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「孤狼の血 LEVEL2」 [映画]

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〔2021年/日本〕


広島県呉原市。
広島大学卒の
エリート刑事・日岡(松坂桃李)は、
暴力団「尾谷組」と「広島仁正会」の抗争を終結させ、
今や、警察と暴力団の両方から、
一目置かれる存在となっていた。


なんとか平和な日々が守られているある日、
「広島仁正会」の構成員・上林(鈴木亮平)が
服役を終えて、出所してくる。


上林は、
目的の為なら手段を選ばない、
圧倒的な「悪」であり、
呉原市の危うい均衡は、
たちまち崩れ始める。


日岡は、上林の動向を探るべく、
スパイとして、
韓国籍のチンピラ・チンタ(村上虹郎)を
送り込むが・・・。





試写会で観た。


シリーズ2作目。
 ↓
https://aomikamica.blog.ss-blog.jp/2019-09-14


映画の持つ、
あまりのパワーに圧倒される。
スクリーンに釘付けになった139分。


鈴木亮平くん演じる上林は、
モンスターとしか言いようのない、
この上ない危険人物で、
彼の中に、
人の情とか、優しさとか、
そういった感情は存在しない。
彼の殺しのグロさには、何度も目を背ける。


彼の行動には、
修羅場をくぐり抜けてきたはずの、
ヤクザの幹部たちも怖じ気づき、
そして、上村は、そんな幹部たちにも、
牙を向ける事に躊躇しない。


上林にしてみたら、
自分が服役している間に、
手打ちをし、
腑抜けのようになってしまった幹部たちは、
最早、苛立ちの原因となる存在でしかないのだ。


この映画の面白いところは、
上林が、
なぜそのような残虐極まりない人間に成り果てたのか、
彼の幼少期まで描かれている所だ。


それは、辛く、悲惨な、
彼の人生を決定づけた生い立ちで、
フィクションとはいえ、心が痛い。
いや、これをフィクションだと捉えていいのか、
とも思う。
毎日のニュースを見ていると、
似たような話は、
今でも、そこら中に転がっている。
「全ての子供に愛と慈しみ」を、なんて、
陳腐で臭い言い方だけど、
そう願わずにはいられない。


日岡がスパイとして送り込んだ、
村上虹郎くん演じるチンタの運命がまた、
あまりに壮絶で、
そして哀しい。


彼はスパイである事を、
上林に疑われている。
で、無理難題を吹っ掛けられるんだけど、
疑われないようにと、
どんな怖ろしい事も断らない、断れない。


あぁ、他にも色々あるけど、
原稿用紙が終わりそうなので、ここまで。
面白かった。


評価 ★★★★★

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「キネマの神様」 [映画]

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〔2021年/日本〕


79歳の円山郷直(沢田研二)は、
酒好き、無類のギャンブル好き。
借金取りが自宅まで押しかけ、
娘・歩(寺島しのぶ)は怒り心頭。


歩に、通帳やカードを取り上げられた郷直は、
友人・寺林新太郎(小林稔侍)が経営する
名画座に行く。


郷直と新太郎は、
昔、同じ映画撮影所で一緒に働いていた
仲間だった。


まだとても若かった頃、
映画は娯楽の最先端で、
撮影所の熱気もハンパなかった、
キラキラした、あの日々・・・。





試写会で観た。


アル中で、借金まみれの、
どーしようもない老人をジュリーが演じ、
彼の若かりし頃を菅田将暉さんが演じるという、
山田洋次監督の映画。


ジュリーの現代場面の方は、
なんだか緩い話だな、と思い、
ぼんやり観ていたんだけど、


物語がジュリーの過去に飛ぶと、
俄然面白くなって、
我を忘れて見入ってしまった。


いつもこちらのブログで書いているように、
私は古い邦画が大好きなので、
あの頃の撮影所の雰囲気や、
人々の様子を見られたことが、
とても嬉しく、
胸ときめく。
もちろん、古い邦画に特に興味のないかたでも、
楽しめると思う。


当時の美人女優役で、
出演されているのが北川景子さん。
大変に美しく、
素敵なのだけれど、
撮影後は、普通に、
近所の食堂で気さくにお話する、
気持ちのいい女性。


