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「やくざ絶唱」 [映画]

yakuzazesshou.jpg
〔1970年/日本〕


やくざの立石実(勝新太郎)は、
父親違いの妹・あかね(大谷直子)を、
殊の外、可愛がっていた。
他人から見ると、
その様子は、
常軌を逸していると思えるほどに。


しかし、あかねは、
そんな実を疎ましく思い、
高校の新任教師・貝塚(川津祐介)と、
関係する。


それを知った実は、怒り狂い、
その苛立ちを、
敵対する組の構成員に向け、
怪我をさせ、
逮捕される。


あかねの父(加藤嘉)が、
養子の裕二(田村正和)を伴い、
あかねの家にやって来る。
父は今までも、
何度もあかねを訪ねてきたのだが、
その度に、実に邪魔され、
会えずにいたのだ。


あかねと裕二は、
次第に惹かれ合い、
結婚を意識するようになる。
釈放された実はそれを知り・・・。





この映画、
今迄に何度も名画座でかかっているので、
観てはいなくても、
内容は知っていた。


妹に、異様なまでの執着を見せる、
兄の話だと。


ただ、私はてっきり、
妹の方も、兄と同じ気持ちで、
危うい雰囲気なのかと想像していたので、
そうではなかった事にホッとする。
近親相姦の話は、
どうにも気持ち悪くて、
性に合わん。


しっかし、
いくら妹の方にその気がなくても、
勝新太郎の言動は普通じゃない。


それを一番よく知っているのが、
勝新太郎兄妹と一緒に暮らす、
勝新太郎の情婦・太地喜和子。


同じ屋根の下で、
勝新太郎の、妹に対する執着を、
目の当たりにしている太地さんは、
それを罵る。


そりゃあそうだろう。
彼女は水商売をする、
一見、アバズレ女のようだけれど、
意外と純情で、
勝新太郎以外の男とは、
絶対関係しないと決めているような、
真面目なところがある。


それなのに、
自分にはプレゼント一つ買ってこない男が、
妹には、あれやこれやと
不必要なものまで買い与える様子を見たら、
苛立つし、
怒るに決まってる。


しかもそれを指摘された時の、
勝新太郎のキレっぷりが異常。
人って、本当の事を言われると怒るのよね。


結局、勝新太郎は、どうしたかったんだろう。
どんなに好きでも、
指一本触れられない妹と、
どうなりたかったんだろう。


ラストは、
こうなるしかないのかも、という終わり。


評価 ★★★☆☆





以前、リクエストをいただきましたので、
増村保造監督の映画を観た際は、
リストを載せる事にしています。


(★は観た作品)
(全制覇まで、残り5本)


★くちづけ(1957年)
★青空娘(1957年)
★暖流(1957年)
★氷壁(1958年)
★巨人と玩具(1958年)
★不敵な男(1958年)
★親不孝通り(1958年)
★最高殊勲夫人(1959年)
★氾濫(1959年)
★美貌に罪あり(1959年)
★闇を横切れ(1959年)
★女経(オムニバス・第1話 耳を噛みたがる女)(1960年)
★からっ風野郎(1960年)
★足にさわった女(1960年)
★偽大学生(1960年)
 恋にいのちを(1961年)
★好色一代男(1961年)
★妻は告白する(1961年)
★うるさい妹たち(1961年)
★爛(1962年)
★黒の試走車(1962年)
★女の一生(1962年)
★黒の報告書(1963年)
 嘘(オムニバス・第1話プレイガール)(1963年)
 ぐれん隊純情派(1963年)
★現代インチキ物語 騙し屋(1964年)
★女の小箱より 夫が見た(1964年)
★卍(1964年)
★黒の超特急(1964年)
★兵隊やくざ(1965年)
★清作の妻(1965年)
★刺青(1966年)
★陸軍中野学校(1966年)
★赤い天使(1966年)
★妻二人(1967年)
★痴人の愛(1967年)
★華岡青洲の妻(1967年)
★大悪党(1968年)
★セックス・チェック 第二の性(1968年)
★積木の箱(1968年)
★濡れた二人(1968年)
★盲獣(1969年)
★千羽鶴(1969年)
★女体(1969年)
★でんきくらげ(1970年)
★やくざ絶唱(1970年)
★しびれくらげ(1970年)
★遊び(1971年)
★新兵隊やくざ 火線(1972年)
★音楽(1972年)
 御用牙 かみそり半蔵地獄責め(1973年)
★悪名 縄張荒らし(1974年)
★動脈列島(1975年)
★大地の子守歌(1976年)
★曽根崎心中(1978年)
 エデンの園 Il giardino dell'Eden(1980年)
★この子の七つのお祝いに(1982年)

