◆小さいおうち◆ [本]
好きだな。
こういった構成の小説。
過去の出来事が現在へとつながって、
「そうか、そういう事だったのか」と、納得できる内容。
昭和五年、十二歳の布宮タキは、
山形から東京へ、女中奉公に出る。
東京で、
平井家、特に奥様である平井時子と過ごした日々は、
タキにとって、生涯のかけがえのない思い出。
時子は二十二歳と若く、
タキとは主従関係というより、
姉妹のような間柄。
世知に疎く、いつもフワフワ生きている、
そんな印象の奥様である。
平井家で起こる様々な出来事も面白いが、
昭和五年から終戦までの東京の様子も
大変に興味深い。
戦争も末期にならないと、
意外と呑気だった事が分かる。
老婆になったタキが、
手記という形で、思い出を綴る。
143回直木賞受賞作
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