「自由を我等に」

〔1931年/フランス〕


刑務所内の作業場で、
何か企んでいそうな仲良しの囚人、ルイとエミールの2人。


夜になると彼らは、脱獄を試みる。
けれど、あと少しという所で見つかってしまい、
エミールはルイに、
「お前だけ逃げろ」と背中を押し、
自分は刑務所に後戻り。


ルイは、路上でレコード売りを始め、
少しずつ成功し、
大きな蓄音機の会社の社長にまで登りつめる。


一方、刑期満了で出所したエミールは、
好きになった女が働く工場へ、
自分も勤務する事になる。
奇しくもそれはルイの会社であった。


バッタリ再会したルイとエミール。
ルイは、エミールが自分を脅しに来たのかと身構えるが、
エミールにそのような気はなく、
2人は旧交を温め合う。


ところがルイの過去を知った悪人どもが、
ルイのもとにやって来て・・・。





脱獄した男が成功する話といえば、
「レ・ミゼラブル」、
過去ある男の所に、知人が他意もなく訪ねて来る話といえば、
「飢餓海峡」などなど、
この手の話は、
国に関係なく、物語になりやすいのだろうけれど、
これは、上の二つのお話しのように重くはない、
とても軽妙なコメディ。


最近の映画では見られないような、
コントのような場面がいっぱい。
ルイが逃亡する際に強奪した自転車が、
実はレースの最中で、
選手と勘違いされたルイが1位で表彰されてしまうとか。


ルイの工場で働き始めたエミールが、
モタモタしているせいで、
ベルトコンベアに就いている皆が大混乱なんて場面は、
自分もやらかしそうな事なので、
可笑しくて笑ってしまう。


ラスト近くになると、
そういった全ての仕事を機械がするようになって、
人間は楽できる（必要ない？）みたいな展開になるけれど、
この映画って、
なにかそういった社会風刺的な話なんだろうか。
その辺は、私にはよく分からない。


大金が風に舞って、
それを拾おうと、人々が大混乱になる場面もある。
金に目の色を変える人間？
でも、そんな事が実際にあったら、
平静でいられる人間なんて少ないと思うけど。
その金を自分のものにしようとは思わないまでも、
とりあえず、拾い集めなきゃ、って。


評価　★★★☆☆