北川さんは、
菅田くんに思いを寄せている風だけど、
食堂の娘・永野芽郁ちゃんと菅田くんが、
恋仲だと知ると、
自分の気持ちを隠して応援してくれる。


実はこの映画、
志村けんさんが主演で、
撮影が半分まで終わっていたそうで、
それが、あのような事になってしまい、
沢田研二さんが代役として、
撮り直しがされたのだそうだ。


ジュリーも良かったけど、
志村さんで観てみたかった。
フィルムは残っているのでしょうし、
少しでいいから、
志村さんの出演バージョンを見せてほしい、
と思ったり。


ラスト近く、
再び、北川さんが登場するのだけれど、
それは、涙なくしては観られない場面。
ウディ・アレン監督の、
「カイロの紫のバラ」を彷彿とさせ、
大変な感動。


そして、私がいつも望んでいる、
最高の人生の終わり方。


評価 ★★★☆☆

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「牝犬」 [映画]

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〔1951年/日本〕


保険会社に勤める堀江(志村喬)は、
真面目を絵に描いたような男で、
仕事は皆勤賞、
病弱な妻や、年頃の娘にも、
厳しい態度で接してきた。


ある日、堀江は、
部下が入り浸っているというレビュー劇場に、
部下を迎えにいったところ、
踊り子のエミー(京マチ子)と、
成り行きで関係を持ってしまう。


翌年。
堀江は、会社から横領した金でエミーとバーを経営し、
一緒に暮らしていた。
エミーの虜になった堀江は、
妻子も、会社も捨て、
エミーとの生活を選んだのだ。
浮気者のエミーは、
朝帰りを繰り返し、
堀江は嫉妬に苦しむが、
それでも別れられず、彼女のすがりつく日々。


ある日、店の楽団に、
新人のサックス奏者・白川(根上淳)が入団してきた。
若く美しい白川を
エミーはあの手この手で誘惑するが、
まるで相手にされず、
次第に彼女は、
本気で彼に恋するようになる・・・。





これぞ、
「ザ・京マチ子映画」。


その魅力的な肉体で、
男を誘惑し、
男が本気になっても、
自分は夢中にならず、
常に浮気を繰り返す女。


実際の京マチ子さんは、
そういった女性ではなかったと思うけど、
そういう役が似合い過ぎていて、
それが、
京さんのイメージそのものになっていった気がする。


この映画の志村喬さんも、
そんな京さんの毒気に惑わされ、
今まで築き上げてきたもの全てを捨てて、
京さんに走る。
その場面の切り替わりが素晴らしい。
2人がお布団に倒れ込んだ、と思ったら、
次の場面では、
2人がバーを経営している。
観ているこちらは、
「え!?」と驚く、という仕掛け。


志村さんは、
朝帰りしてきた京さんの汗を拭いてやったり、
ご機嫌とりに必死。
京さんは実に面倒くさそうなんだけど、
それが、志村さんの不安を煽り、
さらにすがりつく、という悪循環。


そんな京さんが、
初めて男に惚れる。
それがサックス奏者の根上淳さん。
根上さんにとって、
京さんのバーで演奏することは、
人生の通過点に過ぎず、
そんな場所で終わる男じゃない。
だから、どんなに誘惑されても乗らない。
女に現を抜かしている場合じゃないのだ。


つまり、志村さんにしても、京さんにしても、
相手に冷たくされればされるほど、
夢中になるのは同じって事なのね。
異性にモテたかったら、
追い回すだけが能じゃないかも(笑)。


それから、志村さんに捨てられた娘役を、
久我美子さんが演じていて、
なんと彼女は、旅回りのストリッパーになっている。
あの清純で気品あるお嬢様・久我美子さんが、
そのような役をするのも驚きだし、
父との再会の場面は、
観ているこちらも、本当にショックで。


誰一人、幸せにならない、この映画。
せめて、根上さんだけは、
この修羅の家から逃げ出して、と、
彼の乗った列車が動き出すまで、
「早く早く」と、手に汗握るような思いで観ていた。


