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「喜劇 おめでたい奴」 [映画]

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〔1971年/日本〕


大阪の北新町で、料亭「梅の井」を
経営する千代(香川桂子)は、
池田興行から、2億5千万で、
土地を売ってくれと言われるが、
応じようとはしない。


5年前、千代の息子・清が、
交通事故に遭った際、
「梅の井の仲居の中に、僕の恋人がいる。
 その人に、店を継がせてやってほしい」
と言いかけたまま、
死んでいったのだ。


千代は、清の遺志を継ぎ、
清の恋人が判明するまで、
絶対に店は売らないと固く決心している。


それを知った仲居たちは、
我こそが、清の恋人だったと言い張るが、
全員が矛盾点を指摘され、
あえなく撃沈。


一体、清の恋人は誰なのか・・・。





古い映画やドラマを観ているうちに、
大好きになった、花登筐さん。


商家や、料亭や、旅館を舞台に、
丁稚や女将が主人公の話が多く、
お話がとっても面白いのだけれど、
ただ、なかなかソフトがない。


大手DVDレンタル店を検索してみても、
1本もヒットしない。
なぜ?
花登さんの作品を埋もれたままにさせておくなんて、
本当に勿体ない。


この映画は、
花登さんの「喜劇三千本」を記念して、
花登さんご自身が、
製作・脚本・監督を務めた作品だという事だ。


そんな記念映画だからか、
もう、出てくる人全員がスターで、
豪華すぎ。


お話も、
交通事故で瀕死の息子・清が、
「ぼ、僕の恋人は・・・み、店で働く・・・」とまで言って、
ガクっと死ぬという、
コテコテの展開。
それまで、苦しいながらも、
結構話していたというのに。
早く名前言えや、って(笑)。


その後は、
女たちが、名乗りを上げるわけだけど、


一番面白かったのは、浜木綿子さん演じる和子。


彼女は日記帳を捏造して、
清とのデートの記録などを、
千代に読み聞かせる。


すると、そこで千代が出してきたのが、
自分の日記。
千代が、和子の日記と自分の日記とを
読み合わせると、


和子「昭和39年5月20日 雨」
千代「昭和39年5月20日 晴れ・・・あれ?」
和子「今日、清さんと京都へ行く」
千代「今日、清と奈良へ行く・・・あれ?」


ってな具合(笑)。


やっぱり記録は大事だわ(笑)。


私は、結構、記録魔なところがあって、
日記をつけたり、
観た映画の感想を書いたり、
使ったお金を細かくつけたりと、
色々、記録している事が多い。


友人との会話の中で、
記憶に相違があると、
日記を調べて、
「あれは、〇年〇月〇日、どこそこでの出来事だ」なんて、
確認したりもする。
すごく嫌な奴だと、自分でも思う(笑)。


でも、人生何があるか分からない。
この映画のような事態が、
いつやって来るかもわからない・・・
・・・って、おそらく一生ないであろうが(笑)。


評価 ★★★☆☆

nice!(62)  コメント(4) 

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コメント 4

Ginger

いろんな意味で「おめでたい奴」と言われたーい!
by Ginger (2017-08-29 18:49) 

裏・市長

花登筐先生の活躍した時代、環境が悪い。

その作品のほとんどが関西が舞台であり、
ほかに地方の方には馴染みがない。

舞台芝居は映像が残されていない。
テレビ放送創成期のため、作品が残されていない。

実際の作品を見られないという事は、
評価のしようがない。
つまりは評価されないまま、
人々の記憶から消えていく運命にある…。

これ、前にも話したかも知れませんが、
世間の人って、過去に発表された映画や、
テレビ番組はキチンと保存されていて、
いつでも再放送、リバイバル上映できると
思っている人がほとんど。

でも実は、まったく保存されていないのだな。
これが。

NHKなんか、1990年代の映像すら抜けがある。
特番なんかで、
昔はビデオテープが高価だったので、
すべて上書きされてしまったんですよ~というのが、
定番なのだが、60年代ならまだしも、
1990年代でそれは通じないわ、正直。

映像を文化として認識して、
後世に残すという概念が本当に薄かったのだ。

だから記録魔結構。
人間の記憶って、結構いい加減で、
記録しておかないと、自分の都合のいいように
ねつ造したり、粉飾したりしちゃう。

だから、しっかり書き留めておいてください。

実花「今日、裏夫のいる奈良へ行く・・・あれ?」。


by 裏・市長 (2017-08-30 00:52) 

青山実花

Gingerさん
コメントありがとうございます。

「おめでたい奴」と呼ばれる・・・
いいですねー。
人生、おめでたいままで終わりたいものですね^^

by 青山実花 (2017-09-01 22:00) 

青山実花

裏夫さん
コメントありがとうございます。


2017年9月1日(土)晴れ

今日、裏夫から、
花登筐先生についての説明を受けた。

さすが、裏夫は、後期高齢者らしく、
古い映像に詳しいようで、
花登先生に関しても、
色々知っている事が多そうだ。

私は花登先生の伝説のドラマ、
「細うで繫盛記」が観たくてたまらないのだが、
おそらく、このドラマもテープは残っていないのだろう。
本当に残念だ。
裏夫は、リアルタイムでこのドラマを観ているのであろうか。
もし観ているとしたら、羨ましい。
私は、「あかんたれ」を小説で読むのが精一杯だというのに。


その後、裏夫の話は、
映像全般に移った。
裏夫は映像ソフトが大切にされていない事に、
相当憤っているようだ。

確かに、彼の言う事は尤もだ。
映像は文化だ。
もっと大切にしろ。
失ってから慌てたって、
あとの祭りだぞ。
逃げた恋人は二度と戻ってはこないんだぞ・・・あれ?


久し振りに会った裏夫は元気そうだったが、
年齢のせいか、時折、認知症の症状が見られた。
彼の頭の中では、
私は何度も奈良で彼とデートした事になっているらしい。
記憶の捏造とは恐ろしい。
せめて日記でもつけてくれていれば、
それが妄想だと証明されるのだけれど。

by 青山実花 (2017-09-01 22:00) 

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