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「八つ墓村」 [映画]

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〔1977年/日本〕


天涯孤独の身の上だと思っていた寺田辰弥(萩原健一)は、
新聞広告で、弁護士が自分を探している事を知り、
大阪の法律事務所へ赴く。


そこで彼は、母・鶴子(中野良子)が岡山県の八つ墓村の出身であり、
自分が、村一番の力を持つ多治見家の血を引いている事を知らされる。
多治見家の現在の当主・久弥(山崎努)は、
病で余命いくばくもなく、
辰弥が後継者として、莫大な財産を引き継ぐ権利があるというのだ。


辰弥は、鶴子の父・井川丑松(加藤嘉)と、
その場で初対面する。
丑松は初めて会う孫に、相好を崩していたが、
突然苦しみ出し、こと切れてしまう。


驚いた辰弥だったが、
丑松の葬儀もあり、
親戚筋の森美也子(小川真由美)に連れられ、
八つ墓村に行く。
この村で、これから数々の惨劇が起こるなど、
想像もせずに・・・。





「八つ墓村」。
なんと美しい物語。


・・・なーんて書くと、
「頭大丈夫か?」と言われそうな気もするけど(笑)、
なんと言われても構わない。
今までに、何度読み返したか分からないくらい、
この物語が好き。


読んだ方はご存じだと思うけれど、
私は、主人公・辰弥の母・鶴子が、
監禁された部屋の中で、
屏風の裏側に貼り付けられた、
恋文を読む場面がとにかく好きで。


見つかってはならない手紙を、
そんな風に工夫して隠した知恵にも感心するし、
なにより、ロマンティックだ。
恋人を思う、鶴子の気持ちを考えると泣けてくる。


もちろん、おどろおどろしい場面も沢山あって、
そういったものが嫌いな方は
敬遠するような本なのだろうけれど、
でも、絶対、それだけじゃないんです。
こんな面白い物語、
1人でも多くの方に読んでいただけたらなぁと思っています。


原作が好きなあまり、
映画の方は、今まで手つかずだったのだけれど、
同じ横溝正史の「悪魔の手毬唄」を2作連続して観たので、
いよいよ「八つ墓村」にも着手した方がいいかという事で、
借りてきた。


残念ながら、屏風の恋文の場面はなく、
それ以外にも、
私が「ここ!」と思う場面は、
映像化されていなかった。


まぁ、しかし、それも仕方あるまい。
あれだけの人間関係を、
2時間半の映画で描くのは不可能に近いだろうし、
現に、小説のほんの最初の方を描くだけで、
50分くらいの時間を費やしてしまっている。


金田一耕助役は、渥美清さん。
しっかし、この金田一、
ラスト近くに村人を集めて、謎解きするも、
「なぜ、犯人が分かった?」と言いたくなるような唐突さで、
あまり根拠がない(笑)。


きっとこの映画は、
金田一の謎解きより、
観客をどれだけ怖がらせるかで作られた映画なんじゃないかしら。
だって、犯人が正体を現した途端、
化け猫みたいになるって、どうなのよ(笑)。
これはそういう話じゃないっつーのに。


まぁ、映画は映画と思って楽しめた。
私の中の原作の世界観は少しも変わっていない。


評価 ★★★☆☆

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コメント 6

mitu

映画より原作読んでみたくなりました(^_^)
by mitu (2015-03-17 20:09) 

青山実花

mituさん
コメントありがとうございます。

うわぁ♪
ぜひぜひ本の方を読んでいただきたいです。
以前、友人に薦めましたら、
「面白かった~」と言われました。
mituさんにも楽しんでいただけるのではないかと
思うのですが^^
by 青山実花 (2015-03-18 00:15) 

hatumi30331

違う人の金田一がいいと思うなあ。^^
多分・・・あると思う。

by hatumi30331 (2015-03-18 00:40) 

水上耕助

小学生の時に見てしまい、ショーケンを追っかける小川真由美さんの鬼気迫るさまにトラウマ植えつけられた作品という印象しかないんですが(笑)
原作はまた違った雰囲気なのですね。
興味出たので私も原作読んでみようと思います。
by 水上耕助 (2015-03-18 18:35) 

青山実花

hatumi30331さん
コメントありがとうございます。

確かに渥美清さんは金田一のイメージではないかも・・・
っていうか、
石坂浩二さんのイメージが強すぎるのでしょうか^^;
by 青山実花 (2015-03-20 14:49) 

青山実花

水上耕助さん
コメントありがとうございます。

ネットで皆様のご感想を読んでみても、
この「八つ墓村」を観た年齢が低ければ低いほど、
トラウマ率も上昇するようですね^^;
確かに大人には大した事がなくても、
子供にはショックかもしれませんね。

もう、ぜひぜひ読んで下さい。
実は私も、ここ数日でまた再読してしまいました^^
面白いと思う心は全く変わっていませんでした。
本気でお薦め致します。

by 青山実花 (2015-03-20 14:55) 

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