンドですように、と
願わずにはいられない。
でも、うん、大丈夫。
とても素敵なラストでした。
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ところで、この本、
近所の古本屋さんで買ったのですが、
中に、書店の栞が挟まれていました。
「白石書店」。
うーん、どこの本屋さんだろう、
多分、今まで聞いた事のない本屋さん。
「エスパル」というショッピングモールも、
ちょっと記憶にありません。
気になるので、検索してみましたら、
福岡県の本屋さんだと分かり、
ビックリ。
そこまで遠いとは思っていなかったのです。
福岡の本屋さんの栞が、
海を超えて、今は私の手元にある。
どのような経路を辿ってきたのかは、
分からないけれど、
ちょっと面白く思った出来事でした。