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◆わたしを離さないで◆ [本]


わたしを離さないで

わたしを離さないで

  • 作者: カズオ イシグロ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2006/04/22
  • メディア: 単行本


繊細で哀しい内容。
映画も美しかったが、
この原作を読んで、さらに主人公の心の葛藤を知った。


描き方によっては、
大変にセンセーショナルになりそうなストーリーだが、
そうならないのは、
物語が、あくまでも主人公であるキャシーの
一人称で語られているからではないかと思った。


この本の中の世の中は、
“キャシーたちの側”の人間と、
“それ以外”の人間で構成されている。


キャシーたちは、生まれた時から、
ある運命が定められており、
それに逆らう事はできない。


キャシーたちは集団で暮らしており、
“それ以外”の人間たちと交流する事は殆どない。
だから、“それ以外”の人たちが、
キャシーたちの存在をどう思っているのか、
本からは全く伝わってこない。
(教師など、一部の人間を除いて)


これは仮定であり、想像でしかないけれど、
この本で、“それ以外の”人々の描写があったら、
もっと俗っぽい、
綺麗事では済まされない内容になっていたのではないかと、
そんな気がする。


もしできるなら、
同じ世界を、今度は“それ以外”の人々の側から、
描いた内容のものを読んでみたい。
“それ以外”の人々とは、
つまりは私たちの事であり、
この本のような事がまかり通る世の中になったとしたら、
その時、私たちはどう感じるのか、
それを知りたい。

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コメント 2

don

ぼくは、原作⇒映画の順でしたが、とても楽しめました。
忘れられない1冊です^^
by don (2011-05-21 14:38) 

青山実花

donさん

原作も映画も、
本当に繊細でした。
カズオ イシグロさんのような日本人がいることを
誇りに思います。
by 青山実花 (2011-05-23 13:10) 

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