SSブログ

「誘拐報道」 [映画]

yuukaihoudou.jpg
〔1982年/日本〕


大阪・豊中市の、
小学校一年生・三田村英之が何者かに誘拐され、
父で小児科医の三田村昇に、
三千万円の身代金を要求する電話がかかってくる。


警察は、マスコミ各社に
「報道協定」の要請、
解決まで、
事件を公表をしないよう、自粛を求めた。


英之を誘拐したのは、
古谷数男(萩原健一)。
古谷は、喫茶店の経営に失敗し、
多額の借金を負っているため、
切羽詰まり、
誘拐を思い付いたのだ。


ところが、
誘拐した英之が、
自分の娘・香織と一番の仲良しだと知り・・・。





これは、
1980年に実際に起こった誘拐事件をもとに、
作られた映画だそうだ。


犯人探しのサスペンスではなく、
犯人の焦燥、
被害者家族の慟哭、
警察と新聞社の攻防が、
緊迫感を持って描かれる。


それにしても、
自分が、喫茶店の経営に失敗したんだか
なんだか知らないが、
安直に、他人の子供を誘拐するとは、
そんな酷い話があるものか。
半狂乱になって、
息子の安否を尋ねる母・秋吉久美子の気持ちが、
痛いほど伝わってくる。


萩原健一演じる犯人・古谷の計画は、
杜撰すぎて、
大変なダメっぷり。
「電話で十分に脅せば、警察には通報しないだろう」という、
その見通しの甘さは一体どこからくるのか。
さらに、金の受け渡し方法も、
行き当たりばったり。
ケータイのない、この時代、
公衆電話だけが頼りなのに、
10円玉も十分に用意していないなど、
全てが無計画。


しかも、ラスト、
英之ちゃんは助かったからホッとできるけれど、
実は古谷は、
途中、何度も、
英之ちゃんを真冬の海に放り込んで、殺そうとしている。
その度に、何らかの邪魔が入り、
断念するのだけれど、
それは、たまたまそうなっただけで、
古谷の殺意は明らかじゃないか。
あまりに酷すぎる。


なかなか面白い映画だけど、
萩原健一と、
妻役の、小柳ルミ子が、
妙に「男と女」の雰囲気になるのは、
必要のないシーンなように思えたし、
それから、
夫婦の娘の入浴シーンが、
とにかく無駄に長く、
全く必要のない場面だった。
今見ると、本当に気持ちが悪い。


どんな犯罪も「割に合う・合わない」なんて言葉を
使ってはいけないと思うけど、
特に誘拐ほど、
「割に合わない」事はないと聞く。
成功した例は、ほぼ無いともいうし。
そういえば、最近は、
身代金目的の誘拐事件って、
あまり聞かない。
「割に合わない」という情報が、
浸透してきたからだろうか。


評価 ★★★☆☆

nice!(152)  コメント(10) 
共通テーマ:映画