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「四谷怪談 お岩の亡霊」 [映画]

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〔1969年/日本〕


民谷伊右衛門(佐藤慶)は、
その貧しい生活に、
イライラを募らせている浪人。


妻のお岩(稲野和子)は、
産後の肥立ちも悪く、
舅は口うるさく、
そんな事も、
伊右衛門を苛立たせる原因だった。


ある日、伊右衛門は、
札差の伊勢屋に近づき、
一人娘のお梅の心を掴む。


お梅の婿になり、
伊勢屋の跡取りとなれば、
生活は安泰。
伊右衛門はますます、お岩が疎ましくなる。


伊右衛門と伊勢屋は結託し、
産後の不調に効果があるという薬を
お岩に飲ませた。
お岩の顔は、
瞬く間に崩れ、
髪は抜け落ち・・・。





「四谷怪談」は、
今までに何度も、映画化されている。
正統派なものから、
伊右衛門が善人に描かれたものから、
スピンオフ的な作品まで、
様々。


本作は、
特に捻りのない、
正統派な「四谷怪談」だけど、
佐藤慶さんの、
冷酷な表情と、その言動が、
彼を信じ切っているお岩の気持ちと相まって、
さらにインパクトを強いものにしている。


佐藤慶さん演じる伊右衛門は、
自分の出世のためなら、
人殺しだって厭わない。
結婚式の夜、
「そなたを必ず幸せにする」
と言った事などすっかり忘れ、
今は、妻のお岩と子供の事は、
この世から消したい存在。


それにしても、
伊右衛門って男が、
どうしようもない野郎なのは分かるんだけど、
彼を取り込もうとする、
伊勢屋ってのも、また、
どーしようもない家族のようで。


なにせ、
伊勢屋の一人娘のお梅は、
伊右衛門に惚れたってんで、
父親に泣きつき、
父親は、伊右衛門が既婚者である事を知りながら、
娘の我儘を聞いてやりたいばっかりに、
「何とかなりませんか」と。


娘が、
親の知らない所で、
いつの間にか不倫していた、というならともかく、
まだ、娘が勝手に熱を上げている段階から、
相手の男を説得するなど、
普通ではない気がする。


さらに、お岩に毒を送り付けたのは、
他ならぬ伊勢屋なのだ。
伊右衛門も酷いけど、
世の中、金さえあれば、
手に入らぬものはない、と言わんばかりの
伊勢屋が怖いわ。


評価 ★★★☆☆

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