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「朝の口笛」 [映画]

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〔1952年/日本〕


綾子(小野道子)
純子(南左斗子)
みさお(市川和子)
圭子(叶順子)
の仲良し4人組は、
今日、高校の卒業の日を迎えた。


綾子は、出版社に就職。
初出勤の電車の中で、
見知らぬ男(船越英二)と喧嘩になるが、
出社してみると、
彼が、同じ会社の北川だと分かり大慌て。


純子は、大学に進学。
純子の姉は、
お嫁にいったが、
自分は姉のような専業主婦には
なりたくないと思っている。


みさおと圭子は、
共に、スチュワーデスの試験を受けるが、
みさおだけが合格し、
圭子は涙する。
ところが、みさおが結核に罹ってしまい、
圭子が繰り上げ合格する事に・・・。





高校を卒業した、
4人の女の子が、
様々な体験を通して、
成長する、
ゆるーい物語(笑)。


4人とも、
職業を持つ気でいるが、
結局、最後は、
恋愛の話で落ち着く。


1950年前後、
女性が働くとは言っても、
やはり結婚こそが女の幸せという価値観は揺るぎなかったのだろうと
思われる。


主人公の綾子は、
絵に描いたような、
少女漫画的出会いである、
船越英二さんと、
喧嘩しながらも、
恋仲になるし、


あれほど、
姉のようにはなりたくないと言い、
大学に進学した純子も、
野球部の学生と懇意になると、
「平凡な生活にこそ、幸せがあるのね」と言い出す。


結核に罹ってしまったみさおに恋していた、
綾子の兄は、
親の反対を押し切って、
みさおを嫁にもらうと宣言し、


スチュワーデスになった純子は、
そもそも、
北海道にいる恋人に会うために、
その職業を選んだという、不純さ(笑)。


みーんな、恋こそが全て。


ところで、この映画、
別の意味で、とっても貴重。


というのも、
この作品、
叶順子さんの映画デビュー作なのと、


それから、田宮二郎さんが、
その他大勢の、
セリフ無しの役で、出ている。


あ、田宮さんだ!
と気付き、映像を戻して確認したけど、
やはりセリフはなかった。


後の大スターの、
源流を見たようで嬉しかった。


評価 ★★★☆☆

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「悪魔を見た」 [映画]

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〔2010年/韓国〕


ある雪道で、女性の運転する車が
パンクし、立ち往生する。
そこに、声をかけてきた男・ギョンチョル。
ギョンチョルは、女性を拉致して殺し、
バラバラにした遺体を川に捨てる。


女性の婚約者で、国家情報院捜査官のスヒョン(イ・ビョンホン)は、
変わり果てた彼女の姿に復讐を誓う。


スヒョンは、ギョンチョルを探し出し、
激しく暴行するが、
殺しはせず、
なぜか、放り出す。
カプセル型のGPSを飲ませた上で。


ギョンチョルは、
新たな獲物を見つけては、
犯行を繰り返すが、
その度に、スヒョンが現れ・・・。





毎日のニュースを観ていると、
簡単に死刑にしてしまったのでは、
気が収まらないというくらい、
最悪な犯罪者の存在を知る事があるけれども、


この映画は、
そんな気持ちを、
そのまま映像にしたような内容。


婚約者を殺された、
イ・ビョンホン演じるスヒョンは、
殺人鬼・ギョンチョルを見つけるも、
簡単に殺しはせず、
ギョンチョルを泳がせ、
犯罪を犯す度に、何度も暴行する。


ただ、その気持ちは分かるんだけど、
ギョンチョルに拉致され、
レイプされそうになったり、
殺されそうになった女性たちの、
心の傷はどうしてくれる?
と、突っ込みたくなる。


いくら、寸前で助けられるとはいっても、
そのトラウマは、
一生、忘れられないくらい、
大きなものだと思う。
あんな気持ちの悪い殺人鬼、
とっとと捕まえてくれよ、って感じ。


