「伊豆の踊子」

〔1954年/日本〕


昭和初期。
一高生の水原（石浜朗）は、
先輩で小説家の杉村を訪ね、
修善寺にやって来た。


宿屋の窓から外を見ていると、
踊子（美空ひばり）が一人たたずんでいるのが目に入る。
彼女は旅芸人一座の最年少で、
彼らと知り合った水原は、
下田まで一緒に旅する事にする。


踊子は薫といい、
座長の妹だという。
大人っぽく見えるが、
実はまだ無垢であどけなく、
荒んでいた水原の心は次第に柔らかくなってゆく。


一座の家がある大島へ、
一緒に行くと言った水原だが、
やはり下田から船に乗り、
東京へ帰ると決める。


出発の朝、
見送りに来ていた薫は、
淋しさをこらえて、船を見つめるしかなかった・・・。





今までに6回も映画化されたという、
川端康成の名作小説「伊豆の踊子」。


私は、吉永小百合版と山口百恵版は観ているけれど、
これは美空ひばり主演。


美空ひばりさんという、
不世出の大スターの映画に、
こういう言い方はどうかと思うけど、
ごめんなさい、
退屈だった。


まず、「伊豆の踊子」にこんなエピソードあったっけ？
と思うような場面が、何箇所かある。
原作が素晴らしいのに、
何も余計な話を付け加える事はないのにと、
なんだか勿体無いような気持ち。


そしてそれとは逆に、
私がとても重要だと思うエピソード、
「踊子が、映画に連れて行ってほしいと主人公にせがみ、
　約束をするのだが、
　踊子の義母がそれを許さず、涙を呑む」
という場面がカットされている。


この部分は、
身分違いの2人が、
これ以上深入りしてはならないという
義母の思いと、
その後やって来る別れを感じさせる、
大切な場面だと、勝手に思っているのだけれど、
違うのかな。
何故カットしたのか不思議。
（吉永版では、大変に上手く描かれていた）


ただ単に、
映画好きの私が、
映画に行きたくても行けなかった、
踊子の悲しい気持ちに同情しているだけかもしれないけど(笑)。


美空ひばりさんの、
若いのに老成したような顔立ちも、
この物語には合わない気がする。
踊子はもっとおきゃんな女優さんの方がいい。


「伊豆の踊子」、あと3本か。
全部観て、その味わいの違いを確かめたい。


評価　★★☆☆☆

コメント 6

この前、邦画の「イニシエーション・ラブ」観たよ。
これがなかなか面白くて・・・・
決して結末は言えないけど・・・・絶対に最後まで見なきゃダメ！
２度見ると、もっと面白いかも？って映画でした。へへ

by hatumi30331 (2016-05-05 00:06) 

伊豆の踊子って6種類もあるんですか！(@_@;)

原作が同じで脚本/監督が違うのを全部観たいっていうのと、
音楽で、同じ曲の演奏者が違うのを全部聴きたい
っていうのとは同じですね。
音楽の場合は元になる楽譜があるので、
映画ほど差があるわけじゃないですが、
その微妙な違いがすごぉく気になってしまいます。(^^)
by lequiche (2016-05-05 01:40) 

おはようございます！。

「退屈だった」。

よぉ言うた！天下の美空ひばりに対して、
お嬢やで！お嬢！。

ファンの方には悪いけど、
未空ひばりさんが出てるからと言って、
完全無欠の名作揃い！…という事はないで、正直。

時代がうまくあったのか、
過大評価されている俳優さんも多いように思う。

近年でも地味目な俳優・女優に対して、
「演技派」とか、なんでもかんでも褒めるのは
カンベンしてくれと思うのはボクだけだろうか。

伊豆の踊子、未見の3本のうち、
1本が内藤洋子、黒沢年男さん・・・。濃いな・・・。
しかも、メディア化されてなさそう・・・。

あっと言う間にゴールデンウイークも終盤！。
みんな渋滞に巻き込まれてしまえ！。
引き籠りには渋滞何キロも新幹線乗車率120％も関係ナシ！。

by 裏・市長 (2016-05-05 09:31) 

hatumi30331さん
コメントありがとうございます

「イニシエーション・ラブ」、未見です～。
たしか、「衝撃のラスト」みたいな宣伝でしたね。
今度観てみますね。
ご紹介ありがとうございます♪

by 青山実花 (2016-05-08 21:07) 

lequicheさん
コメントありがとうございます

はい、6度も映画化されているようです。
今日現在、5作観ましたので、
あと1作です。頑張ります＾＾；

音楽も、同じ曲を沢山の方がカバーされていると、
全部聞いてみたくなるお気持ち、分かります。
私も大好きな
「Can't take my eyes off you」や、
ビートルズの「ミッシェル」など、
様々な曲を聴き比べた事があります。

by 青山実花 (2016-05-08 21:16) 

裏・市長さん
コメントありがとうございます

はい、この美空ひばりさんの「伊豆の踊子」は
なんだか納得がいかない上に、
お話自体が退屈だったもので＾＾；

そもそも、私の中で、
美空さんは歌手という認識なので、
映画はあんまり・・・というのもあるし、
若いのにおばさん・・・じゃなく、
老成した顔つきも好みではなくて＾＾；

私も、地味な顔だと演技派で、
派手な容貌だと大根という定義はおかしいと思っていました。
おそらく人は、
「天は二物を与えず」の諺を信じたいのでしょうね。
一人の人間が、そんなにいくつも持ってるのはズルい、と。

今、この時点でもう書いていますが、
内藤洋子さんの「伊豆の踊子」のソフトを見つけて、
感想を書きました。
案外探せばあるものですね＾＾

by 青山実花 (2016-05-08 21:23)