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「流れる星は生きている」 [映画]

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〔1949年/日本〕


第二次世界大戦が終わり、
中国にいた日本人は、
大変な思いで港を目指して進んでいた。
3人の幼子を連れたけい子(三益愛子)もその一人。
何としても生きて日本に帰らねばならない。
思いはそれだけだ。


やっと日本に着いたけい子は、
叔母の家に行くが、
思いの外、叔母は冷たく、
引き上げ寮で暮らしながら、
夫を待つ事にした。


一緒に引き上げてきた節子と幸枝は、
キャバレーでの仕事を見つけ、
けい子は、製本所で働くことになった。
しかし、中国で引き上げる途中、
子供を亡くした幸枝は、
自暴自棄となり、転落してゆく。


そんな中、けい子は、
製本所の経営者から、
次男を養子にくれないか、と言われ・・・。





終戦後、
中国からの引揚者の皆様が、
どれほどご苦労なさったか、
映画、ドラマ、書物などで、
何度か知る機会があったけれど、
これも、辛い物語。


どんな時代でも、
必ず、いい人と、悪い人、というのがいて、
例えば、引き揚げのための行進をしている最中でも、
女性たちの食べ物や金を狙う輩がいる。


こんな非常時に、
いい加減にしろ、と言いたくなるが、
そういう人の思考は、
そういう事にしか向かないのだろう。


そうかと思えば、
日本に帰ってから、
叔母につれなくされ、途方に暮れているときに
出会ったお巡りさん。
彼は、けい子と3人のこどもを家に連れ帰り、
食事を提供し、
泊めてくれる。
涙が出そうなくらい、ホッとした場面。


その後も、同じ。


引揚者を利用して、
金儲けだけを考える人間が多数いて、
彼らは、けい子たちの弱みに付け込み、
追い込んでゆく。


女たちは、
「いつか帰ってくる夫や恋人に会った時、
 顔向けできないような事はすまい」と、
それだけが、心の支え。
それでも、転落してゆく者はいる。


けい子は、
中国から3人の子供を連れ帰ったけれど、
引揚者の中には、
置いてこざるを得なかった人もいて、
その子が、後にいう、
中国残留孤児と呼ばれる人たちなのよね。


で、いっとき、残留孤児たちの
日本への帰国が相次いだけれど、
日本語を話せずに、ご苦労されたとか。


そして、今は、
その二世、三世たちの時代。


そんな風に、戦争は、
いつまでも、その傷が癒えることはなく、
後世にまで影響が及ぶ。
今後、絶対戦争をしてはならないと、
本気で思う。


評価 ★★★★☆

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