それに、警察も無能だ。
スヒョン一人が、
ギョンチョルを何度も痛めつけるのに、
警察は、
その場所を特定できもしない。


ギョンチョルの、
犯罪に対する執着もすごい。
彼は、事を起こす度に、
スヒョンから、
激しい暴力を受け、
アキレス腱まで切られたりしてるのよ。


なのに、懲りもせず、
犯行を繰り返す。


・・・と、
細かい事を言ったらキリがない。
この映画は、
そんな粗さがしをする映画ではなく、
バイオレンスを楽しむ映画だ、


楽しむといっては、語弊があるな。
バイオレンスを観て、
ストレス解消・・・
・・・余計に変か(笑)。
まぁ、とにかく、
韓国映画らしい内容。
直視できず、
目を背けるシーン、多数。


評価 ★★★★☆





-------------


2023年も今日で終わります。


楽しい事がいっぱいの一年でした。
「生まれて初めての事」も沢山しました。
いくつになっても、
まだまだしていない事が無数にあるのだなぁと、
思い知らされた一年でした。


来年も、
「果敢」
「貪欲」
「興味」
「感動」


これらの言葉を常に心に持ち、
経験値を上げていきたいと思っています。


無事に一年を終えられるのも、
多くの皆さまが、
優しく、親切に接してくださったからだと、
心から感謝しています。


皆さま、
よいお年をお迎えください。
ありがとうございました。

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「枯れ葉」 [映画]

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〔2023年/フィンランド〕


フィンランドの首都・ヘルシンキ。
スーパーで働く女・アンサは、
理不尽な理由でクビを言い渡される。


一方、建設現場で働くホラッパは、
仕事中に酒を飲むほど酒浸りで、
これまたクビに。


そんな2人が、
カラオケバーで知り合って惹かれ合い、
その後、偶然、再会する。


互いに名前も知らないまま、
映画を観にいった2人。
別れ際、アンサは、
電話番号を書いた紙片をホラッパに渡すが、
ホラッパはそれを失くしてしまい・・・。





フィンランドの巨匠・アキ・カウリスマキ監督が、
前作「希望のかなた」を最後に、
 ↓
https://aomikamica.blog.ss-blog.jp/2018-01-12
引退表明したけれど、
それを撤回し、
復帰しての第1作目が、
本作「枯れ葉」。


人生を謳歌しているとは言い難い、
孤独で貧しい男と女が出会い、
少しずつ、距離を縮めてゆく。


しかし、縮まったかな、と思うと、
必ず何かしらのアクシデントが起こって、
中々一筋縄ではいかず、
ヤキモキさせられる。


フィンランドの人々の生活も垣間見られる。
不景気なのは、日本と変わらず、
苦しいけれど、
それでも、たまにカラオケに行ったり、
映画に行ったりするのが、楽しみで。


そのカラオケというのが、
カラオケボックスではなく、
のど自慢のような、
それなりのステージで、
客が見ている前で一曲歌う。
私だったら、
何を歌おうか、なんて考えちゃった(笑)。


ラジオがかかる場面が多く、
その時は、必ず、
ウクライナとロシアの戦況が流れる。


カウリスマキ監督は、
男女の問題や、
フィンランドの現状を描くのと同時に、
ロシアへの批難の気持ちを
表現しているのかと思う。


評価 ★★★★☆

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「喜劇 男の泣きどころ」 [映画]