nice!(50)  コメント(8) 
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コメント 8

裏・市長

おい!増保、あと5本か!?。
今、死ぬに死ねん状況になったな!。

ボクもちょっと観終えるまで、
狙うのは中止するわ。少しだけ安心して。

「近親相姦は性に合わん」。

サラッとスゴイこと書いてんな!!。

近親相姦大好きでも、
あんまり公にクチにするこっちゃないしな。

ボクもまだ同じ市内に住んでるから、
インターネットに書き込んだりできないんだけど、
すんげぇ男嫌いの同僚がいたんよ。

もう、服の袖が触れたり、
手があたったりしただけでも、
相手が見ている前でハンケチで拭いたり
するぐらいの潔癖症。

それがある日、突然大学在学中に、
デキ婚したの。相手は兄貴。

正確に言うと、母親違いなんですが、
見た目そっくり、横に広い。

で、子どもが産まれた。
横に広い。
レジのカウンターに乗せたら、
鏡モチにしか見えなかった。

こんなブチャイク、見たことない!とも言えず、
「実に健康的・・・」としか言えず。

で、結局1年持たずして離婚。

というか、兄貴が別の女と
オークワの近くで、暮らし始めた。

今も彼女はシングルマザーで横に広いお母さんと、
横に広い子どもと3人で広々と
暮らしている・・・。めでたしめでたし・・・。

…これ、匿名で書いてるけど、
市内の人間が読んだら、特定できるで…。
by 裏・市長 (2017-08-27 22:21) 

moz

シスコンのストーリーものなのですね。
しかも、そこに兄の情婦がかかわってくる・・・。
うーん、なんだか湿度100%の気持ち悪さ感が ^^;
勝新太郎はこんな映画にも出ていたんですね。
by moz (2017-08-28 06:07) 

針本

増村保造監督、もっと撮って欲しかった。これからって時に斜陽。
若尾文子を大女優に育てた巨匠が、晩年は堀ちえみを演出とか気の毒過ぎる。ワーカホリックで早逝は残念です。
by 針本 (2017-08-28 21:18) 

青山実花

裏・市長さん
コメントありがとうございます。

そうなんです。
あと5本なんです。
そのうち4本は何とかなりそうなんです。
なので実質あと1本なんです。
裏・市長さんのお力で、なんとかなりませんかしら。
角川さんに圧力かけて、12月の映画祭で上映させるとか。
宜しくお願い致したいですわ。

探偵小説や、探偵映画で、
近親相姦が出てくる作品がありますが、
わたくし、それは反則だと思いますのよ。
だって、普通の感覚の人なら、
犯人探しをするとき、まず、親子やきょうだいが
睦み合うなんて考えませんし、
まず、そこは無意識に除外するのが普通だと思いますので。

・・・と思っていましたら、
そ、それって、本当の事ですの?
母親違いだって、実兄には変わりないんですよね!?

それって、結婚できるんですか?
っていうか、結婚って言えるんですか?
ただ単に、
兄妹が睦み合って、
子供が生まれただけなんじゃないんですか?

で、平気な顔して、赤ちゃんを連れ歩いて、
他人に見せてるんですか?
どんな顔して見せるんですか?
自分たちの事を、異常とは思っていないんですか?

周囲の人に、
赤ちゃんの父親が兄だと、
普通に話しているんですか?
大変な噂になるでしょう?
職場だったら、一日中、その話で持ち切りなのではないですか?

母親は何をしているのですか?
自分の子供がそんな事になって、
普通でいられるのですか?

兄の新しい彼女は、
その事を知っているのですか?
そんな異常な人と一緒に暮らして
平気なんですか?

聞きたい事が次から次へと湧いてきて、止まりませんわ。

by 青山実花 (2017-08-31 22:37) 

青山実花

mozさん
コメントありがとうございます。

本当に変な映画でした(笑)。
結局、何が言いたいのか。
ストーリーより、増村保造監督の演出を観る
映画なのかもしれません^^;

by 青山実花 (2017-08-31 22:38) 

青山実花

針本さん
コメントありがとうございます。

増村監督、62歳で亡くなられたのは早すぎですね。
あと20年はお仕事をしてほしかったです。

川口浩さん、市川雷蔵さん、勝新太郎さん、田宮二郎さん・・・
大映の俳優さんは、
皆さん、早世すぎますね・・・。

by 青山実花 (2017-08-31 22:38) 

サンフランシスコ人

増村保造監督の『巨人と玩具』...

http://archive.bampfa.berkeley.edu/film/FN12030

Saturday, September 13, 1997

The Build-Up
Yasuzo Masumura Japan, 1958

1997年にカリフォルニア大学バークレー校の美術館で上映した....
by サンフランシスコ人 (2019-03-30 05:56) 

青山実花

サンフランシスコ人さん
コメントありがとうございます。

増村監督は大好きなので、
もっと世界中で
上映してほしいです^_^
by 青山実花 (2019-12-27 08:37) 

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