「喜劇 夜光族」 [映画]
〔1971年/日本〕
夜の銀座を歩く中年男・三木のり平を
知らないホステスはいない。
彼は通称「結ばせ屋」。
一夜のアバンチュールではなく、
真剣に結婚したいホステスとサラリーマンの
仲を取り持っているのだ。
実は三木自身も、
ひそかに恋焦がれている女がいる。
それは、バー「ブーベ」のママ・長山藍子。
なんとか彼女と再婚したいと願う三木だが、
自分の事となると、中々言い出せない。
馴染みのバー「セブン」に行った三木は、
新入りのバーテン・森次晃嗣の、
あまりに無愛想な態度に腹を立てる。
森次は、三木が嫌いな人間の条件である、
ジャイアンツファン、左きき、山口県出身、巳年生まれ、
などなどを全て兼ね備えており、
相性最悪。
彼の一人娘・倍賞美津子は、
自動車修理工場で働く、快活な女の子。
ある日、倍賞が恋人を家に連れてきたのだが、
その相手が、なんと森次で・・・。
昨日書いた、「喜劇 深夜族」が、
典型的なポン引きのお話であるとするなら、
こちらはそれよりずっと真面目な、
「歩く結婚相談所」みたいなお話。
伴淳三郎さんが出ているというので
観たのだけれど、
この映画での伴さんの出番はそう多くない。
三木さんの役を伴さんが演じたら、とも思うけれど、
三木さんは三木さんで味があるので、
これはこれで良かった。
三木さんが、
真面目な結婚を望むホステスさんたちの、
あらゆるデータを手帳に書き込んでいるのが可笑しい。
月収、貯蓄額、結婚歴、子供の有無、
そして、希望する結婚条件などを。
彼はそんな相談を、
行きつけの飲み屋でするのだけれど、
この飲み屋の主人・殿山泰司さんと
子持ちのホステスさんを結ばせようとすると、
殿山さんが断ってくる。
実は彼は未だに女を知らないと言う。
「女を知らないのに子持ちになるのは嫌だ！」みたいなセリフに笑ってしまう。
こういう喜劇って、こういった何気ない小ネタが面白いのよね。
三木さんの妹を、
樹木希林さんが演じているのだけれど、
彼女もまた、素晴らしい。
妊娠しているという、大きなお腹をさすりながら、
倍賞さんを応援したり、
三木さんに説教して、
最後は大喧嘩になったり。
樹木さんは、古い映画の意外な場面で、
脇役として出てくることが多いけれど、
なんだろう、どの映画でもすんごい存在感。
「あ！樹木さんだ！」と思わずにはいられないし、
そのお姿を見ると、なぜだか嬉しくなる。
チョイ役だったり、一瞬の出番だったとしても、
物凄く強烈な印象を残す。
若い頃は脇役でも、
年を重ねられて、今は主役を演じる理由も分かる気がする。
評価 ★★★☆☆
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樹木希林さんは、私が小学生の頃には
“寺内貫太郎一家”というドラマで、おばあさん役を演っていましたが、
当時まだ３０代前半だったので、手袋を着用して“若さ隠し”をしたとか。
(๑◔‿◔๑) 〜♪ さすがですね〜。
by desidesi (2015-03-16 14:35)
今では押しも押されもせぬ個性派女優「樹木希林」さんですが
同年代の前だとつい「悠木千帆」と言っちゃいますね。
この映画の頃は「悠木千帆」だったのかな?!
