「ルバング島の奇跡 陸軍中野学校」 [映画]
〔1974年/日本〕
第二次大戦中、
フィリピンのルバング島に情報将校として従軍していた小野田寛郎少尉は、
敗戦を知らず、
フィリピンに駐留しているアメリカ軍に挑む為、
密林生活を29年も続けていた。
この映画は、
小野田少尉が訓練を受けた、
「陸軍中野学校」での士官たちの物語である。
見習い士官・村上(若林豪)は、
陸軍中野学校への配属を命じられる。
そこは、軍の上層部だけがその存在を知る、
トップシークレットの組織で、
スパイの養成所だった。
全国の優秀な士官ばかりが顔を揃え、
教官(菅原文太)の指導の元、
格闘技から、スリの方法まで、
あらゆる訓練が行われ・・・。
菅原文太さんの映画を検索していたら、
本作に行き当ったわけだけれど、
フィリピンのルバング島の密林に、
29年間も潜んでいたという、
小野田寛郎さんについては、
以前から、興味を持っていたので、
このような映画が、当時作られた事に驚いた。
そんな長期間、敗戦を知らず、
人知れず生活していたなんて、
どんな暮らしぶりだったのか、
それが映像化されたのなら、
ぜひ観てみたいと思った。
それから、「陸軍中野学校」。
市川雷蔵さんの映画で、その存在を知ったのだけれど、
映画自体がめちゃくちゃ面白かったという事もあり、
こちらも、とても興味があった。
そのようなスパイ養成学校が本当にあったのか、という
基本的な事も含めて。
そしてまさか、上記の2つが結びついているとは、
全く想像もしていなくて、
その事にもビックリ。
小野田さんは本当に、中野学校の出身だそうで、
これで、映画のようなスパイ養成所が実在した事が
確認できただけで収穫。
映画は、といえば、
私は、中野学校の訓練が半分で、
残りの半分は小野田さんに扮した俳優さん誰かの、
密林生活が描かれるものだと期待していた。
けれど残念な事に、お話は学校の生活だけが、
ほぼ全てであった(笑)。
冒頭、小野田さんご本人の帰国の時の様子や、
記者会見が流れる映像があるだけ。
そういう意味では、
ちょっと肩透かし(笑)。
雷蔵さん版とは少し違ったイメージの中野学校が見られたのは良かったけど。
雷蔵さんが、クールで乾いた演技なのに対して、
こちらは、生徒たちが割と熱血で(笑)。
演じる俳優さんが、
若林豪さんをはじめ
千葉真一さん、夏八木勲さんなど、
顔を思い出しただけで、濃いのが分かる(笑)。
中野学校の生徒たちは、
終戦後、どうなったんだろう。
(小野田さんのようなかた以外)
だって、学校に入った時から、
戸籍は抹消され、
存在しない人間として、
親にも、妻にも、恋人にも、
生涯会えないのだと、固く誓わされたというから。
敗戦のどさくさで、
そんな事はどうでも良くなって、
ご自宅に帰っていったのかもしれないな、
というか、
そうであってほしい。
国の為に、家族にも会えない、
そんな人生は悲しすぎる。
評価 ★★★☆☆
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