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〔1973年/日本〕


刑事の木下(フランキー堺)は、
警視庁保安一課に転任を命じられた。
この課は、
ポルノを取り締まる事が任務。


木下は、ポルノフィルムの製造会社・太平洋商事の
ボスを捕まえるため、
ストリッパーの根本とめ(太地喜和子)の
追跡をする事に。


そんな中、
木下は、戦友仲間の同期会に出席し、
親友の藤村(藤岡琢也)と再会し、
喜び合う。


しかし、実は、この藤村こそが、
太平洋商事のボスである事に、
木下は気付いていなかった。


さらに、木下は、
毎日ポルノばかり見ていたせいで、
「役立たず」になってしまい・・・。





昨年の11月、
名画座で、
念願だった、「喜劇 女の泣きどころ」を観る事ができた、
と書いた。
 ↓
https://aomikamica.blog.ss-blog.jp/2022-11-19


そうなると、次の目標は、
「喜劇 男の泣きどころ」を観る事、
となるのは自然の流れ(笑)。


すると、先日、
名画座のラインナップに、
「男の~」が入っている事に気付き、
またまた、「やった!」という事で、
観にいった。


これらの映画は、
「泣きどころ」シリーズという名前ではなく、
太地喜和子ストリッパー3部作と言われているそうだ。


「女の~」でもそうだったけど、
太地喜和子さんが、
実に妖艶で、そしてとても可愛い、
ストリッパー役を演じている。


フランキー堺さんは、
ポルノ取り締まりの警察官という職業のおかげで、
「役立たず」になってしまうも、
太地さんのおかげで「復活する」(笑)。


それから、私は、
藤岡琢也さんの関西弁がとても好きで。
関東人の私には分からないけれど、
一口に関西弁といっても、
地方によって、
違いがあるのでしょうね。
そんな中、
藤岡琢也さんの関西弁は、
とても私好み。


ところで、
太地喜和子さんの
「ストリッパー3部作」の
残りの1本は、
「喜劇 男の腕だめし」という作品だそうだけど、


やった!
友人からもらったDVDの中に、
この映画がありました。


近いうちに絶対観ます。


評価 ★★★☆☆

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「ジョージタウン」 [映画]

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〔2018年/アメリカ〕


モット(クリストフ・ヴァルツ)と、
エルサ(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)は、
妻の方が30歳ほど年上の夫婦。


ある夜、夫妻の家で、
著名人を招いた晩餐会が行われるが、
客が帰った後、
エルサが遺体となって発見される。


モットは「散歩から帰ったら妻が死んでいた」と言うが、
胡散臭いモットが大嫌いな、
エルサの娘・アマンダ(アネット・ベニング)は、
そんな事は到底信じられず、
モットの犯行を確信する。


モットは逮捕され、
裁判が始まるが、
やがて彼の誇大妄想と嘘と野心で塗り固められた
人生が明らかになってゆき・・・。





大嫌い、クリストフ・ヴァルツ。


あー、
いやいやいやいや、
そんな事を言ってはいけない。
あくまで嫌いなのは、
彼の役柄であって、
彼自身には何の罪もない。


しかし、私の中の彼の印象は最悪(笑)。


以前観た、「ビッグ・アイズ」の役がクソ野郎すぎて(笑)、
 ↓
https://aomikamica.blog.ss-blog.jp/2015-02-01

【今後、彼の出演作を観たら、
 それがどんなに良い役でも、
 「あ!あいつだ」と思ってしまいそう】

と書いたけれど、
まさしく、それが現実になった感じ(笑)。


この「ジョージタウン」と「ビッグ・アイズ」の、
クリストフ・ヴァルツの役は似ているところがある。


口が上手く、
人に取り入り、
胡散臭いながらも、
一部の人は彼の言う事を信じてしまうという。


本作では、
夫に先立たれ、
生きる希望を失くした金持ちの老女・エルサの
心の隙間に入り込み、
結婚までしてしまう、
異様な上昇志向の男を、
めちゃめちゃ上手く演じている。


これだけ人の神経を逆撫する演技ができるヴァルツさんって、
実は、凄い人なのでしょうね。
しかも、この映画は、
彼の初監督作品でもあって。


私も彼のような人に、
騙されないように気を付けよっと(笑)。


評価 ★★★★☆

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