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「小さい逃亡者」 [映画]

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〔1966年/日本〕


10歳の孤児・川間健(稲吉千春)は、
叔父の信之(宇野重吉)に育てられていたが、
ある時、酔っぱらった信之が、
父親がモスクワで生きている、と口をすべらせてしまう。


どうしても父親に会いたい。
健はロシア船籍に乗り込んで密航。
やがてナホトカに船が到着すると、
モスクワに向かって旅を始める。


何とかモスクワに着いた健は、
日本大使館に保護され、
父親を探している事を告げるが・・・。





映画史上初の、
日露合作映画なのだそうだ。


そのせいかどうかは分からないけど、
10歳の子供が
あの広いロシアを横断する中で、
悪い人は全く出てこない。
皆がとても親切で、
モスクワを目指す健を助け、
協力してくれる。


これ、タイトルが変だと思う。
「逃亡者」なんていうと、
まるで健が、
叔父の宇野重吉さんから虐待されていて、
逃げ出したみたいじゃないか。
付けるなら、
「小さい旅人」の方が合っている気がする。


ところで、完全なネタバレになってしまうけど、
ラストを書きたい。
どーしても書きたい。
お願い、書かせて(笑)。


健はモスクワの大使館に保護され、
父親の事を調べてもらうと、
残念な事に、5年前に死んでいる事が判明する。


私は、てっきりそれで諦めがついて、
健は日本の叔父の所に帰るものだと思ったのだけれど、
違ってた。


彼はそのまま、
ロシアに残り、
ヴァイオリンの才能を開花させ、
有名ヴァイオリニストとなり、
青年になってから、日本に凱旋帰国するのだ。


彼の父親がヴァイオリニストだったので、
その血が確実に受け継がれていた、という事で。


あぁ、幼かった子供が
大きくなって、立派になるって、
なんて素晴らしいんだろう。
映画だというのに、
心底嬉しかった。
映画自体の出来は普通なので、
3点だけど、
その場面は本当に感動。


評価 ★★★☆☆





この作品で、
京マチ子さんの出演映画、100本中81本を観た事となりました。


(★は観た作品)


★化粧 (1984)
★男はつらいよ 寅次郎純情詩集 (1976)
 妖婆 (1976)
★金環蝕 (1975)
★ある映画監督の生涯 溝口健二の記録 (1975)
★華麗なる一族 (1974)
★玄海遊侠伝 破れかぶれ (1970)
★千羽鶴 (1969)
★小さい逃亡者 (1966)
★沈丁花 (1966)
★他人の顔 (1966)
★甘い汗 (1964)
★現代インチキ物語 ど狸 (1964)
★女系家族 (1963)
★女の一生 (1962)
★仲よし音頭 日本一だよ (1962)
★黒蜥蜴 (1962)
★釈迦 (1961)
 小太刀を使う女 (1961)
★女の勲章 (1961)
★濡れ髪牡丹 (1961)
★婚期 (1961)
★お傳地獄 (1960)
★顔 (1960)
★足にさわった女 (1960)
★三人の顔役 (1960)
★ぼんち (1960)
★流転の王妃 (1960)
★女経 (1960)
★浮草 (1959)
★鍵 (1959)
★次郎長富士 (1959)
★夜の闘魚 (1959)
★女と海賊 (1959)
★細雪 (1959)
★あなたと私の合言葉 さようなら、今日は (1959)
★娘の冒険 (1958)
★夜の素顔 (1958)
★赤線の灯は消えず (1958)
★大阪の女 (1958)
★忠臣蔵 (1958)
★母 (1958)
★悲しみは女だけに (1958)
★有楽町で逢いましょう (1958)
★穴 (1957)
★夜の蝶 (1957)
★地獄花 (1957)
★女の肌 (1957)
★踊子 (1957)
★いとはん物語 (1957)
★スタジオはてんやわんや (1957)
★八月十五夜の茶屋 (1956)
★月形半平太 (1956)
★赤線地帯 (1956)
★虹いくたび (1956)
★新・平家物語 義仲をめぐる三人の女 (1956)
 新女性問答(1955)
★藤十郎の恋 (1955)
★楊貴妃 (1955)
★薔薇いくたびか (1955)
 春の渦巻 (1954)
 馬賊芸者 (1954)
★千姫 (1954)
★浅草の夜 (1954)
★春琴物語 (1954)
★愛染かつら (1954)
★或る女 (1954)
★地獄門 (1953)
★あに・いもうと (1953)
 黒豹 (1953)
★雨月物語 (1953)
 彼女の特ダネ (1952)
★大佛開眼 (1952)
★美女と盗賊 (1952)
★瀧の白糸 (1952)
★長崎の歌は忘れじ (1952)
★浅草紅団 (1952)
★踊る京マチ子 歌う乙羽信子 (1952)
 恋の阿蘭蛇坂(1951)
 情炎の波止場(1951)
 馬喰一代 (1951)
★源氏物語 (1951)
 牝犬 (1951)
★自由学校 (1951)
★偽れる盛装 (1951)
 美貌の海(1950)
 復活(1950)
★火の鳥(1950)
★羅生門 (1950)
★浅草の肌 (1950)
 遙かなり母の国 (1950)
★続蛇姫道中 (1950)
★蛇姫道中 (1949)
 最後に笑う男(1949)
★痴人の愛 (1949)
 三つの真珠 (1949)
★地下街の弾痕 (1949)
★花くらべ狸御殿 (1949)
 天狗倒し(1944)
 団十郎三代 (1944)

