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「犬神家の一族」 [映画]

inugamikenoichizoku.jpg
〔1976年/日本〕


信州で製薬会社を築いた犬神佐兵衛(三國連太郎)が死んだ。
臨終の席で、
3人の娘たち、松子(高峰三枝子)、竹子(三条美紀)、梅子(草笛光子)は、
「ご遺言を」と迫った。
犬神家の莫大な財産の行方は、
遺族でなくとも、気になる所であった。


佐兵衛は弁護士に遺言状を残してあった。
しかし、それを開封するには、
血縁者が全員揃った席である事が条件であり、
竹子の息子・佐武(地井武男)、娘・小夜子(川口晶)、
梅子の息子・佐智(川口恒)は在宅していたが、
松子の一人息子、佐清(あおい輝彦)は出征しており、
復員が待たれていた。


佐清が復員したという連絡があり、
松子が迎えに行くが、
戻ってきた彼は、白いゴムの仮面をつけていた。
戦争で顔が崩れてしまった彼は、
素顔をそのまま晒す事が出来ないからだ。


遺言状が開封されたが、
それは到底、娘たちの納得のいくものではなかった。
財産の殆どは、佐兵衛が面倒をみてきた娘、珠世(島田陽子)と、
彼女が結婚相手として選ぶ、佐清、佐武、佐智のいずれかの者が、
相続せしものと書かれていたのだ。


以降、財産を巡り、血で血を洗うような惨劇が
連続して起こる。
弁護士の弟子に手紙で呼ばれた金田一耕助は、
事件の解決に奔走する・・・。





中学の時、私が初めて横溝正史を読んだのが、
この「犬神家の一族」。
“禍々しい”“おどろおどろしい”という世界に、
初めて接したのもこれだった気がする。
面白くて面白くて、
以来、横溝正史が大好きになった。


で、今更、この映画を観てみた、
というより、やっとという感じ。
面白かった。
原作の味わいも損なわれておらず、
2時間半と長いが、あっと言う間に感じられる。


中学生の私がこの話で一番強烈に印象を残したのが、
3姉妹のえげつなさ。
遺産相続の為に躍起になる、その姿や、
父の若い愛人とその子供にした最悪の仕打ちなど、
今でも忘れられない場面。


しかし、今、本作に接してみると、
彼女たちも辛かったであろう事に気付く。
父は生涯、正妻を持たず、
女中に産ませた子供である、
全員母親が違う自分たち姉妹。
金には不自由しなかっただろうが、
決して幸せとは言えない、その出生。


そんな環境で育った3人が、
互いに深い姉妹愛など持てるはずもなく、
さらには、それぞれの甥っ子たちを
可愛がるような気持ちにはなれないのは当然であろう。


ここで起こった事件は全て、
佐兵衛の生き方の結果だと言える。
爺ちゃんの因果が孫にまで及ぶとは、
人って、行動には気を付けなくてはいけないね(笑)。


私の愛する川口浩様の弟・川口恒と妹・川口晶が、
従兄妹同士の役を演じているのが面白かった。
それも、晶が恒の子を身篭っているという設定で。
実の兄妹なのだから、
役の上でも、兄妹の方がいいのにと思ったけれど、
どうしてこういうキャスティングになったのだろう。
より禁忌な感じを出そうとしたのか。


市川崑監督が2006年にセルフリメイクした同じ映画も、
近いうちに絶対観るつもり。


評価 ★★★★☆

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コメント 6

原みつる

横溝・・・なんとかさんが書いた小説ですよね?
本を読んだけどよくわからなかった(@^_^)ゞポリポリ やっぱり読むより見たほうが楽だしわかりますね^^;
by 原みつる (2012-01-06 19:54) 

k_iga

男子はみんなやったハズ。プールで足だけ出して「犬神家!」とか、
会話の最中に何の脈絡もなく「母さん、僕だよ佐清だよ」と言う。

by k_iga (2012-01-07 01:09) 

don

2006年版を是非見たいと思います!

むかし見たときは、ほんとの良さがわからなかった。
ここを読んで、面白さがわかった気がしました^^
by don (2012-01-07 15:25) 

青山実花

原みつるさん

原さんは、
横溝正史さんの原作は合いませんでしたか。
それはそれで、有りだと思います。
時間を置いて読み返すと、
意外と面白く思ったりすることもありますし(笑)。
by 青山実花 (2012-01-07 22:18) 

青山実花

k_igaさん

あはははは~。
やっぱり男の子は面白いですね(笑)。
そのエピソードだけでも、
この映画の当時の人気が偲ばれますね。
by 青山実花 (2012-01-07 22:22) 

青山実花

donさん

市川崑監督がセルフリメイクしたという事は、
監督自身も、
この映画が好きだったのかな、
それとも、不満が残っていたのかな、と、
どちらにも取れる気がして、気になっています。
私も明日観ます(笑)。

昔、観たり読んだりしたものが、
年を重ねて、
別の味わいになる事ってありますよね。

by 青山実花 (2012-01-07 22:29) 

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