SSブログ

「フェリシーと夢のトウシューズ」 [映画]

Feliciestoyumenotoeshoes.jpg
〔2016年/フランス〕


施設で暮らすフェリシーは、
明るく活発な女の子。
バレリーナを夢見る彼女は、
大親友の少年・ヴィクターと、
施設から逃げ出す事に成功する。


パリに着いた2人だが、
ヴィクターとはぐれてしまったフェリシーは、
一人、オペラ座に忍び込み、
本物のバレエを見て、
胸が高鳴る。


フェリシーは、掃除婦をしているオデットと知り合う。
オデットは、元バレリーナだが、
怪我で引退し、
もう踊れない体になっている。


オデットの雇い主・ルオー夫人と、
娘のカミーユは、
とても意地悪。
2人はフェリシーに対しても、
辛く当たる。


ある日、カミーユに届いた、
オペラ座の合格通知を盗んだフェリシーは、
カミーユになりすまし、
入団する・・・。





試写会で観た。


アニメの試写会だけあって、
いつもと違い、
会場には、幼い子供の姿が多数見られる。


しっかし、この映画、
子供に見せていいんだろうか。


いや、別に、エロシーンがあるわけでも、
暴力シーンがあるわけでもない。
元気な女の子・フェリシーが、
夢の成就のために努力する、
可愛い映画だとは思う。


ただ、全編を通して気になってしまう。


・パリで最初に知り合ったのが、才能ある元バレリーナで、
 彼女からレッスンを受ける事になる。
・他人に来た入学通知を盗んで、他人になりすましてオペラ座に入団する。
・遅刻は問題外の最終オーディションに遅刻するも、
 許される。
・一度でも転んだら失格の最終オーディションで、
 転んだのに、許される。


などなど、様々なエピソードが。


こんなものを子供が観たら、
「困っていると、必ず都合のいい人が目の前に現れる」とか、
「自分がしたい事のためなら、手段は選ばなくていい」とか、
「上の者に気に入られさえしていれば、遅刻も失敗も許される」、
なーんて、様々な事が自然に刷り込まれそうだ。


実際、とても驚いたのが、
私が、半月ほどまえ、
「自分の甘さを痛感した」と書いた、
「ブランカとギター弾き」のレビューでの、

http://aomikamica.blog.so-net.ne.jp/2017-07-28
「普段、意地悪な人間も、いざとなれば助けてくれる」
の部分が、
そのまま再現された場面があった事。


フェリシーは、今まで意地悪だったある人物から、
途中、有り得ないような親切を受ける。
超意地悪だった人が、手のひらを返したような
いい人になる。
「ウソでしょ?」と言いたくなるような。


「ブランカ~」で書いたように、
私を含めた、多くの方は、
このような物語を見て育ち、
刷り込まれ、大人になってゆくのだろう。
そして、挫折した時、
「聞いてないよー」となるのだろう。


東日本大震災が起こった時、
ヒーローが現れない事に愕然としたと、
前に書いた事があったけど、
それも刷り込み、全てが刷り込み(笑)。


・・・って、こんな感想、駄目なんでしょうね。
子供が子供である間くらい、
夢見させてやれよって(笑)。


評価 ★★★☆☆

nice!(56)  コメント(6) 
共通テーマ:映画

nice! 56

コメント 6

向日葵

実花さんが思われている危惧は当たっていると思います。

そういうご都合主義の作品が「是」とされて量産されて
しまっているから、子供は勿論、本来知っていた筈の
大人たちまで、甚だしく考え方が甘くなるのだと思います。

誰かがどこかで歯止めを掛けなければー!!

ではなく、私が、ここで、歯止め役になるべき!!

