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「ハッチング 孵化」 [映画]

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〔2022年/フィンランド〕


フィンランドのある街に住む、
12歳の少女・ティンヤ(シーリ・ソラリンナ)は、
両親と弟の4人暮らし。


ある時、ティンヤは、
森で、鳥の卵を見つけ、
持ち帰るが、
卵は、どんどん大きくなる。


やがて孵化した卵から出てきた「それ」は、
欺瞞に満ちた、
ティンヤの家族の実態を暴き出してゆく・・・。





フィンランドのホラー映画。


主人公は、12歳の少女・ティンヤで、
少女が育て卵から産まれたのがモンスター、
という物語だけれど、
実際のモンスターは
母親ではないかと思う。


この母親は、
上っ面だけの、薄っぺらい女で、
常に、家族の幸せな様子を
スマホの自撮り棒で録画していて、
動画の中の家族が、
世界の全て。


笑顔を絶やさず、
優しい言葉で、
幸せを演出しているけれど、
娘・ティンヤが思っているような成果を出さないと、
無言の圧力で、
精神的に追い込む。


そのくせ、
自分は、欲望のままに生き、
それを知ったティンヤに、
変な屁理屈で口止めを。


母には母で、
何やら辛い過去がありそうだけど、
それは、あなたの問題。
娘はあなたの生まれ変わりじゃない。


母親に完璧を求められ、
それに応えられず、歪んでゆく娘・・・
理解できる設定だと思ったら、
なるほど、女性の監督さんでしたか。
めちゃめちゃ納得。
ジェンダーレスだ、
男も女もない、という世の中だけど、
この母娘の感覚は、
女が描いた方がよりリアルになるであろう。


ティンヤが孵化させてしまったモンスターは、
グロテスクで、
気持ち悪く、
私が何より嫌悪したのは、
モンスターの餌。


観られたかたなら、
何のことだか分かるでしょうが、
それこそ、
吐き気を催す感じ(笑) ←笑い事ではないが。


いや、実は、この餌こそ、
ティンヤの心そのもの。


思春期に陥りやすいと言われる、
ある症状そのまんま。


あー、
誰かとこの映画について、
小一時間、語り合いたい(笑)。


評価 ★★★☆☆

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