「毎日かあさん」

〔2011年/日本〕


売れっ子漫画家・リエコ（小泉今日子）は、
仕事に子育てに全力投球で、
今日も忙しい。


6歳のブンジと4歳のフミを保育園に送り、
締め切りに間に合うように漫画を描く。
同居する母と、子供たちの生活全てが
彼女の肩に圧し掛かっているのだ。


夫もいるにはいる(笑)。
戦場カメラマンだったカモシダ（永瀬正敏）は、
アルコール依存症で入院中。
何度も吐血し、
入退院を繰り返すカモシダは、
その度に断酒を口にするが、
続いたためしがない。


ある日、カモシダが帰ってくるが、
また酒を飲み、幻覚を見ては暴れる。
さらに、リエコの仕事部屋で、また血を吐き、
病院に運ばれる。


母親や他人は、
リエコの甘やかしが、
カモシダを酒に走らせると言う。
リエコだって分かっているのだ。
でもどうすればいいんだ。


結局リエコは、カモシダに、
離婚届を渡し、サインをさせる。
彼が、印鑑がないと言う事も想定の上、
ちゃんと用意までして・・・。





漫画家・西原理恵子のコミックの映画化。


西原さんのコミックは、
映画「パーマネント野ばら」を観たあと、
確認の為に読んだくらいで、
あまり詳しくはないのだけれど、
「パーマ～」の世界観がこの映画にも表れていて、
その一貫した感じがいい。


たとえば、この映画で、
リエコの母親を演じているのが正司照枝で、
そんな脇役さんたちも、
いかにもな雰囲気なのだ。


小泉今日子と永瀬正敏という、
元夫婦が、夫婦役を演じるというのも凄い事だ。
映画とは全然関係ないけど、
ユーミンが、確か著書の中で、
「松任谷正隆は最高のコンビだけど、
　離婚したら、一緒に仕事できるかどうかは分からない」
みたいな事を書いていた気がする。


まぁ、たいていの離婚した元夫婦はそうなんだろうけど、
小泉さんたちは違ってた。
久しぶりに顔を合わせた時、
どんな風に挨拶したんだろうとか、
余計な事を考えちゃったよ。
「あ、久し振り」とか？(笑)


これを観ていると、小泉今日子は、
実際に子供を産んでいたら、
いい母親になりそうな気がしたけど、
それは個人の選択だものね。
他人がとやかく言う事ではないだろう。


酒を飲んで暴れたカモシダが、
部屋をグチャグチャにして、
最後にリエコの原稿に手をかけたけれど、
それだけはどうしても破れなかった場面で
涙が出た。


やっぱり仕事って崇高なものなんだ。
その原稿1枚で、
子供たちがご飯を食べている。
自分の薬代だって出ている。
彼はギリギリの所で踏みとどまった、
馬鹿にならずに済んだ、そんな場面だった。


カモシダがアルコール依存症になったのは、
いつからなんだろう。
彼は日本の子供たちを軟弱すぎると言う。
アジアの戦場では、
戦っている子供が沢山いると。


でも、これは憶測だけど、
彼も軟弱な日本人の一人なんじゃないだろうかという気がした。
戦場で人が死んでいく様子に耐え切れなくて、
アルコールが度を過ぎてしまったのではないかと。
元から戦場で生まれ育った人と、
平和な日本から戦場へ行った人とでは、
全然違う。
日本人と比較するのは困るし、
それを軟弱と呼ぶのも、ちょっと違う気がする。


カモシダがビールと焼酎（？）を、
混ぜて飲んだり、
料理用の味醂を飲んだりする場面が凄い。
ああなってしまったら、
もう酒の味なんかどうでもよくて、
アルコールが含有されているか否かだけが
本人にとって大事な事なのでしょうね。


今度、原作を図書館で借りてみよう。


評価　★★★☆☆

コメント 8

この映画、見ましたよ。
アニメのように賑やかな話をイメージしてたんですけど…なんだかシンミリしちゃいました。
元夫婦がキャスティングった話題作り？って思ったけど、この二人でピッタリでした。
by なゆなな (2013-01-10 17:54) 