なんでしょうが。。
正直なかなか難しいです。。
by 向日葵 (2017-08-12 15:39) 

さる1号

都合のいい人が出てくるのはともかく、盗みはいけませんね
でも盗んだ故の結末があるのならそれでもいいけれど
by さる1号 (2017-08-13 08:07) 

裏・市長

2日連続!土屋太鳳さんウイーク!。

日本語吹き替えを彼女がやっているらしい。

こんな映画はダメです!。

かつて長門裕之が自著「洋子へ…」で、
過去の女性遍歴を赤裸々に書き、
批判を浴びまくって、謝罪会見させられた時、
本を投げ捨て「こんな本はダメです!」。

今だに脳裏に焼きついております。

レビューを読んでいるだけで、
ご都合主義のつるべ打ち!。

物語やがな~、堪忍したりぃな~と、
笑福亭鶴瓶師匠が言っても許されない。

子ども向けだからこそ、
現実を見せなければいけない。

子ども向けだから、
この表現はムズカシすぎるんじゃないか?と、
やさしく噛み砕いてはいけない。

かつて天知茂は「非情のライセンス」で、
男に走り、子どもが邪魔になり、
我が子を手にかけようとした母親を、
子どもの目の前で射殺した(笑)。

「非情のライセンス」はイチイチすごい。
主人公が広島で被爆した戦災孤児で、
米兵に目の前で姉を殺された過去を持つ。

とにかく戦争がからむエピソードが多い。
そして憎むべき敵はアメリカ!。

これほどまでに米国を悪役に描いた
ドラマが日本にあるだろうか?。
今、製作したら国際問題になるぞ!。

だから、子どもには生ぬるいものを見せて
育ててはいけない。となりのトトロを捨てろ。
非情のライセンスを学校で見せて、
一億総ニヒル化させるのだ!。
by 裏・市長 (2017-08-14 00:28) 

青山実花

向日葵さん
コメントありがとうございます。

私も、このような場所で、
このようなエラソーな事を書いてはいるのですが、
実際は本当に大甘な人間で、
歯止めどころか、助長しているような
部分もあって・・・。

人生、「やったもの勝ち」みたいな部分もあって、
ほんとはフェリシーの事を責める資格なんてないのです。
本当に難しいですね。

by 青山実花 (2017-08-14 11:41) 

青山実花

さる1号さん、
コメントありがとうございます。

同感です。
他はともかく、盗みは駄目です。
しかも、謝って許されちゃってるんですよ。
もう少し、違う設定にできなかったのでしょうかね。

by 青山実花 (2017-08-14 11:42) 

青山実花

裏・市長さん
コメントありがとうございます。

私はすっかり忘れていました。
この試写会、日本語吹き替え版で観たというのに、
フェリシー役を、土屋太鳳さんが演じていると、
レビューに書くのを。

本日も的確なご指摘をいただき、ありがとうございます。
裏・市長さんにはやっぱり勝てないとの思いを
一段と強くしている、
今日この頃でございます。


長門裕之さんは、
「洋子へ・・・」の中で、
池内淳子さんとは、下着の洗濯をさせる仲だと著され、
それに対して池内さんが、
「冗談じゃないよっ!あたしがそんな事するもんかいっ!」
と怒ったという噂は聞いております。
さすが池内さん、
気風が違います。
私も、そのような女になりたいものです。

「洋子へ・・・」は、
他にも、関係した女優さんの自慢と悪口のオンパレードとか。
男が閨房での出来事を口外するとは、
なんとも情けない話ですが、
読んでいないので、
俄然興味が湧いてきました。
図書館で検索しましたら、蔵書がありました。
予約入れました(読むんかい!)

昔、そんなこんながあった、
長門さんも、池内さんも、
今はもうこの世にはいない。
そんな風に、世間を騒がせ、
その事を、多くの人々が忘れてしまう頃には、
自分の人生も終わりが近づいている。
人の一生って案外短いのだと思います。

なんで「フェリシー」のコメント欄が、
長門さんの話題に!?

だから、子どもには生ぬるいものを読ませて
育ててはいけない。走れメロスを捨てろ。
「洋子へ・・・」を推薦図書にして、
一億総エロ化させるのだ!。

by 青山実花 (2017-08-14 11:42) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。