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◆夜を賭けて◆ [本]


夜を賭けて (幻冬舎文庫)

夜を賭けて (幻冬舎文庫)

  • 作者: 梁 石日
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 1997/04
  • メディア: 文庫


めちゃくちゃ面白い。
この本を、日本中のみんなが読めばいいのになぁと思うくらい、
面白い。


舞台は昭和30年前後の大阪。
現在は大阪城の周辺も、
綺麗な公園になっているようだが、
当時は、大阪造兵廠跡として、
35万坪の広大な廃墟には、
莫大な量の鉄屑が埋まっていた。


そして、川を挟んで向かい側に、
在日朝鮮人の貧民窟があり、
彼らは、鉄屑を売ればかなりの儲けになる事を知り、
毎夜、掘り起し作業に出掛ける。


しかし、放置されているとはいえ、
それはれっきとした国有財産で、
彼らと警察との激しい攻防が始まる。


そして後半。
逮捕された一人、金義夫が、
長崎の「大村収容所」に収監される。
「大村収容所」とは、在日朝鮮人を収容する、
刑務所とは似て非なる施設で、
収監された者は、筆舌に尽くしがたい劣悪な環境で、
暮らす事になる。
果たして金義夫の運命は・・・。



何がこんなに面白いんだろう。
シリアスな内容なのに、
在日朝鮮人たちの会話が可笑しくて可笑しくて、
クスクス笑ってしまう。


梁さんの本はいつもそうだ。
在日朝鮮人を主人公にした小説が殆どなのに、
自分たちを殊更卑下するわけではなく、
かといって、声高に被害者面するわけでもなく、
そこにある事実のみを、
力強い文章で描いてある為、
悲壮感が無い。


逃げるわけではないけれど、
私には、日本と朝鮮の関係の難しさは、
正直、よく分からない。
ただ梁さんの本が好きなだけ。
それじゃ駄目なんだろうか。


この本を映画化したDVDを借りたので再読してみた。
こんな濃い内容をどうやって映像化したのか、
そこに興味があって。
映画の出来が大した事なかったとしても、
それはそれで構わない。
観るのが楽しみだ。

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