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「我が家の風」 [映画]

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〔1943年/日本〕


退役軍人の娘・蜷川夏子(月丘夢路)は、
見合いした曾我部浩(宇佐美淳)と、
もうすぐ結婚する予定。


ある日、父の留守中に、
勘当されている兄が突然やって来る。
夏子は、兄との再会を喜ぶが、
兄は、父の帰宅を待たずに帰ってゆく。


その直後、
兄は割腹自殺をし、
夏子の結婚は延期になってしまう。


夏子は、
大きなショックを受け、
さらに浩に召集令状が。
2人は再会を約束し、
浩は出征する。


夏子は、兄の死をきっかけに、
兄の妻や、中学生の息子・賢一と
交流するようになり、
そんなこんなの中、
浩の帰りを待つが・・・。





1964年に、
アメリカの議会図書館に、
1,400本にも及ぶ戦前・戦中の
日本映画が保存されている事が判明し、


日米双方による事前調査と折衝を経て、
1967年11月8日に「交換協定文書」が調印され、
日本側が返還を希望したフィルム群が里帰りをしたそうだ。


私の想像だけど、
他にも世界中に(もちろん、日本国内にも)
まだまだ見つかっていない、
邦画のフィルムが沢山あるのでは、
と思う。


1本でも多くの作品が見つかって、
きちんとした形で、
保存される事を願っています。


で、この映画は、
そんな「返還映画」の1本で、
1943年(昭和18年)製作という事もあり、
戦争の色がとても濃い内容。


人々は、
年頃の男性が出征する事を、
全く疑問に思っていないように見える。
女たちは、千人針を作り、
男たちは、それを喜んで受け取ったりしている。


割腹自殺した、月丘夢路さんの兄には、
中学生の息子・賢一がいて、
この子も当然、
軍人になる事を夢見ている。


そして、時が過ぎ、
立派に育った賢一は出征するのだけれど、
そんな賢一の事を、皆が、
「お父さんも喜んでいるでしょう」と。


時代が違うのだから、
今の感覚を当てはめてはいけないけれど、
自分の息子が死ぬかもしれない状況を、
喜ぶ親がいるか、と悲しくなる。


本気でそう思っているとしたら、
洗脳って恐ろしい。
もう、そんな時代が二度ときませんようにと、
願うばかり。


評価 ★★★☆☆

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