ラストは、ああなるしかなかったんだろうな、という終わり。


評価 ★★★★☆





この作品で、
京マチ子さんの出演映画、100本中85本を観た事となりました。


(★は観た作品)


★化粧 (1984)
★男はつらいよ 寅次郎純情詩集 (1976)
 妖婆 (1976)
★金環蝕 (1975)
★ある映画監督の生涯 溝口健二の記録 (1975)
★華麗なる一族 (1974)
★玄海遊侠伝 破れかぶれ (1970)
★千羽鶴 (1969)
★小さい逃亡者 (1966)
★沈丁花 (1966)
★他人の顔 (1966)
★甘い汗 (1964)
★現代インチキ物語 ど狸 (1964)
★女系家族 (1963)
★女の一生 (1962)
★仲よし音頭 日本一だよ (1962)
★黒蜥蜴 (1962)
★釈迦 (1961)
 小太刀を使う女 (1961)
★女の勲章 (1961)
★濡れ髪牡丹 (1961)
★婚期 (1961)
★お傳地獄 (1960)
★顔 (1960)
★足にさわった女 (1960)
★三人の顔役 (1960)
★ぼんち (1960)
★流転の王妃 (1960)
★女経 (1960)
★浮草 (1959)
★鍵 (1959)
★次郎長富士 (1959)
★夜の闘魚 (1959)
★女と海賊 (1959)
★細雪 (1959)
★あなたと私の合言葉 さようなら、今日は (1959)
★娘の冒険 (1958)
★夜の素顔 (1958)
★赤線の灯は消えず (1958)
★大阪の女 (1958)
★忠臣蔵 (1958)
★母 (1958)
★悲しみは女だけに (1958)
★有楽町で逢いましょう (1958)
★穴 (1957)
★夜の蝶 (1957)
★地獄花 (1957)
★女の肌 (1957)
★踊子 (1957)
★いとはん物語 (1957)
★スタジオはてんやわんや (1957)
★八月十五夜の茶屋 (1956)
★月形半平太 (1956)
★赤線地帯 (1956)
★虹いくたび (1956)
★新・平家物語 義仲をめぐる三人の女 (1956)
 新女性問答(1955)
★藤十郎の恋 (1955)
★楊貴妃 (1955)
★薔薇いくたびか (1955)
 春の渦巻 (1954)
 馬賊芸者 (1954)
★千姫 (1954)
★浅草の夜 (1954)
★春琴物語 (1954)
★愛染かつら (1954)
★或る女 (1954)
★地獄門 (1953)
★あに・いもうと (1953)
 黒豹 (1953)
★雨月物語 (1953)
★彼女の特ダネ (1952)
★大佛開眼 (1952)
★美女と盗賊 (1952)
★瀧の白糸 (1952)
★長崎の歌は忘れじ (1952)
★浅草紅団 (1952)
★踊る京マチ子 歌う乙羽信子 (1952)
 恋の阿蘭蛇坂(1951)
 情炎の波止場(1951)
★馬喰一代 (1951)
★源氏物語 (1951)
★牝犬 (1951)
★自由学校 (1951)
★偽れる盛装 (1951)
 美貌の海(1950)
 復活(1950)
★火の鳥(1950)
★羅生門 (1950)
★浅草の肌 (1950)
 遙かなり母の国 (1950)
★続蛇姫道中 (1950)
★蛇姫道中 (1949)
★最後に笑う男(1949)
★痴人の愛 (1949)
 三つの真珠 (1949)
★地下街の弾痕 (1949)
★花くらべ狸御殿 (1949)
 天狗倒し(1944)
 団十郎三代 (1944)

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「四谷怪談 お岩の亡霊」 [映画]