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コメント 10

プー太の父

結末がドラマチックだと感動しますね。これが「ひまわり」
みたいに悶々として終わると悲しみだけが残ります(>д<)
馬喰一代 はまだ観ていませんか。私は観てないですが
あれは北見市ルベシベの馬喰「米太郎」の物語で
地元には馬喰一代という地酒も販売されています。
自分も機会があれば観てみたいのですが。
by プー太の父 (2020-11-08 13:06) 

プー太の父

またすみません。言うの忘れましたが今日の私の記事は
「君の名は」の話を少ししました。ロケ地になった
風景を載せましたのでぜひご覧ください。
by プー太の父 (2020-11-08 13:10) 

向日葵

日本に一人残された、高齢の(?)叔父=宇野重吉さんが
気になってしまって仕方がありません。。

おじさんの「その後」は描かれていないのですね・・??
by 向日葵 (2020-11-09 07:18) 

kousaku

映画は最近はほとんど見ないですね、子供の時分にはよく見たんですが何となく見に行く時間が無くてね。
by kousaku (2020-11-09 18:32) 

青山実花

プー太の父さん
コメントありがとうございます。

「ひまわり」は悲しい映画でしたね。
すごく泣いてしまった記憶があります。

「馬喰一代」は、新珠三千代さん&三國連太郎さんの
方は観ています。
今度、京マチ子さん&三船敏郎さんのを観てみますね。
お酒まであるのですね。
ビックリしました。

by 青山実花 (2020-11-09 22:25) 

青山実花

プー太の父さん
コメントありがとうございます。

ちょっと今夜は旅行から帰ったばかりで、
コメントできないのですが、
明日以降、ブログを楽しみに見させていただきます^^

by 青山実花 (2020-11-09 22:25) 

青山実花

向日葵さん
コメントありがとうございます。

確かに気になりますよね^^
宇野重吉さんは、途中で、一度出てきます。
健が一人でロシアに行ってしまった事は知っていて、
とても心配しています。
で、最後に、健が凱旋帰国した時も出てきます。
宇野重吉さんらしい登場だと思います^^

by 青山実花 (2020-11-09 22:26) 

青山実花

kousakuさん
コメントありがとうございます。

いえいえ、kousakuさんは、
お寺巡りや競馬など、
多趣味でいらっしゃるので、
映画まで観る時間がないのは当然です^^

by 青山実花 (2020-11-09 22:26) 

裏・市長

ワタシがさらにふさわしいタイトルを
考えてさしあげましょう。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「父をたずねて三千里」。

いかがでしょうか。
「小さい逃亡者」というタイトルは
青山実花さんのおっしゃるように、
本当にいただけません。

逃げていないのですから、木戸銭かやせ!かやせ!と、
映画館のモギリの姉ちゃんに暴徒が押し寄せても
文句は言えないでしょう。

「母をたずねて三千里」は大人になって見返すと、
父親のふがいなさが目立って目立って…。
自分の甲斐性なしを棚に上げて、嫁を出稼ぎに出し、
音信不通になったら息子を母親のもとにひとりで
行かせてしまう。

正直、ダメおやじもいいところですよ。
なのに、最終回ではエラソーに兄のトニオと、
マルコ&母親(嫁)が船で帰って来るのを
出迎えるんです。ふざけんな!、
全部お前が原因だろうが?!なにめでたしめでたしな
ツラしてやがんだ?!。

なのに、マルコの母は笑顔です。
世の中、ダメンズが好きな女性、多いんですねぇ。

by 裏・市長 (2020-11-22 01:59) 

青山実花

裏・市長さん
コメントありがとうございます

いつも裏・市長さんの
独創的な発想には、
感心させられる事しきりです。

「父をたずねて三千里」だなんて、
今までどこにもなかったタイトル。

これ一つで、内容の全てが分かる
優れものでございます。
いつも本当にありがとうございます。


わたしく、
先日試写会で、
「家なき子」を観たのですが、
「家なき子」にしても、
「母をたずねて三千里」にしても、
なぜ、子供の頃、
それらの物語のダメさ、
不甲斐なさ、に気付かなかったのでしょうか。

きっと純粋な心というのは、
物語の粗探しなどしないもの、
ただただ、
上っ面の感動にむせび泣いていたのだと
思われます。

それが今では、
すっかり汚れになってしまってお恥ずかしい限りです。
一日も早く、
美しかった心を取り戻せるよう頑張ります。

by 青山実花 (2020-11-27 15:24) 

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