by 薔薇少女 (2015-03-16 20:17)
いやぁ、バンジュンさんの次は三木のり平さん！
嬉しい連チャンに感激です。。。次は由利 徹さんでしょうか？（笑）
お笑いの人がこうした日陰と言うか、ワケあり的な役柄を演じると正に
水を得た魚のごとくですね！半世紀近くを経た今の時代でもお笑いが
メインの方の演技は気になるところです（比較は全く無意味ですが）
樹木希林さん！この頃は、悠木千帆さん時代ですね。
desidesi 様同様、ワタシもこの人は「寺貫」の前、「時間ですよ」の
トリオ・ザ・銭湯のハマさんがキョーレツな印象です！
ハマさんで驚き、おきんばあさんでとどめですね！（笑）
by MONSTER ZERO (2015-03-17 14:00)
desidesiさん
コメントありがとうございます。
「寺内貫太郎一家」、
実はDVDを持っていて、
何度繰り返して観たか分からないくらい観ています＾＾；
向田邦子さんが大好きなうえに、
古いホームドラマもとても好きで。
by 青山実花 (2015-03-17 23:35)
薔薇少女さん
コメントありがとうございます。
ウィキペディアによると、
樹木希林さんがご自分のお名前を
オークションにかけたのが
1977年のようですから、
この映画の時はまだ、悠木千帆さんなんですね。
自分の名前を売るなど、
その発想も凄い方なんですね。
by 青山実花 (2015-03-17 23:40)
MONSTER ZEROさん
コメントありがとうございます。
三木のり平さんは、
殆ど存じ上げないのですが、
この映画の役はとても良いと思いました。
desidesi様のコメントにも書いたのですが、
私は昭和のホームドラマが好きで、
「寺内貫太郎一家」と「ムー」と「ムー一族」のDVDを
セリフをそらで言えるくらい繰り返し観ております＾＾；
3作とも、伴淳三郎さんも由利徹さんも樹木希林さんも出ておられて、
何度観ても、飽きるという事がないんですね。
由利さんの軽妙な演技には本当に笑わせられますね。
伴さん同様、素晴らしい俳優さんだと思います。
「時間ですよ」は見た事がないのですが、
面白そうですね。
今度観てみます＾＾
by 青山実花 (2015-03-18 00:04)
おお！さすが！寺内貫太郎からムー一族まで！
イイですね〜(๑◔‿◔๑) ワタシモダイスキ！
でも、向田邦子ファンなら“時間ですよ”は絶対観ておかないと！
DVDBOXも出てるんじゃないかな。
続編もたくさんあるから、しばらく楽しめるね〜〜♫
そのうちデビューしたての浅田美代子も出てきますよ。
by desidesi (2015-03-18 02:23)
そー言えば「寺内石材店」で働く、バンジュンこと岩さん、左とん平さんこと、タメさん、そして向かいの花屋のクマさんの3人で軽妙洒脱なコントを毎週繰り広げていましたがこの原型が「時間ですよ」のトリオ・ザ・銭湯になるんでしょうね。
しかし、寺内石材店のこの御三方のコント芝居は最高でした！
シブい上条さんも時間ですよでは風間さんと言う名前で（こちらはヤクザだったはず）出てますしこのあたり、一連モノとして永久保存ですね！
ムー、ムー一族でもバンジュンさんは徳さんでした！オーバーオールに
TOKUSANと書いてあったのが笑えます！
by MONSTER ZERO (2015-03-18 14:10)
desidesiさん
コメントありがとうございます。
やはり「時間ですよ」は観ないとだめですね＾＾
向田さんは大好きですが
ドラマはほぼ観た事がありません。
というより、向田さんに限らず、
ドラマ自体を観た事があまりないので・・・。。
気に入ったら、きっとまた、
セリフが言えるくらい観るような気がします＾＾；
by 青山実花 (2015-03-20 15:05)
MONSTER ZEROさん
コメントありがとうございます。
「寺内貫太郎一家」での伴と左さんと由利さんのトリオは絶妙ですね。
由利さんは貫太郎と幼馴染だというのに、
東北訛りで、その矛盾が可笑しくて。
上条さんがヤクザですか。
それはそれでハマっていそうですね。
それから、私は梶芽衣子さんの素晴らしさに
いつも見とれながら見ています。
あの美貌も、恋する娘の気持ちも、
なにもかもが完璧ですね。
by 青山実花 (2015-03-21 21:14)