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〔1969年/日本〕


民谷伊右衛門(佐藤慶)は、
その貧しい生活に、
イライラを募らせている浪人。


妻のお岩(稲野和子)は、
産後の肥立ちも悪く、
舅は口うるさく、
そんな事も、
伊右衛門を苛立たせる原因だった。


ある日、伊右衛門は、
札差の伊勢屋に近づき、
一人娘のお梅の心を掴む。


お梅の婿になり、
伊勢屋の跡取りとなれば、
生活は安泰。
伊右衛門はますます、お岩が疎ましくなる。


伊右衛門と伊勢屋は結託し、
産後の不調に効果があるという薬を
お岩に飲ませた。
お岩の顔は、
瞬く間に崩れ、
髪は抜け落ち・・・。





「四谷怪談」は、
今までに何度も、映画化されている。
正統派なものから、
伊右衛門が善人に描かれたものから、
スピンオフ的な作品まで、
様々。


本作は、
特に捻りのない、
正統派な「四谷怪談」だけど、
佐藤慶さんの、
冷酷な表情と、その言動が、
彼を信じ切っているお岩の気持ちと相まって、
さらにインパクトを強いものにしている。


佐藤慶さん演じる伊右衛門は、
自分の出世のためなら、
人殺しだって厭わない。
結婚式の夜、
「そなたを必ず幸せにする」
と言った事などすっかり忘れ、
今は、妻のお岩と子供の事は、
この世から消したい存在。


それにしても、
伊右衛門って男が、
どうしようもない野郎なのは分かるんだけど、
彼を取り込もうとする、
伊勢屋ってのも、また、
どーしようもない家族のようで。


なにせ、
伊勢屋の一人娘のお梅は、
伊右衛門に惚れたってんで、
父親に泣きつき、
父親は、伊右衛門が既婚者である事を知りながら、
娘の我儘を聞いてやりたいばっかりに、
「何とかなりませんか」と。


娘が、
親の知らない所で、
いつの間にか不倫していた、というならともかく、
まだ、娘が勝手に熱を上げている段階から、
相手の男を説得するなど、
普通ではない気がする。


さらに、お岩に毒を送り付けたのは、
他ならぬ伊勢屋なのだ。
伊右衛門も酷いけど、
世の中、金さえあれば、
手に入らぬものはない、と言わんばかりの
伊勢屋が怖いわ。


評価 ★★★☆☆

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23区内全駅制覇・阿佐ヶ谷駅 [23区内全駅制覇]

【23区内全駅制覇・各駅編】


第33回目の掲載は、
 ・JR中央線快速
 ・JR中央線各駅
「阿佐ヶ谷駅」です。


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阿佐ヶ谷には、
名画座「ラピュタ阿佐ヶ谷」さんで映画を観るために、
たまに行きます。


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駅を出て、


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狭い路地を抜けてゆくと、


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「ラピュタ阿佐ヶ谷」さんに到着。
こちらで映画を観るのが至福のひととき。


最上階は、「山猫軒」というレストランになっていて、
一度、ディナーをしたことがあります。
ちなみに、お店の名前の由来は、
ルキノ・ヴィスコンティ監督、
アラン・ドロン主演の、
大傑作映画「山猫」からなんだとか。


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駅と映画館を往復する道以外、
殆ど歩いた事がないので、
少しお散歩。


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小さな飲み屋さんや、食べ物屋さんが、
とても多いです。


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小さな銭湯や、


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和菓子屋さんや、


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床屋さんや、


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お豆腐屋さんなどもありました。



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私の大好きな、
50年代、60年代の映画に出てきそうな塀の
お家がありました。
お庭の木の感じも好きです。


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タイ料理の「ピッキーヌ」さんでお食事。
お店はお客さんがひっきりなし、
ご近所のテイクアウトの方も、次々自転車で訪れるという、
人気店です。


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クッティオムーと揚げ春巻きをいただきました。





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※今まで行った駅のリンク集です。
 ↓
https://aomikamica.blog.ss-blog.jp/2010-09-22-13

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※以下に、このカテゴリーの1回目に書いた文章を
 貼り付けておきます。


2018年の4月から12月まで、
「23区内全駅制覇」というカテゴリーで、
 ↓
https://aomikamica.blog.so-net.ne.jp/2010-09-22-12
路線ごとに、駅名表示板を並べて、
掲載していたのですが、
次は「2周目」という事で、
今度は各駅の周辺を、もう少しゆっくり歩いてみたいと思います。


条件は特にないのですが、
駅周辺の雰囲気や建物を見たり、
それから、お食事かお茶ができればいいな、
と思っています。

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