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「ラヴレース」 [映画]

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〔2013年/アメリカ〕


1970年。
フロリダの田舎町で両親と暮らす、
リンダ・ボアマン(アマンダ・セイフライド)は、
ある夜、バーを経営するチャック・トレイナー(ピーター・サースガード)と
知り合う。


チャックに恋してしまったリンダは、
厳しい両親に辟易していた事もあり、
すぐに彼と結婚、家を出る。


最初は甘い結婚生活であったが、
チャックが、バーでの売春斡旋容疑で捕まり、
借金を抱えてしまった事から、
リンダは、ポルノ映画のオーディションを受けさせられる。


彼女の、ある「テクニック」がウケ、
リンダ・ラヴレースという芸名が付けられ、
そして作られた映画、「ディープ・スロート」は、
全米で大ヒット、
社会現象にまでなり、
ポルノなど観た事もなかった人々まで、
劇場に足を運ぶ騒ぎとなる。


しかし、リンダの私生活は辛いものだった。
チャックが次第に本性を現し、
彼女に酷い暴力を振るうようになっていたのだ。
さらに、何人もの男の相手をさせられるなどの、
地獄のような日々。


6年後、チャックと別れた彼女は、
本を出版。
そこには、ポルノ女優として一躍スターになった女の
虚と実が赤裸々に描かれていた・・・。





ポルノ映画、「ディープ・スロート」は、
タイトルと、簡単な粗筋だけは知っている。
けれど、それを演じた女優さんの人生について
考えた事はなかった。


「ディープ~」の主演女優・リンダ・ラヴレース役を、
人気女優、アマンダ・セイフライドが熱演。
もちろん、その内容からヌードシーンも結構ある。


正直、私も観る前は、
興味本位だったというのを認めるけれど、
内容は思っていたよりずっと悲しかった。


とにかく彼女の夫のチャック・トレイナーという男が最悪で。
まぁ、真っ当な男だったら、
いくら借金ができても、
自分の妻をポルノに出そうなんて、
思い浮かべる事もないものね。
最初から変だったって事だよね。


そして最悪の暴力。
ヒモならヒモらしく、
リンダを大事にしろっつーのよね。
ヒモの風上にも置けないわ。


私が個人的に一番悲しかったのは、
チャックから逃げようとしたリンダの所に、
ちょうどパトカーが通りかかった場面。
2人の様子が変なのは明らかなのに、
チャックは、「妻なんです(夫婦喧嘩です)」と言い、
上手くやり過ごそうとする。


すると、妻がリンダ・ラヴレースだと気付いた警官が、
「リンダさんですか?!ファンなんです。サインください」と、
職務そっちのけでねだってくる。
その時の彼女の表情は、
もう、力が抜けたというか、
諦めきったように見えた。


彼女は成功しすぎてしまったのだろう。
ポルノに出た時は、
少しの出演料がもらえればいいと思っていたはずで、
まさかあれほどのヒットになるとは、
夢にも想像していなかったはず。
有名になるって、とても怖い。


リンダの母がとても厳しいという場面があるけれど、
それは仕方のない面もあると思う。


彼女は、チャックと知り合ったばかりの頃、
「自分には出産経験がある。生まれた子供の事は知らない」と言っている。
里子にでも出されたのであろうか。


10代で望まぬ妊娠・出産をしたとなれば、
どんな親だってピリピリするのは当たり前。
夜、出掛けるという彼女に、
門限を厳しく言い渡すのは、ある意味当然の事なんじゃないのかな。


ただ、チャックに暴力を振るわれて、
実家に帰ったリンダを突き放したのは、
ちょっと(というか、かなり)可哀相だった。
母は、「妻は夫に従いなさい」と言うけれど、
それって本音なのかな。


ポルノ女優として超有名人になった娘に
出戻ってこられるのは恥ずかしい、面倒臭いという気持ちが
どこかになかったのかな、というのは、
意地の悪い見方なんだろうか。


評価 ★★★☆☆

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