20年前、まだ無名のサイバラは
当時プールバーブームで注目されていたビリヤード雑誌に
連載を持ち、絵と文章でページ3万。
まあ中身は、同棲している男との話に紙数がさかれて
全く好感が持てなかったんですけどね。
ただ、交際している男に誘われてビリヤードを
はじめた女性も当時多かったので、女性にとっては
興味深い読み物だったのかもしれませんね。
私はそれ以降のサイバラのことはわからないのですが
いつのまにか有名になって
まあ、不遇･不幸というなら
世の中にはもっと悲惨な人はいても
それを表現して人の心をつかむ上で彼女には
何か天賦の才のようなものがあるのかもしれません。
by いっぷく (2013-01-10 21:07) 

こんばんは。
彼女の本では、できるかなＶ３をお薦めします。
脱税できるかな、と、ホステスできるかな、
が面白いです。キャバレー王の店でホステス
するんだけど、Ｎｏ１になっちゃうんです。
高須さんがやってきて、派手に使う＾＾；

結局一緒になっちゃいましたね。
by don (2013-01-10 22:34) 

なゆななさん
コメントありがとうございます。

本当ですね。
コメディのようだけど、
色々考えさせられる内容でもありました。
女が働いて子供を育てる事とか、
アルコール依存の問題とか。

小泉さんと永瀬さんはピッタリでしたね。
映画でも離婚する夫婦、
現実でも離婚した夫婦、
とてもリアルで良かったです。

by 青山実花 (2013-01-11 15:39) 

いっぷくさん
コメントありがとうございます。

貴重な情報ありがとうございます。
なるほど、西原さんは昔から、
私生活を話題にして漫画を描いておられたのですね。
確かに女の私からすると、
他人の恋愛の「本当」のところってどんなんなんだろうという
興味がありますので、
こういった本音を吐露してくれる作家さんの作品は読んでみたく
なります。

たった一冊ですが、「パーマネント野ばら」を読んだだけでも、
彼女の幼い頃からの、
ちょっと変わった私生活が偲ばれますが、
悲惨というわけではなく、笑ってしまうんですね。
そういった意味でも、凄い方なのだと思います。

by 青山実花 (2013-01-11 15:47) 

donさん
コメントありがとうございます。

本のお勧め、ありがとうございます。
今度読んでみます！

高須さんとの事はよく存じ上げないのですが、
お二人はお付き合いされているのですよね。
今、検索してみましたら、
西原さんが、
「人生で一番大切なのは先生より子供」みたいな事が書かれていて、
そういった事を当たり前に言える所に、
逆に二人の絆の強さを感じました。
大人な男女交際っていいです＾＾

by 青山実花 (2013-01-11 16:12) 

鴨志田さんのようなタイプの男性から、いきなり
高須クリニック！ちょっとびっくりしましたけど。

恨ミシュランから鳥頭なんとかで初めて知り、
かなり豪快な女性漫画家だなぁーと思っていたら
毎日かあさんは自分が親になってからは読むと
なんだか妙に心が騒ぐし、
うーん。すごい人ですよね。

永瀬さん好きでした。小泉さんと結婚した時はちょっとショックでした。（笑）



by su-nya (2013-01-11 21:53) 

su-nyaさん
コメントありがとうございます。

あはは＾＾
本当に、2人の男性はタイプが全く違いますね、
恋に落ちるのに、タイプは関係ないのかもしれませんね。

西原さんの事はあまり知らないので、
大した事は書けないのですが、
今読んでいる「毎日かあさん」だけでも、
パワフルで凄い人だと感じます。
それに、破天荒なようで、
何より子どもと仕事の事を一番に考えている所に、
「根は真っ当」という印象を受けます。

永瀬さん、お好きでしたか。
大好きなタレントさんが結婚するとショックですよね。
私もミーハーなので、
お気持ち、とってもよく分かります(笑)

by 青山実花 (2013-01-13 09:53)