◆わたしを離さないで◆ [本]
繊細で哀しい内容。
映画も美しかったが、
この原作を読んで、さらに主人公の心の葛藤を知った。
描き方によっては、
大変にセンセーショナルになりそうなストーリーだが、
そうならないのは、
物語が、あくまでも主人公であるキャシーの
一人称で語られているからではないかと思った。
この本の中の世の中は、
“キャシーたちの側”の人間と、
“それ以外”の人間で構成されている。
キャシーたちは、生まれた時から、
ある運命が定められており、
それに逆らう事はできない。
キャシーたちは集団で暮らしており、
“それ以外”の人間たちと交流する事は殆どない。
だから、“それ以外”の人たちが、
キャシーたちの存在をどう思っているのか、
本からは全く伝わってこない。
(教師など、一部の人間を除いて)
これは仮定であり、想像でしかないけれど、
この本で、“それ以外の”人々の描写があったら、
もっと俗っぽい、
綺麗事では済まされない内容になっていたのではないかと、
そんな気がする。
もしできるなら、
同じ世界を、今度は“それ以外”の人々の側から、
描いた内容のものを読んでみたい。
“それ以外”の人々とは、
つまりは私たちの事であり、
この本のような事がまかり通る世の中になったとしたら、
その時、私たちはどう感じるのか、
それを知りたい。
ぼくは、原作⇒映画の順でしたが、とても楽しめました。
忘れられない1冊です^^
by don (2011-05-21 14:38)
donさん
原作も映画も、
本当に繊細でした。
カズオ イシグロさんのような日本人がいることを
誇りに思います。
by 青山実花 (2011-05-23 13:10)