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「秋刀魚の味」 [映画]

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〔1962年/日本〕


笠智衆は妻に先立たれ、
長女・岩下志麻、次男・三上真一郎との3人暮らし。
そろそろ岩下を嫁にやらねばと思いつつ、
つい家事を任せてしまう。


長男の佐田啓二は結婚し、
妻・岡田茉利子とアパート暮らし。
先輩から、高級ゴルフクラブを譲ると言われ、
喉から手が出るほど欲しいのだが、
冷蔵庫だ、掃除機だと、
必要なものがまだまだあり、
岡田のOKが出ない。


笠はよく、
中学時代の同級生とつるんでいる。
仲間の1人・北竜二は、最近、娘ほどの年の女と再婚し、
その事を皆でからかったりする。


次の同窓会で、
恩師・東野英治郎を呼ぼうという案が出る。
当日、東野はやって来たが、
しょぼくれたその姿に
昔の教師の面影は残っていない。


泥酔した東野を送った笠は、
独身を通した東野の娘・杉村春子の出迎えを受ける。
美しかった杉村がすっかり中年になり、
暗く淋しげで、疲れ切ったようなその様子にショックを受け・・・。





年頃の娘とその父親という、
小津安二郎監督の定番のような作品。


これは私の好みの問題だけど、
ちょっとテンポが合わなかったかなぁ。
笠智衆さんは好きだけど、
この映画のセリフ回しはのんびりすぎかな。


それから、笠さんにしても、佐田啓二にしても、
肝心な事はハッキリ言わなくて、
言わなくてもいい事を言ったりするのに閉口する。
(そこはもっとボカしてよ~、と思うシーンがある)
詳しくは書けないけど、
あれじゃ、岩下志麻が可哀相。


20代前半の女の子を見ると、
中年男が必ず結婚の事を聞く所に
ものすごく古さを感じる。
そんなプライベートな事に他人が立ち入ったら、
今なら顰蹙買いそうだけれど。


若い女と再婚した友人と、笠さんたちの会話がまた、
けっこう生々しくて。
「薬を飲んで云々」みたいな。
バイアグラはなかったにせよ、
いつの時代も、それに類する薬があったという事ね。


杉村春子の登場シーンには感心。
「先生の娘さんは美しかった」というセリフの伏線があって、
その後、美しいとは程遠い彼女が、
暗がりから出てくる場面はこちらまでギョッとする。
娘を重宝がって、嫁にやらないでいると、
杉村のようになってしまうよ、という演出だろうが、
それにしても、凄い場面だった。


評価 ★★★☆☆

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don

こんばんは~
前に紹介されていた、土屋先生の「哲学者にならない方法」を
読みました。今回は結構真面目な内容でした。
ハイデガーとか、ヴィトゲンシュタインとか、ちゃんと研究してたんですね^^

哲学本はとにかく読むのに時間がかかります。読書ブログのため多読を
是とする僕は、サラッと読める本ばかり手にしています^^;
もっと骨太な本を読まないと。。
by don (2013-11-04 21:47) 

青山実花

donさん
コメントありがとうございます。

読まれましたか^^
本当、「哲学者~」は今までの先生には珍しく、
真面目な内容でしたね。
先生の人生をあそこまで知ったのは初めてです。

donさんの選ばれる本は凄いと思います。
donさんにはサラッとでも、私にはズシッと、です(笑)。
私は哲学書なんて、手に取ったこともありません。
哲学書を読めない代わりに、
哲学の先生の軽いエッセイで満足しているのかもしれません(笑)。

by 青山実花 (2013-11-07 15:41) 

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